第62話 オンラインでもお話したいっ!
俺は今、タブレットをスタンドに立ててその目の前でお菓子とジュースを広げている。
事の始まりはこうだ──
◇
その日の昼休み、いつものメンバーで昼食をとっていた。
「ちょっと思ったんだけど雪花ちゃんも紗雪ちゃんも一緒に住んでるのずるいっ!わたしはアパートで1人なのに!」
今更なんだよ。一応義兄妹なんだからしょうがないだろが。
「確かに。ワタシも家では最近届いたお手伝いさんと二人だけですし」
エレナまで。てかお手伝いさんいるのね。ほんと何者なの?つか、届いたって……
「そんなこと言われてもなぁ。別に一緒に住んでるからってずっといちゃついてるわけじゃないからな?母さんだっているし」
「ゆうちゃん、ほんとに?」
「……ホントダヨ」
「ほらぁ!やっぱり!」
「だって家では雪花は公認の彼女だし、母さんもなんか楽しんでるっぽくて、紗雪をけしかけてくるんだよ!俺は悪くない!」
「はぁ、言ってもしょうがないのはわかってるんだけどね。じゃあエレナさんアレを」
「はい先生」
ピローン♪
ん?スマホになんか届いた?
「今皆さんに送ったのは、ワタシの会社が作った多人数で同時に会話できるアプリです。これを使えば、離れていても画像と音声を同時に繋げることができるんです」
……ワタシの会社?
えーと、銀髪でドMで強くて謎の権力と会社持ち?ちょっと属性盛りすぎじゃね?
後、睦月といつの間にか仲良くなったの?
女同士ってホント不思議。
「と、ゆうわけで!今夜はこれを使ってみんなでお話しよぉ!」
◇
そして、今に至ると。
今日はみんな各自の部屋にいる。
今は午後8時55分。9時から始めるみたいだから、そろそろだな。
俺はアプリを起動。画面にはスタンバイ中の文字が表示されている。
9時になると同時に映像が切り替わった。
画面の下半分が6分割され、それぞれにみんなが映っている。どれか一つをタップすると上半分に大きく映る仕様みたいだな。
「おっ、ホントに映った!」
『ねぇ、奈々ちゃんや私と姉さんまで別々で参加する意味あったのかしら?』
これは雪花。いつものパジャマ姿だ。
『だよねー。悠くんの部屋から四人一緒でよかったんじゃないかな?』
紗雪も雪花と同じ。
『奈々はゲームしながらだから大丈夫だよ』
って言いながらカタカタ聞こえてくるのは奈々。なんでも、イベントランキングの上位に入ったらしくて、それを落とさないために必死らしい。おい、受験勉強は?
『ダメよぉ!羨ましくなるから!』
それに抗議するのは睦月……っておいその格好!
「睦月はせめてもう一枚なんか着ろよ!」
『へへー♪どう?ドキドキする?』
ハッキリ言ってドキドキどころじゃありませんが何か?まぁ……眼福です。
『そうですよ先生。見てるのワタシ達だけじゃありませんから』
そう言うのはエレナ。……いやいやいや!待てい!
『エレナも人の事言えないだろが……なんだその格好』
スッケスケだった。なにこれ?え?ベビードール?すげえな。
『何がですか?ワタシはいつもこの格好なので普通です。ダメですか?ダメなら激しく叱ってください!さぁ!さぁ!』
だめだコイツ。てゆうか……
「ねぇエレナちゃん?その後に控えてるメイドさん?みたいな人は誰?」
そう!それ!俺も気になってた!紗雪よく聞いてくれた!
『え?ひゃあ!』
睦月も今気づいたのか、上に一枚着たみたいだ。
『あぁ、コレはワタシの専属メイドのミユです。ミユ?挨拶を』
『はじまして皆様、ミユでございます。お嬢様をよろしくお願いいたします。そして悠聖様。ぜひお嬢様にご寵愛を頂ける時にはワタクシもご一緒におねがグフッ……』
あ、崩れ落ちた。エレナが何かしたっぽいけど見えなかったな……。
『すいません。ちょっと朝から飲んでいたらしく、酔ってるみたいです』
それってメイドとしてどうなの?
するとミユさんがプルプル立ち上がりながらスカートの中から何かを取り出した。
『み……皆様、護身の為にこちらはいかがですか?単発の他にも三点バーストやフルオート射撃もできるこのM93Rなどはゴフッ……』
また……。懲りない人だ……。
そして気になる事がもう一つ。
「なぁ、後ろに棚に並んでるのって何?」
『コレですか?』
エレナが棚から動物の置物っぽい物を手に取った。
『コレはコジカですよ』
「こ、こじか?」
『えぇ、コジカです。現在八匹のコジカがいます。祖国でおじいさまが狩りに行って狩る度に記念に作って送ってくれるんです。ちょっと見て聞いててくださいね?』
そう言うと、そのコジカ?のぬいぐるみの尻尾を引っ張った。
『ヒギィィイイィィィ!』
!?
『ふふっ、可愛いですよね?』
この子がわからないっ!
『むぅ!エレナさんばっかり!あたしもすごいのあるよ!』
睦月が出したのは黒光りするギターだった。
「どうしたんだ?それ」
『友達がギターやってて同じの買ってみた!』
「……弾けるのか?」
『全然!教えて貰う予定なんだけどね、なんか肉が……PVが……って言ってて時間とれないみたい』
どんな友達だよ。
「そっか、まぁ……がんばれよ?」
『うん!あれ?そいえば雪花ちゃんと紗雪ちゃんは?』
あれ?確かに奈々はずっとカタカタしてるけど、二人は全然喋らないな。
って画面にも映ってないぞ?
カチャ
お?
「もうまどろっこしいから来たわ」
「来ちゃった♪」
部屋にお菓子と飲み物を持った二人が入ってきた。
『あぁあぁぁぁぁ!なんでぇぇぇぇ!』
ちょっ!うるさっ!
「だって同じ家にいるのに別々に話す意味がわからないわ。よいしょっと」
俺の右隣にピタッと雪花。
「そうそう!ね?お義兄ちゃん?なんちゃって!っと」
今度は左に紗雪が腰をおろした。
『ねぇ、ゆうちゃんはなんでそんな平然としてるの?』
え?いや、だってなぁ……
「いつもこんな感じだからよ。そうよね?姉さん」
「うん、まぁそうかも?」
俺はノーコメントで
『もぉぉぉ!それが羨ましいから今回の企画したのに意味無いじゃない!むしろもっと羨ましくなったぁ!もう今日は飲んでやる!』
言いながら画面から消えていく。バタンッと音が聞こえてから戻ってきた睦月の手にはビールがあった。
なんかゴメン。
「あー今度どっか行こうな?だからそんなに拗ねるなって」
『ほんとっ!?やった♪』
機嫌なおって良かった……。
「ねぇ、私は誘ってくれないのかしら?」
「アタシは?」
「奈々は?」
「ワタシとは?」
「ワタクシとは?」
あ……。
っておい!ミユさんしれっとまざるな!
こんにちわ亞悠です。
この度初めてのFAを頂きまして、Twitter上に載せてありますので良ければ見てみてください。
すっごく可愛い双子です!
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