第2話 妹

「たっだいま~♪」


「おかえり童貞」


「いきなり辛辣っ!?」


「めずらしく機嫌よく帰ってきたからキモくて」

 この帰ってきた兄にゲームしながら血も涙もない言葉をかけてきたのが妹の奈々なな

 母さんに似て出るとこは出てるスタイルで猫のような目で腰まである黒髪を今日はポニーテールにしている。145cmしかないので

 とても小さくて可愛い。


 来年には俺のいる学校に入ってくる。俺と違って頭がいいので、この時期に余裕こいてゲームしてても合格は余裕らしい。

 以前、もっと上の学校に行けばいいのにっていったら、「勉強しなくて行けるくらいのが楽。ゲームできるし」だとさ。他人との会話が苦手で友達いなくて勉強ばっかししてたくせに。

 なのに奈々はモテる。友達いないのに

 半端でないくらいモテる。

 あんまりモテると同性からやっかみを受けそうなものだけど、同性からもモテる。

 多分、話かけられてもキョドってワタワタしてるのが小動物っぽいからだろーな。

 俺には辛辣だけど。

 そんな妹に俺は告げなければならない!


「なぁ、奈々」


「ん?」


「お兄ちゃんには彼女ができました」


「脳内彼女おめ」


「いや、リアルに。今日告白されたった。イェイ」


「……」


「写真みる?」

 どうせ信じて貰えないと思って帰りにお願いして撮ってもらったのだ。すんごい顔してたけど

「見せて」

 視線をあげると奈々が目の前に来てた。

 めっちゃ早かった。ちょっと怖かった。

「ほれっ」

 スマホを奈々の目の前にかかげた。それはもう見せつけた。どこぞのお付きの人のように。近すぎて見えなくてちょっと離されるくらいに見せつけた。


 ジ──


「えっ、ちょ、まじ超綺麗なんだけど。本物?合成じゃなくて?人形?えっ胸でかっ!えっ?え?」


「おう、でかいぞ揺れるぞ、本物本物。ちゃんと実在するノンフィクションだぞ。」


「ッツ!はぁぁぁぁぁぁ!?何してんの!?」


「だから彼女だって何度言えば……」

 俺が言いきる前に

「そーゆーこと言ってるんじゃなくて!」


「じゃあなんだよ」


「……なんでもなぃ」


 そう言ってリビングから出ていった。

 ボソボソと

「奈々だって……」

 と言っていたが俺には聞こえない……

 フリをした。

 俺は難聴系主人公でも鈍感系主人公でもない。敏感系モブなのだ。


 奈々はブラコンだ。俺にかける言葉は辛辣だが、基本俺の近くにいる。休みの買い物にもついてくるし、風呂上がりに薄着でドライヤーもって乾かして!って言ってきたりする。ぶっちゃけスタイルいいのでドキドキするけど奈々は妹で、実は血が繋がってないとかそんな事はなく実妹なのだ。

 昔はそーでもなかったけど、実の兄妹が結ばれる少女マンガをみてからブーストがかかっただけなのだ。だから諦めさせなければならない。だから今回の恋人契約はちょうど良かった。

「ふぅ、とりあえず着替えるか」

 俺は自分の部屋に向かう。

 俺の部屋は階段を上がって二番目の部屋。一番目は奈々の部屋。

 一瞬奈々の部屋の前で足を止める。けどそのまま自分の部屋に入る。

 部屋着に着替えたところで玄関から声が聞こえる。

「ただいまぁ~今帰ったわよ~」


 母さんが帰って来たみたいだ。

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