2話 野菜のパン粥 9

 すると同時に、背後から玄関の扉も開く音がしていた。

 ロンドとジョーが揺り籠を持って、再び戻ってきたようだった。

 彼らはキッチンの方へ近づくと、作業をしだした。

 ジョーは、揺り籠を床に下ろす。木製の箱に揺らす脚がついた形の物である。

 さらにロンドが赤ん坊を、籠の中に寝かす。

 「ほら~。…あばばば、ば~!!」

 「ゆらゆらしてるよ~、泣かないで~!!」

 さらに二人揃って側に寄り添うと、籠を揺らしながら、変顔をして、あらゆる手段てあやしている。

 様々な手段を試みていた。

 籠の中では、赤子が寝そべりながら周りに視線を向けていた。先程よりは落ち着いている様子だ。しかし、未だに表情をくしゃくしゃに歪めており、泣く寸前である。さらには必死に手を伸ばして掴む様な仕草をし、また大きな声で泣きだした。まるで助けを求めている様である。

 ロンドとジョーも、余計に慌てふためいていた。

 「あぁ、ごめん、ごめんね!!」

 「な、泣き止んでくれ。…」

 次第に室内には、混乱が渦巻きだす。

 すぐさまケリーが動き出そうと、一歩踏み出した。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る