4話 野菜のポトフ 9


 ※※※


 空が深く濃い夜の闇に染まっている。辺りは真っ暗で、肌に張り付く様な静けさに包まれており、もはや出歩く人も疎らな様子である。

 サーラとロンドは、ようやく自宅へとたどり着き、玄関口を通り抜けて、建物の中に入るな否や居間へと直行した。

 「た、だいま~。」

 「ただいま」

 「…お邪魔します。」

 と、最後に少し遅れてアニタも入室すると、入り口の前で立ち止まり、部屋の中をまじまじと観察していた。

 彼女の視線の先では、サーラが世話しなく部屋の中を動き回り、簡単に室内の掃除や買い物した荷物の片付けに勤しんでいる。

 また一方でロンドも、テーブルの側にある揺りかごの上に赤子を横たわらせると、あやしている。

 その時に、赤子が大きな声で泣きだした。

 居間の中に緊張感が漂い、ロンドとアニタは狼狽える。

 「あぁ、どうしたんだい?!」

 「えっ?!…えっと。」

 「お父ちゃん!!…赤ちゃん、お腹すいたみたい。急いでご飯作るから、出来たら先に食べさせて!!」

 しかしサーラは、冷静に指示を飛ばすと、急いで釜戸の方へ向かい、調理の準備をしだした。

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