　アニタは、匙で具材の野菜を一口に切って掬い、口に入れて咀嚼した。具材は形を残す程度の柔らかさで簡単に崩れてしまい、、カボチャ、にんじん、の甘く優しい味が口一杯に広がった。さらに続けてスープを一口だけ飲み込むと、野菜類の旨味や塩と油が合わさり、あっさりとしたコクの深い味がするのだった。

　すかさずサーラは、「おいしい？」と聞いていた。

　「うん。」とアニタは、小さな声で答えた。さらには次々と料理を口に運んでいくと、心の中で懐かしい気持ちが滲みだしてくるのを感じ、思わず疑問を呟きだした。

　「…なぁ、これ。」

　「何？」

　「あたし、この料理の味も食べた事がある気がする。」

　「え？…そうなの？」

　「あぁ、…なんか前に、夜遅くに帰ったら、リリャーが夜食にって作ってくれた料理と、同じ様な味がするんだ。…」

　「…これ、そんなに手は込んでないし、在り来たりな料理だよ。…」

　「それでも味の感じが一緒なんだよ。…家の味付けなんて、殆ど似通わないのに。……」

　「ほへぇ？…なんでだろう。」

　「…昼間に食べたステーキもだが。…サーラ、貴女の料理は村の誰かに教えて貰ったりしたの？」

　「うぅん。………」

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