第35話 覚悟
今、朝6時半くらいかな。
まだ外は薄暗く冷え込む時間だが、現在家に向かって歩いている。
隣にはコートのフードで顔を隠し、マフラーで口元まで隠しているが、それでも顔の赤みを隠せていない雪花がいる。
まだ違和感があるせいか歩き方がおぼつかないので、俺の腕にしがみつくような形だ。
「大丈夫か?」
「ふぇっ?だ、大丈夫…よ?」
「無理しないで休みながらでいいからな?」
「支えてくれてありがとう。けど、今は少しそっとしておいてくれると助かるわ。その…まだ恥ずかしくて…」
そうなのだ。朝起きると同時に取り乱し、顔を真っ赤にしてヨタヨタしながら睦月のアパートを出ようとする雪花をどうにか落ち着かせ、朝早くから一緒に出てきたのだ。
あの場所にいるのに耐えれなかったのだろう。
まぁ、わからないでもない。
初めてが三人なんてそうそうあるものじゃないからなぁ。
ちなみに睦月は見送りに来たときに
「紗雪さんも誘ってみてね~♪」
なんて言ってきた。
そんなうまくいくわけないだろ!
「ねぇ、悠聖君?」
「ん?なんだ?」
「私達これで良かったの?私達の関係ってまわりに良くあるような普通の関係ではないわよね?」
「…そうだな」
「もし、私か先生が自分だけを見てって言ったらどうするつもり?」
その答えは最初から決まっていた。
「もし、そうなったら俺はきっと睦月を選んでただろうな。過程はどうあれ、気持ちがハッキリしてないのに俺が最初に受け入れたのが睦月だったから」
「そう。悠聖君なら誰とも付き合わないなんて言うかと思ったのだけど」
「それも考えたけど、それは逃げてるような気がしてな。全員から同じように嫌われれば、これはしょうがないんだなんて自分を正当化してしまいそうだった」
「らしいと言えばらしいわね。でも、それを聞いて私も決めたわ」
「決めた?何を?」
「覚悟よ。私はこれからもずっと悠聖君の側にいるわ。もちろん先生も一緒に。もう離れるなんて考えられないもの。だからちゃんと責任取ってね?」
「せ、責任?」
「そう。責任。まず、どちらと籍を入れるのかちゃんと決めないといけないわよ?それに、私と先生に子供が出来たら大家族になるもの。大きなお家にしないといけないわよ?がんばってね。それに、もし姉さんも入ってきたらもっと大変よ?」
「子供!?結婚!?てか紗雪も!?」
「なにを驚いているの?ずっとそばにいるって言ったじゃない。それはもちろんどちらかが命を終えるまでよ。それに姉さん一人増えたところで何も変わらないわ。悠聖君はちょっと体力的に大変かもしれないけど」
それ、覚悟決めすぎじゃない?これから誰と出会うかもわからないのに
「これから先、誰と出会うかもわからないなんて思っているのならそれは無駄よ。私は悠聖君以外の男という存在には、なにも興味も価値も持たないわ。これはきっと先生も同じね。だから心配しないで。もし、悠聖君がもっと増やすつもりならきちんと審査しなければいけないけど」
「ちょ、ちょっと待て!増やすってなんだ!?そんなに節操無いわけじゃないぞ!」
「説得力無さすぎておもしろいわね?ラノベのハーレムものみたいになっているのに。しかもみんな親族なんてレアもいいとこだわ。排出率0.001%のURものよ」
ぐっ、なにも言えない…
「それに私と同じくらいにあなたを想っている姉さんが可哀想だもの」
紗雪の気持ちってそんなにだったのか?
いや、でもこないだの風呂の事考えればそう思わなくもないか…
それにしても、
「雪花さん、開き直りすぎじゃないですか?」
「もう私もやけよ。開き直りもするわよ!初めてがあんな形だったのだもの!もうこれ以上恥ずかしいことなんてないわ!」
「あ、はい。ソーデスネ」
「そんなわけで、これからもよろしくね?旦那様」
俺の未来がほぼほぼ確定した瞬間である。
━━こんにちは!亞悠です!
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【元女子高生行き倒れWeb作家(17歳)の青春やりなおしに付き合う事になったけど、体験した事しか書けないって言って俺を振り回すのはやめてくれ】です!
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