3話 蜂蜜の猪ステーキ 15

 周囲も騒然となり、張り積めた緊張感が漂いだす。

 組合の従業員達は悲鳴をあげており、ハンター達は慌てて席を立った。

 「さ、サーラちゃん?!」

 「おい、なんだ。…どうした、姉ちゃん??」

 と親方やロンドが慌てふためく声が聞こえてくる。

 しかし、サーラは冷静な様子だった。相手からは、全く敵意を感じないからだ。

 そして女性は両目に涙を滲ませながら、やがて意を決した様に喋りだした。

 「アンタ。…あたしの友達の事、知っているのかい?!…この肉料理の味は間違いなく、あいつが作ってくれたのと同じだよ!!」

 「え?…知らない。」

 と、すかさずサーラは否定し、呆けた表情で固まっていた。

 「は?…」

 女性も釣られ、同じく呆けた表情で微動だにしなくなる。

 「え?」

 「へ?」

 その様子を見守っていた人達からも、戸惑う声が彼方此方から聞こえてくる。

 先程までの空気は霧散していき、施設内は妙な静けさに包まれていた。

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