第44話 え?誰だっけ?
教室内に入るとみんなこっち見てくる。だよなー!
そんな中、紗雪とつるんでいたカースト上位グループの男の一人がこっちにやってきた。ただし、俺の事は全然見ていない。
「なぁ紗雪、これどうゆうことだ?」
「これって?」
「なんでこんなのと腕組んでんだ?しかもこいつお前の妹の彼氏なんだろ?」
こんなの言われた。あ、雪花の目付きが変わった。
「そうだけど?」
「いや、そうだけどじゃなくて、おかしいだろ?」
「おかしくないよー!確かに悠くんはせっちゃんの彼氏だけど、あたしも好きだし、あたしのお兄ちゃんでもあるからおかしくないよー!」
「は?好き?お兄ちゃん?」
「うん、冬休み中にあたしと悠君の親が再婚したから悠君はあたし達のお兄ちゃんになったの。今は一緒に住んでるよ。こないだはごまかしたけど、今はせっちゃんと一緒に悠くんを奪い合い中~♪」
再婚のこと言っちゃうのか。まぁ隠すようなことでもないけどさ。あとはっちゃけすぎ!
「一緒に!?は?え?奪い合いってそんな軽く言うこと?」
だよな。俺もそう思う。ほら、教室中が固まってんじゃん。
「ってわけだからよろしくねー!ほら、席つかないと先生くるよ?」
そう言うと紗雪は自分の席に向かっていた。
それに合わせて俺と雪花も自分の席に座った。すると、以前俺に色々言ってきた隣の藤田さんがまた何か言ってきた。
「橋本君」
「な、何か?」
「休み前はごめんね?橋本君すごいよ。あの二人となんてちょっと尊敬する」
「は?尊敬?」
「うん。あんなにモテる二人を一人占めなんてすごいよ。それにちゃんと見てみたら橋本君ってちょっと良いかも?」
「あはは、あ、ほら先生きたよ」
丁度先生が入ってきたので話をそらす。へんなフラグ立てはもう勘弁だ。
「おーい、静かにしろ。HR始めるぞ」
その号令で室内は静まり返る。この担任はおっかないのだ。特に怒るったり殴ったりするわけじゃないんだが、何かやらかすと指導室に連れていかれて、こちらがあやまるまでずっっっと何も喋らずに目を見てくるのだ。あの圧迫感はハンパない。超こわい。
「よし、静かになったな。はいってきていいぞ」
担任がそう言うと、前のドアが開いてすっごい美少女が入ってきた。腰まで届く、さらっさらの銀髪に、蒼い瞳とスラリとした体型。胸は紗雪より小さいか?
「今日からこのクラスに入る留学生だ。適度に仲良くしろよー。じゃ、自己紹介よろしく」
「はじめまして。エレオノーラ・アーレンバリです。エレナと呼んでください。祖母が日本人だったので日本語はしゃべれます。よろしくお願いします」
男子からはおおおお!って野獣の様な声。女子からは顔が小さいだの髪綺麗だのといった称賛の声があがっている。
確かにすげー綺麗で可愛いけど、今の俺にはそんなんで騒ぐ気力も根性もない。これで他の男子と一緒に騒いだら、雪花と紗雪になんて言われるかわかったもんじゃない。怖い怖い。
なのでポケーっと見てたらエレ、エレナ?エレオ?なんだっけ?まぁいいや。エレ何とかさんと目が合った。なんかすげー見てくるしめっちゃニコニコしだした。
ん?なんだ?
「悠聖さん!」
クラス中の視線が俺に向く
え?
「会いたかったです!」
は?だれ?
そう言いながら俺の前まで来るとニコニコしながら俺の手を握ってきた。
やわらかっ!じゃなくて、なんだ?何がおきた?
「なんだ?アーレンバリは橋本と知り合いか?」
「はい!恩人です!」
え、違うよ?知らないよ?必死に首を横に振る。双子の視線がこわい。特に雪花。
「え?誰だっけ?」
「もうっ!忘れたのですか?以前スーパーで妹のエリーを助けてくれたではないですか!」
………そんな事あったっけ?
「忘れてますか?これ、妹のエリーです」
何故か泣きそうな顔になりながらスマホの画面を見せてくる。そこには将来有望そうな小さな銀髪美幼女が写っていた。
あっ!!
「あ、迷子の?」
「思い出しました?」
「あ、あぁ一応……」
「良かったです!」
そこで担任の声が届く。
「知り合いならアーレンバリは橋本の隣な。藤田は一つ下がってくれ。教科書も橋本から見せてもらえよ」
おい!あんた何言ってんだ!?
言われて藤田さんは机を持ってさがっていった。下がりながら小声で「橋本君まじハンパないっす」とか言ってたけどホント勘弁してください。
そして隣にやってきたエレ何とかさん。
「ちゃんとあの時約束したお礼しますからね?」
そう言いながらウインクしてきた。
うん、可愛い。じゃないっ!
けど全身がなんかチクチクする。視線が痛い。針のむしろってこういう事を言うのか?
若干二名ほどは、針どころか槍を持ってる気がする。
なにもやましいことしてませんよー!ホントですよー!
はぁ、次の休み時間が怖い……。
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