第15話 奈々side 癖
世の中にはブラコンって言葉がある。
ブラザーコンプレックス。
ちょっと仲が良いだけで、ブラコンブラコン言ったりしている。言っとくけどあたしのはそんなもんじゃない!兄妹として愛してるんじゃない。男女として愛している。
自覚したのは小学生5年の時、あたしは発育が早くて、それでからかわれたりしていた。それがイヤでイヤで堪らなかったのに、おにいは
「良いじゃーん!セクスィーで!俺はすきだせぇー」
って言ってくれた。後で聞いたら覚えてなくてムカついたけど。多分その場のノリとテンションに任せて言っただけだと思う。
ほら?男子って馬鹿だし
その後は何を言われても気にしなくなっていき、言われた事を認めるようになっていった。
けどそうなると今度は女子の友達も減っていった。巨乳だとか、牛の乳みたーいだとか、そういうのを認めるのは良くても、美人とか可愛いとか、素直に誉める言葉を認めるのはダメみたい。生意気なんだって。
ホントめんどくさい。
けどあたしにはおにぃがいたから我慢できた。
中学に上がってから、おにぃが良く読んでるラノベにあるような事がないかを、お母さんに聞いた事がある。
あたしは実は拾い子で、おにぃとは血が繋がってないのではないか!?とか、要するにあたしとおにぃは義兄妹なのではないか?って内容だ。
もちろん、怒られた。そんな事はないのだと、二人ともお腹を痛めて産んだ子なのだと泣かれた。
やっぱりラノベみたいな展開にはならないみたい。
それからはもう、ひたすらにおにぃを避けた。どうせ好きになっても叶わないのだから…
そんな時おにぃがニヤニヤしながら帰ってきた。
おにぃに彼女ができた
信じたくなかった
写真も見せてもらった。綺麗で胸も多分私より大きい。
悔しかった。妹とでさえなければあたしだって…
その日は泣いた
翌日お母さんの再婚の話を聞いた。あたしは今の環境が変わるのなら大賛成だった。おにぃが彼女を呼んで隣の部屋でイチャイチャしてるのなんて耐えられそうになかった。
そして会食の日、頭がおかしくなりそうだった。再婚相手がおにぃの彼女の家族?
えっ?いっしょに住むの?四六時中イチャイチャしてるの見せつけられるの?うそてしょ?
いつのまにか会食は終わっていた。
その夜、あたしの部屋がノックされた。
「なに?」
「俺だけどはいっていいか?」
うそ!?おにぃ!?
「勝手に入れば」
「しっつれーい」
「うざっ」
ほんとは来てくれて嬉しい
「あのさ、奈々。実はな……」
そうして、おにぃは事情を全部話してくれた。嘘の恋人ってことも!
そう、嘘の恋人だったのだ!だからあたしはすんごい笑顔で言ってやった
おにぃにあんなに綺麗な彼女できるわけないでしょ?てね♪
でもあたしは油断し過ぎてた。遊んでいた数少ない唯一の友達とも言えるかすみちゃんと別れ、家について鍵を開けようとしたらもう開いていた。あれ?っとおもいドアを開けたらおにぃの靴が見えたのでいつもどおりに叫んでいた
「だだいまーおにぃ帰ってきてるのー?」
言いながらドアを開ききるとさっきまでは視界に入らなかった場所に女物の靴があった。あたしのでもお母さんのでもない靴。上からバタバタ音がする。階段のしたまで歩いていくと、ドアの開く音。
でてきたのはたしか、雪花さん?だったかな。やけに潤んだ目と、真っ赤になった顔で、あたしに説明してきた
「勝手におじゃましてすいません。悠聖君、今日出掛けている最中に体調を崩しまして、病院に連れて行ったらインフルエンザと診断されまして、ついさっきお宅についたばかりで、先程眠りに着いたばかりですので、何もしてません!あっ、これお薬とお薬の説明書です。まだ飲んでないので起きたら飲ませてあげてください。それでは、お邪魔しました!お大事に!」
そう言っていなくなってしまった。
あの態度見る限り、おにぃはフリだっていってたけど、向こうは本気だったんじゃ……
とりあえずおにぃの容態を見に部屋に行ってみる。
とりあえず寝てはいるみたいだけど、熱が上がって来てるのか、苦しそうにしている。珍しく、お気に入りのビーズクッションも抱いていない。ベッドのすぐ脇まで行って頭を撫でる
「おにぃ……」
そうしてるとぐっと引き寄せられ布団に引きずりこまれる。
忘れてた!おにぃ寝てると近くにあるものなんでも抱き枕にする癖があった!きっと雪花さんもそれをやられたはず!ビーズクッションを抱いていない時点で気づくべきだったんだ!
いつもなら嬉しいけど、インフルエンザをうつされるのはさすがにイヤだったので必死に逃げようとする。…が、
「ぁ………んっ……」
おにぃの手があたしの胸と太ももに回される。なで回されて力が入らない……
結局おにぃが寝返りうってビーズクッションに気を取られるまで全身を撫でられ続けた結果………
あたしもインフルエンザになりました。
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