2話 3章 玉葱ソースの鹿肉ハンバーグ 2

 「…いえいえ、お気に為さらず。」

 するとロンドも取り繕う。次第に恐縮しだし、無理矢理にでも、話題を反らした。

 「…それよりも、私達の他にも客が居たのかい?」

 「えぇ、…はい。」

 対してエピカは視線を反らし、少し言い淀むも、次第に意を決して、ぽつぽつと説明をしだした。

 「実は、今。…此処には、私達の親戚の家族が滞在しているの。……侯爵家の当主様と、孫娘のメローナ様と言って、…【ランドロス】随一の権利者でね。」

 「侯爵様だって?!」

 「…あの人達は、毎年の暮れの時期になると西の国境沿いから、此方に保養目的で数日は滞在されるのが恒例なの。…ただ、何故か今年は唐突に、この暑い時期にやってきたのよ。…ジョンドが貴方達を迎えに行って戻ってくる頃に、鳩で連絡が先に来たの。」

 「えぇ~?!」

 「…当主もメローナも、悪い人達じゃないの。…でも少々、面倒な性格をしていて。…村の皆さんには、気兼ねなく楽しんでもらおうと思ったのですが。」

 「…………あう。」

 ロンドは話を聞くと驚いてしまい、唖然としながら立ち尽くしていた。あまりの事の衝撃に、まるで石になった様に表情や身体が動かずに固まっている。

 「あの…」

 と、エピカは声をかけて、ロンドの目の前で手を振りながら意識を確かめた。しかし、相手に反応がなくて狼狽えてしまう。

 同時に、隣の部屋の扉が開いたようだった。

 エピカが振り返ると、其方には村長夫妻が並んで立っていた。

 すると、村長が代表して話掛けてくる。

 「なんじゃ、騒々しいな。…エピカ様、その馬鹿が何かしましたか?」

 「あ、いえ。…実は。…」

 と、再びエピカが喋りだしだそうとした。

 ぐぅぅ~。

 ついでに、誰かの腹の虫が鳴るのが聞こえてきた。ーー

 「お腹すいた。」

 と、続け様にサーラが呟いていた。

 それをエピカと村長夫妻は聞きつけると、

 「とりあえず、移動しながらでもいいですか?」

 「仕方ないな、…行くとしますか。」

 「食堂に案内しますね。」

 と、言いながら全員で移動を開始した。

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