第1話 嘘告白
「私と付き合ってくれます?」
高1の11月も半ば。
入学したときから綺麗やら可愛いやら言われてた双子の妹の方に呼び出されたかと思ったらいきなりそう言われたのだ。
ほとんどとゆーか全然関わりもなく、会話もない。あるとすれば日直や当番で、
「これ、おねがい」
「あ、うん」
くらいなもの。よくみたことは無かったけどこうして正面から見ると確かに可愛い。とゆーか綺麗なほうかな?姉の方は可愛らしくてうるさいが。妹の方は物静かで教室でもあまり声を聞いたこともない。
そしてなによりデカい!何がとは言わない。あえて言うなら胸部がとても!姉が可哀想だ!
とはいえ今までまともな会話もしたこともない俺の答えは……
「あ、うん。よろしく。俺で良ければ」
「ちょっ……ちょっと」
「これで俺も彼女持ちかぁ~しかもクリスマス前に!」
「いや、ちょっと待って……」
「あっ、友達と妹に言ってもいい? 自慢したい」
「ちょっ、ちょっとまちなさいっ! 話を聞いてっ!」
おや?何か言ってるな
「ん? なに? あっ、なんて呼べばいい?」
「普通に名前で……じゃなくって!なんですぐにOKしてるの!? 普通、なんで俺に? とか、いきなりどうして? とか、ちょっとは戸惑ったりするんじゃないの!?」
「しない」
「なんでっ!?」
「だって彼女欲しいもの」
人生初の告白をこんな綺麗な子からされて断るはずがない
「あ~うん、それはわかるのだけど、あなたみたいな地味な陰キャの人ってもっと戸惑うものだとばかり……」
ん?なんだって?
「俺は前向きな陰キャだ!」
「そんなの聞いたことないわよ!」
「さっきから聞いてればどーゆーこと?なんか戸惑って欲しかったみたいな言い方だけど」
「戸惑って欲しいとはちがうわね。OKはして欲しかったけどちゃんと理由を聞いて欲しかった。が正しいかしら。まぁ、私が最初からちゃんと言ってれば良かったのだけど、嘘とはいえ、付き合ってなんて初めて言うから緊張もしてたし。あとめんどい」
「めんどくさいってなんだ!ややこしい!で、嘘?どーゆーこと?」
「簡単に言うとね、嘘の恋人になってほしいのよ。まわりが私達が恋人だって思うように。もちろん姉さんにも。例えば一緒に帰ったりお弁当食べたりしてね。ホントに恋人がするような身体的接触はしないけど」
「なんで?」
「理由は──その内わかるわ。」
「ん、わかった!」
「わかるの!?結構ひどいことお願いしたと思うんだけどっ?」
「嘘で付き合っててそれが終わったら、こんな可愛い子と付き合えてたってことで他の子が気にしてくれるかもしれないし。自分からは動けないけど」
「か、かわっ!……っ!ホ、ホントに前向きな陰キャなのね……。じゃ、今日からお願いね、悠聖くん?」
「わかったよ、せっちゃん。あっこれ俺のIDね」
「せっちゃんはやめてっ!せめて名前呼びでお願い!ホントなんなのこのコミュ力。クラスではあんな目立たないのに」
「きっかけさえあれば話せる。そのある程度話すきっかけ作るのが無理なだけで」
「そうなのね……」
「じゃ、今からよろしく。雪花」
「……っ!」
そんなこんなで嘘の彼女ができました。
「あ、後あんまり胸をチラチラ見るのはやめたほうがいいわよ?」
バレてた──!!
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