　「さぁ、寄ってって！！…今日は南の方からいい品を持ってきたよ。」

　「まぁ、そうなの？…買っちゃおうかしら？」

　次々と御婦人達は、我先にと群がりだし、目当ての品を吟味しては、買い物をする。

　「くださいなぁ！」

　とサーラも、人と人の間を縫う様に通り抜けると、最前列に出て行って、若い商人の側に寄っていく。

　「おぉ！！…いつも来ている目利きの良い嬢ちゃんか、…いらっしゃい。」

　と若い商人も気がつくと、振り向き様に返事をしてきた。しかし、すぐに不思議そうな表情で首を傾げて質問してきた。

　「あれ、嬢ちゃん？…前は来た時は、そんなちっこい子なんて背負ってなかっただろう。…どうしたんだい？」

　「あたしの家で、昨日から一緒に住んでるのよ。…よろしくね、おじさん。」

　「はぁ、…そうなのかい。…宜しくな、弟くん。」

　「むぅ、違うわ。…この子は女の子よ。」

　「あれま、妹ちゃんかい。…」

　「全くもう、間違えないでよ。」

　サーラは質問に答えつつも、若い商人の言葉を聞いて、やや頬を膨らませると、口をすぼめて文句を言う。少し不機嫌そうな仕草をしている。

　「ぶーぶー」

　そんな様子を見て、若い商人は罰が悪くなり、苦笑いを浮かべながら取り繕いだす。

　「あぁ、そいつはお得意さんに対して、悪い事したな。…わかったよ、お詫びに安くしとくからさ。…機嫌治しておくれよ。」

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