2話 野菜のパン粥 2
その布の中には、赤子がいた。短い黒髪や大きな青い両目が特徴的で、顔の輪郭が少しぷっくりしている。小さな指を口に加えている。
まるで精巧に作った人形と、錯覚してしまう程に目を引く容姿をしていた。
ロンドは赤ん坊と目が合うと狼狽える。続け様に周囲に視線を向けて、助けを求めて喋りだす。
「え、…どういう事なの?」
「ロンドさん。…実はね。…」
すかさずケリーが近づいてきて、事情を説明する。
またサーラと赤子にも、再び村の住人達が集まってきて、
「めんこい子だね。…天使みたいだ。」
「手がちっちゃいね~。でも、首が座ってるし、生後半年過ぎる位かな?」
「…こっち向いたよ。」
「あぶぶ、ばぁ!!」
と、各々が思い思いに愛でているようである。
次から次へと、住民達は入れ替わり立ち代わり、あやし続けている。
しかし突然、住人達の隙間を縫う様に、皺だらけの顔の老人が杖を付きながら歩いてきた。
その人を誰かが「村長」と呼ぶ声がする。
すると、老人、ーー村長は周囲に大声で叱責する。
「皆、いつまでやっているのだ!…今は、もっとやらないといけない事があるだろう。」
その言葉を聞き、住民達はハッと気がつき、肩をビクつかせて固まった様に動かない。
そのまま隣同士で、互いに顔を見合わせながら会話する。
「…村長の言う通りだな。」
「まずは、この子をどうするかな。…」
「親を探すか?…」
「村人とは考えにくい。…子供が生まれるとなれば、真っ先に噂になる。…余所者の仕業じゃないか?」
次第に話しは二転三転していく。
やがて村長は溜め息を吐きつつ、
「はぁ、…まずは著しく預かってくれる場所を、用意するのが先決じゃな。」と呟きながら移動する。ハンター組合支部のスタッフ達の側まで来ると、話しかけだした。
「…組合さん。…ここの中は使わせてくれかの?」
対してスタッフ一同も、互いに顔を見合わせて難色を示しだす。
一拍の後に、責任者の男性が恐る恐る口を開いていた。
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