幕話1 山林の猪 3

 その時に頭上から、

 「そのまま、動くんじゃないよ!!」

 と唐突に、女の声が聞こえてきた。聞き覚えのない声である。

 全員が顔を上げた。

 すると木々の枝から人影が飛び降りると、腰から抜いたメイスを振りかざす。さらに勢い良く切っ先を猪の首の部分へと叩きつけたのだった。

 猪は攻撃を受けると、断末魔の叫びを上げながら、地面に崩れ落ちたのだった。全く動かなくなり、絶命したようである。

 辺りは静まり返ってしまい、ハンター一同は全員が唖然として、大口を開けて立ち尽くしてしまう。

 「アンタら、無事かい?」

 やがて止めを指した女が立ち上がり、声をかける。

 暫くの間は、誰も返事を返してはいなかったのだった。

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