7話 思い出のアップルパイ 6

 そうして彼らはサーラの側に戻ってきた。

 真っ先にロンドは、娘の顔を見ながら、にへら、と弱々しく笑い、ゆっくりと立ち上がろうとしている。

 「もう、お父ちゃんてば、恥ずかしいなぁ。」

 そんな様子に、サーラは呆れながら文句を言うも、口元には笑みが浮かんでおり、

 「なんだい、サーラちゃん。」

 「でも、ありがとう。…」

 と小さく囁くと、父と頬に軽くキスしたのだった。

 「ぐはっ!!?!!」

 次の瞬間には、ロンドは満面の笑みを浮かべて、だらしなく地面に崩れ落ちる。さらには、微かに口を動かし、「ぼく、もう死んでもいい…♥️」と譫言を述べている始末だ。

 「阿保か!…馬鹿者!!…」

 すると突然、村長が現れた。人込みを抜けて親子の側にやってくると、ロンドの耳を引っ張りながら、怒鳴りつける。

 「こんな、めんこい年端もいかない娘を残して、あの世に行ったら、村人総出で墓の下から引きずりだすからな!…」

 「そうだ、そうだ!」「本当にやるからね!」と、さらに周りの村人達も同調していた。

 「父親ならシャキッとせい!」

 「は、はい!」

 と、ロンドは気圧され、すぐさま立ち上がると姿勢を正していた。

 その様子を村長は見届けると、領主達の方へと向き直り、話しかけだした。

 「領主様。…お待たせして申し訳ないです。…」

 「いえ。…そんな。…」

 「ばあ様に患者の容態を聞いていたら遅くなりまして、…それで実は今、こういう事になっています。」

 「はい?」

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