2話 四章 手作りクッキー/すみれ茶 13
それから彼女達は満面の笑みで、佇んでいる。少しの間、至福の一時を堪能しているようだった。
「どうじゃった?」
と、サーラは問いかける。
最初にメローナが我に返ると、外方を向きながら答えていた。
「…庶民的ですわね。…いや、…普通に美味しかったですわ。」
ついでにトーニャも無言のまま、首を縦に振って肯定している。
「そう、…」
とサーラは微笑みながら小さな声で呟くと、すぐさま調理器具や皿を回収する。さらに水場で洗い、作業が終わると再び作業台に持ってきて、再びクッキー生地の材料を目分量で計り分けていき、調理の準備をしている。
その様子にメローナは振り返ると、ようやく気がついた。すぐに反応して、再び文句を言ってくる。
「そうじゃないですわよ!…それよりも私は、飛びきり美味しい、お菓子を教えなさい、と言ったのよ!…なのに、ただのクッキーだなんて!」
「…ただのクッキーでも、美味しかったんじゃろう?」
「そ?!…それは、…ええっと。…」
「自分で食べて美味しいと思う物なら、一番に美味しいもんよ。…」
対してサーラは飄々とした態度で、返答しており、
「…それに、もっと美味しくしたいなら、愛情を込めて作った料理の方がいいぞい。」
「は、はぁ!?…愛情?」
「そうじゃ、…相手を思って料理する。…これ以上に美味しいのはないぞ。」
と、次第に持論を力説しているのだった。
「な、何を根拠に!?…」
すかさずメローナは聞き返す。
しかし、サーラは間髪入れずに、再び言葉を投げ掛けた。
「…貴女は、そのプレゼントしたい人には、察するに感謝を伝えたいんじゃろ?…その人の味の好みとか、好きなお菓子とかは?…知っておるのか?」
「……え、えっと、………わかりませんわ。」
と、メローナは小さな声で答えている。最終的には説き伏せられてしまい、ぐうの音も出ない状態だった。
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