　「全く、もう。」とケリーが呟くのが聞こえる。

　サーラも同じく苦笑いを浮かべていた。しかし、すぐに気を取り直してキッチンに向き直り、抜き手も見せぬ動きで持ってきた荷物を食卓のテーブルに広げていく。

　やがて机の上には、数切れのパン、カブ、じゃがいも、幾つかの野菜の残り等や鍋に包丁等の調理道具一式が置かれていった。

　目の前の物をケリーは物色し、徐に質問する。

　「何をつくるつもりだい？」

　「この材料なら、パン粥かな。…あ、ケリーさん、お湯を少し頂戴。」

　とサーラは答えると調理に取り掛かりだした。

　ケリーも、まじまじと調理の様子を観察していく。

　まずサーラは、自前の鍋に湯を移し変えると、釜戸の別口で火に掛けて準備する。

　続けてパンを手で小さく千切ると共に、カブや野菜を包丁で大きめに切り終えたら、次々に沸騰した湯に放りこんだ。最後に皮を剥いたじゃがいもを、包丁で細かくなる様に削ぎ入れたら、全体にとろみが出るまで煮続ける。

　「よし、こんなもんかな。」

　「何にも味つけないのかい？」

　「赤ちゃんにはね、素材そのままの味がいいの。…後は食べやすい様に、中身の野菜を裏ごしすれば大丈夫。」

　「はぁ、手慣れてるわね。」

　思わずケリーが感心する呟きが聞こえていた。

　サーラは照れくさそうに頬をかくも、すぐさま鍋から具材をお玉で取り出した。さらに一旦、野菜類を深い鉢に入れて、擂り粉木で擦していく作業を行っていた。

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