4話 野菜のポトフ

4話 野菜のポトフ 1

 先程の騒ぎが収まってから、日が傾く頃となる。

 組合支部の中にいる人々も、既に落ち着き払っており、帰路に付く者達も現れている。

 彼らは決まって、出入口から外へ出る際に後ろ、――施設の奥の飲食スペース、を一瞥して去っていくのだった。

 その視線の先では、一つのテーブルを中心に、親方とロンドが取り囲んでいた。

 また村長やケリーも集まってきていた。騒ぎを聞き付けてきたのだった。

 全員が訝しげな表情で、正面を睨み付けながら様子を見守っている。

 テーブルの反対側には、ハンターの女性が静かに席に座っていた。

 サーラが向かい合う様に着席している。また腕の中では赤子が抱かれており、サーラの長い癖っ毛を引っ張って戯れている。

 その様子を見て、女性は口元に笑みを浮かべた後、口火を切って喋りだす。

 「さっきは、すまなかったね。…つい興奮してしまって、我を忘れてたの。…決して悪気があった訳じゃないわ。」

 「おまえさん、いったいなんなんじゃ?」

 と、村長が代表して質問をしていた。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る