第69話 彼の再登場

フィーベル家


「あのキスは一体なんだったんですか?!」

「えへっ!」

「「……」」


 3人からのキスは相当なインパクトがあった。

 

 貴族らはものすごい衝撃を受けて、一部では気絶して倒れて泡を拭いた連中もいた。

 

 もちろんジェック様が急遽会議を中止させてそのまま解散となった。


 後処理はケルツ様とジャック様がやると言ったので、俺と3美女はそのままフィーベル家に帰り今ちょうど俺が問い詰めているところである。


 しかし、セレネ様はしれっと目を逸らして知らないふりをしているし、エレナ様は制服のスカートをぎゅっと握り締めて俺をチラチラ見ている。ルナ様は自分の唇を手で触りながら俯いていた。


 しかし、ルナ様は意を決したように俺を見て重い口を開いた。


「キスはセレネ王女殿下からの提案でした。頭が凝り固まった貴族に想像を絶するショックを与えるためにと……」

「な、なるほど……」

「なので、べべべ別に、キスに深い意味はありませんよ!分かりましたか!?」


 急に怒り出すルナ様に俺が戸惑うと、エレナ様がフォローを入れてきた。


「そうだ!カナト!あのキスを気にすることはない!」

「は、はい!」


 俺が条件反射的にいうと、セレネ様が目を細めて挑発するようにいう。


「あらあら〜二人ともあれがファーストキスだったじゃない〜」

「「セレネ王女殿下!!」」


 エレナ様とルナ様は急に大声で抗議してきた。しかし、セレネ様は広角を吊り上げ、軽くスルーし、俺に向けて口を開いた。


「私もファーストキスだったんですよ」

「なっ!」

「つまり、カナトさんは公爵家の長女二人と王女のファーストキスを奪った男ですね」

「……」

取らないと」

「……」


 いや一方的にキスをやってきたのは3人だろう。

 

 と、叫びたくなったが、それをいうと、男としてダメな気がして黙っておくことにした。

 

 その代わりに


「責任を取ること自体は別に問題ありません。しかし、これで貴族らが大人しくケルツ様の意見に賛同してくれるとは到底思えません」


 俺の返事に3人は頬をピンク色に染める。


 うちセレネ様が答えた。

 

「……でしょうね。だから、もっと力を合わせないといけません。これは私の一族が貴族を野放しにしたところもありますし、お父様も問題の深刻さに最近気付いておられます。なので、私もカナトさんに積極的に協力するつもりです」


 と言って、セレネ様はエレナ様とルナ様をチラッと見る。


「私も同じ考えだ。カナトほどの男は公爵になる器のある男だ」

「異論はありません」

「あ、ありがとうございます……」


 俺が二人に認められたことでちょっと照れくさい気持ちになって後ろ髪をガシガシしていると、セレネ様が意味ありげにつぶやく。


「絶対なってもらいますからね。対等な立場になると、誰も言えませんからね〜ふふふ」


 彼女は色気のある視線を俺に向けて微笑む。



X X X

 

数日後


マレー侯爵家の貴賓室


 ギースの父であるエリックは他の貴族らをここに集合させた。


 集まった貴族らのほとんどはハリーの父であるヘンリ派閥のものであり、皆カナトの陰口を言っている。


「あのカナトという男は死刑にすべきだ!!」

「あの3方の唇を奪うという恐ろしいことを、あの平民は何の躊躇いもなくしたんだ!!」

「きっと薬を飲ませたに違いない!」

「今回の会議で奴らを必ず殺せる計画を立てなくては」

「おっしゃる通りでございます!!」


 複数の貴族が毒を吐く一方、エリックの顔は極めて冷静である。


 やがて、貴族らがコントロールできなくなるほど興奮状態になってしまった。


 殺せだの、拷問にかけろだの、家族たちを全員殺せだの、ひどい言葉を投げかける貴族たち。


 そこへ、エリックが窓に向けて目配せした。


 すると、窓が開け放たれ、誰かが飛んで入ってきた。


「みんな、元気ですか?」


「は、ハリー様!?」

「ハリー様だ!」

「あり得ない……ハリー様は行方不明になったはずなのに……」


 姿を現したのは1200号を殺して逃げたハリーだった。

 

 目を丸くして、絶句する貴族たち。


 しかし、エリックは至って冷静だ。


 エリックは口を開いた。


「この方は間違いなくハリー様だ!!」


 エリックに言われた貴族らは希望を見つけたように笑顔を浮かべる。


 そんな彼らを見てハリーも笑い返しながら口を開く。


「既得権益が潰されることは嫌いですよね?」

「……」

「カナトのやつが認められるのが死んでも嫌ですよね?」

「……」

「正直になってください。僕には本音を言ってもいいですよ」


 ハリーは優しく声を彼らにかける。


 すると、


 貴族らは醜い笑顔を浮かべて




「「はい。ハリー様のおっしゃる通りです」」

 

 彼らの反応を見てハリーはとても明るく笑い、返事をする。


「いいですね。その気持ち。全部僕にください」


 と言って、ハリーは手を上げて魔法をかける。

 

 すると、貴族らの目が赤くなり、




 全員がハリーに平伏した。








追記



 一旦休止です。


 カクコン用にあと2作出したいです。


 もうそろそろ作業にかからないとまずいので、すみません。


 他の作家さんより書くスピードが遅いので、もっと頑張らないと!






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平民の俺がこっそりつよつよモンスタを狩り続けていることがバレて、貴族や王族の美少女たちが寄ってくる件 なるとし @narutoshi

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