第43話 新学期
フラフラしている紗雪に肩を貸して部屋を出るとそこには雪花と睦月がいた。なんだ?
「ど、どうした?二人して」
聞くが二人は何も答えずに、親指を立てて微笑むと雪花の部屋に入って行ってしまった。
「なんだったんだ?」
隣を見ると紗雪が真っ赤になってプルプル震えてる。
あっ!察した。察してしまった。昨日の逆バージョンかぁ……。そりゃ、はずかしいよな。
「えーっとなんだ、その、とりあえず風呂いく…か?」
促すと無言のまま頷く紗雪を連れて下に降りて、シャワーが終わるのをリビングのソファーで待つことにした。
テレビをつけてもどこも正月特番ばかりで特に面白いのはないか…。ゲームでもしてよ。
「悠くん…」
「ん?でてきたか。部屋もどるか?」
一応聞くが、紗雪は首を横に振って俺の隣に腰を下ろすとスマホを持っていない左手に抱きついてくる。ノーブラらしく、小振りなふくらみがダイレクトに伝わり、さっきまでの事を思い出してしまった。
すると、隣から声が聞こえた。
「あのね、アタシ今凄く幸せ…」
「そ、そうか…」
「ホントに大好き。だからね、その、悠くんが我慢出来なくなったらいつでもいいからね?その今でも…」
一箇所を見ながら言ってくるがさすがに無理はさせれないので遠慮しておく。
「あ、ありがとな…」
「うん…。それにしてもせっちゃん達にバレちゃったかな?寝てると思ったのに」
「あー、やっぱりそう思う?」
「声我慢できなくてごめんね?」
「いや、それはしょうがないだろ」
「ありがと。じゃあアタシ少し寝るね?おやすみ」
「あぁ、ちゃんと休めよ?」
「うん、ありがと。好きだよ」
そう言って二階にあがっていってしまった。
それにしても……
紗雪可愛すぎだろー!何?あの健気な感じは!他の二人にはない部分だな。うん。
雪花に関しては健気とゆーか依存が強い感じだし、睦月は従順な感じ。みんなタイプが違う。つーか、なんで俺がこんなモテてんだ?
なんか特別な事したっけ?さっぱりわからん!
◇
その後の冬休みはひたすら甘い日々で過ぎていった。雪花に襲われ、紗雪に甘えられ、睦月にはアパートな拉致られ、羨ましがる奈々をなんとか説得して落ち着かせたり。さすがに中学生はね?
そしてそんな光景を見ながら日に日に目が死んでいく雪路さん。
いや、ホントまじですいません。
そして今日は始業式。
久しぶりの制服に、左に雪花。右に紗雪。
二人とも俺の腕に抱きついている。
完璧な布陣である。
いや、ちょっと待て。
「なぁ、ほんとにこれで行くのか?」
「あたりまえよ」
「離れたくないもん」
「いや、けどなぁ。みんなに見られるぞ?」
「「それが?」」
それがって…。俺の立場がね?まぁ、元々ないんだけどさ。それに新学期の最初だと校門に風紀委員もいるんですけど?俺は目立たなかったから被害なかったけど、はために見てるとこわかったんだよなぁ。はぁ…
そんな言い合いをしながら学校に向かっていく。
そして見られる見られる。これでもか!ってくらいに見られる。歩いてても駅でも。
多分俺でも見る。
あー、校門見えてきた。うわーアイツ立ってるー!
あっ、目があった。来るな来るな!
「ちょっと橋本君。なに?その二人は。中村さん達よね?」
俺の目の前に仁王立ちしている女生徒。風紀委員の柊木佳奈。中学から一緒だった同級生で見た目は美少女。が、怖い。もう少し柔らかい性格ならさぞかしモテただろうに…。
「柊木さんごめんなさい。私は彼と付き合ってるから離れたくないの。それに私の兄さんなのだから風紀には反してないわ」
「佳奈ちゃんごめんねー!アタシも悠君の事好きだからせっちゃんだけには渡したくないの!それにお兄ちゃんだしくっついても変じゃないよ!」
「………え?二人とも何言ってるの?は?ちょっと橋本君、二人は何を言ってるの?」
「すまん柊木、俺にもよくわからん。朝やめろっていったんだけどな。ちなみに兄妹ってのはホントだ。親同士が再婚したんでな」
「は?え?はぁ?」
困惑している柊木の隣を通り過ぎていく。その隙を狙って何人かすり抜けて行く。
すまん!
そして目の前には教室の扉。
はぁ、入るのが怖い。
「悠聖君、入るわよ?」
「悠君いこ?」
ガララ
無情にも扉は開いていく。
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