3話 蜂蜜の猪ステーキ 14

 その直後、女性から声が掛かった。凄く凛とした声音である。

 「なぁ、…そこのアンタ。」

 「ほぇ、…あたし?」

 「さっきの料理、…こっちにも頂戴よ。」

 「え?…」

 あまりにも唐突な事に、サーラは目を点にして驚いた表情をしていた。

 だが間髪入れずに、親方やロンド達から

 「おぉ。…だったらサーラよ、彼女にも作ってやってくれ。」

 「さっきは此方から礼をすると言ったが断られんだ。…だから気が引けてたんだよ。」

 と言われていた。

 サーラは納得し、急いで控え室の方へと向かっていく。

 暫しの間、待ち時間が過ぎる。

 ようやくサーラが戻ってくると、二つのテーブルへ、料理を盛り付けた皿を配膳し、様子を伺いだす。

 先程と同じく、親方達は一斉に料理を食べだした。

 対して女性は静かに皿を見つめていた。やや遅れながらフォークとナイフを手に取ると、乱暴な手つきで肉を切り、口に運んで咀嚼する。やがて飲み込むと、

 「アンタ!!」

 と大きな声をあげて、鋭い眼光をサーラに向けながら迫り、徐に肩に掴み掛かったのだ。

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