第3話 登校
「おはよーさん」
恋人契約事変から一夜開けて朝、制服に着替えて一階降りて行くと母さんと奈々がすでに食卓についていた。
「はい、おはよ~」
「……おは」
母さんはいつもと変わらず、奈々はまだ少し機嫌わるいかな?
ちなみに父親はいない。俺が三歳くらいの時に離婚したからだ。
うちの高校の制服はブレザー、奈々の中学はセーラー服だ。
奈々は学校まで徒歩10分。俺は電車で片道20分。寝坊したりすれば自転車使ったりもする。
今日は早く起きたのでいつもよりゆっくり食べれる。
用意されていた朝食はトーストとサラダ。後はスープ。俺は和食が好きなんだけど母さんも奈々もパン派なので多数決で負けている。
「あっ、ふたりとも今日はすぐ帰ってきてね。母さんちょっとお話があるの」
朝のニュース番組の合間にある占いコーナーをみてると母さんが俺たちに言ってきた。
なんだろ?母さんは仕事柄夜遅かったりするのでこういった事を言ってくるのはめずらしい。なんか大事な話でもあるのだろーか?
「「わかった」」
「お願いね」
ピンコン♪
俺のスマホが音と共に軽く振動したのでスライドしてメッセージを確認
雪花『駅で待ってるから』
おぉー早速今日から一緒に登校するのかー!
『今から行く』
簡単に返事を返してすぐに食器を片付けてソファーに置いてあるカバンをつかむ。
「ごちそーさん。そして行ってきます」
「あら?いつもより早くない?」
「駅で待ち合わせしてるんだ」
「昨日言ってた彼女さん?」
「あーうん、そう。じゃ待たせてるからもう行くわ」
「はい、いってらっしゃい。今度会わせてね~」
「、、、ジッ」
母よ、偽物だから会わせれないかもしれん。
そして睨むな妹よ
駅までは歩いて10分くらい。待たせてるので少し急ぎ足で向かう。
駅に着くとすぐ見つけた。
天使の輪が出来る艶のあるストレートの黒髪。制服のブラウスとブレザーを押し上げる胸部。
中村雪花だ。
「悪い、待たせた」
「待ったわ」
ジロリとみられる
「しかも髪もボサボサじゃない。少しは気を使ってなおしたりしなさいよ」
「いきなり待ってるなんてメッセ来たからなおす暇なかったんだよ」
「今までなおしてるの見たことないけど?」
「次からは気をつけますよ」
「よろしい、じゃ行きましょうか?」
言って電車に乗り込んだ。
うちの高校までの路線は本数が多く滅多に混むことがない。なので満員電車での接触事故もない。普通に座席に並んで座っている。
しかしこれは、、、
「ちょいと雪花さんや」
「なにかしら?悠聖さん」
おぉ、ノリがいい
「結構みられてるね?」
「そうね」
「慣れてる?」
「だってモテるもの」
「ですよね~」
そう、校内でも有名な美人双子姉妹の片割れなのだから注目を浴びて当然なのだ。頭の良さは見た目と逆だけど。
「勉強なんて留年しない程度にあればいいのよ」
「エスパー?」
「そんな事を思ってる顔をしてたわ」
おっかねぇ
そしてこの注目は俺にも向いている。微笑ましい感じではなく否定的な視線が。
【なんであんな人と?】
【もったいない】
【髪ボサボサ】
そんな目線。てか、最後のはちゃんと声で聞こえたぞ!だれだ!
そんなこんなで学校最寄りの駅に到着。ここから学校までは徒歩10分。
俺達は色んな視線を受けながら並んで歩きだした。
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