第6話 説明

 ブブッブブッ


 ポケットの中に入れていたスマホが震える。

 ちゃんとマナーモードにしてるよ?


 ちなみに俺の席は窓側から二列目後ろから二番目。5×6の30人クラス。

 雪花は窓側前から二番目。。姉の紗雪は通路側一番前。

 つまり俺の位置から2人様子が見えるわけで……

 雪花は体は起こしているが、手元で何かしてる。あっ、こっち見た。


 姉の紗雪はチラチラと妹の様子を伺ってるみたい。

 雪花が、こっち向いた瞬間そのままグリンっと首を回し俺を見てきた。


 見たの気づいてないよー

 気づいてないからこっちみないでー

 こっち見るときの目力やばいからー


 俺もこっそり机に下でメッセージ有のスマホを確認


 雪花 【昼休み書道部の部室に来て】


 あー、これ説明に付き合わされるパターンだわ。

 朝の様子だと姉ちゃんになんも言ってなかったポイし。

 いやだなー


 ブブッブブッ


 雪花 【どうなの?】


 おっ、俺に選択権あるっぽい?


 ブブッブブッ


 雪花 【拒否権はないわ】


 ないんかーい!



 ブブッブブッ


 雪花 【姉さんがそっち見てるわ】


 知ってるよ


 ブブッブブッ


 雪花 【猫が驚いてるスタンプ】


 うるせーよ!授業きいてろよ!だから影で頭良さそーなのに見た目詐欺言われてんだよ!

 後、メッセ送る度にこっち見んな!お前の姉ちゃんの視線が痛いっ!


【わかった。行くよ】


 ブブッブブッ ブブッブブッ



 雪花 【待ってるわ】

 雪花 【猫が寝てるスタンプ】



 あっ、寝やがった



 昼休みになったので弁当持って書道部の部室に向かう。教室を見渡すと二人の姿がなかったからもう向かったのだろう。あまり視線を受けないようにこっそりと教室を抜けて歩きだす。


 部室ついて一応ノック



「開いてるわ」



 中に入る

 瞬間、姉のささるような視線

 痛いってば


「どうぞ座って?」


「おう 」


 言われるままに座って弁当を広げる。今日はめずらしく母さんの弁当だ。


「同じクラスの橋本君だよね?なんでせっちゃんと付き合ってるの?」


 いきなりきたなー

 朝はアレって呼んでたのに

 目線を雪花に向ける


「姉さん。私が告白したのよ」


「えっ、なんで!?」


「一目惚れよ」


「えっ?」


「姉さんが私のために、あの周りを巻き込んで騒ぐ連中と仲良くして牽制してくれてるのはわかっているのよ。中学三年の時もそうだったわ。」


「……ッ」


「双子なのにこんなにも違うから比べられて、出来ない方の私は色々言われ続けて泣いてきたのを姉さんがずっと庇ってくれてたわ。けど、高校に入ってからどうしても姉さんの目が届かない時があるの。その時はまだ1人が辛くてもう泣くしかなかった。そんな時に彼が助けてくれたのよ。意図して助けようとしてくれたのか偶然なのかどうかは別にしてね」


 あー、あれか。

 あれ言われてるの雪花だっのか。

 あれは偶然だなー。

 内容まではハッキリ覚えてないけど、確か6月くらいか?

 誰かの悪口を聞こえるように言ってる奴がいてただそれだけだったらスルーしてたけど、おれが寝てる側でキャンキャン言うものだから、うるせえって文句とか言った気がする。

 同じクラスに話す奴なんていないから怖いもの無しだった。


「その時に彼が言ったのよ。[出来なくても頑張ってるやつを馬鹿にすんな]って」



 そんな事言ったっけ?覚えてない……

 その時読んでたラノベに影響でもされてたかな?はずっ!


「そんな事言われたものだから、ズキューンと来たのよ」


 ズキューンて

 だんだんめんどくさくなってきただろ!

 なんかシリアスっぽい空気だったのに台無しだよ!

 姉ちゃんもドン引きだよ!


「ズキューンってきたんだ……」


 納得できんのかーい!

 仲良い姉妹だなおい!


「だから認めてくれる?姉さん」


「……」


 紗雪が真剣な顔をしてこちらを向く


「橋本君……せっちゃんをお願いします。」


 認めたーーー!

 嘘の恋人なのにーー!

 罪悪感が半端ない!

 今更理由が知りたくなってきた。約束したから聞かないけども!

 後雪花!後ろで小さくガッツポーズすなっ!



 あれ?おれ昼休みなんも喋ってなくない?

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