第37話 対立

着替えて自室を出て、向かいにある雪花の部屋のドアをノックする。


「きたぞー」


そいえばみんな集まって何をするんだろうか?


「どうぞ、入って」


部屋に入ると雪花がベッドに座り、紗雪と奈々がベッド脇にあるガラステーブルを囲むように座っていたので、俺も空いてる所に座ろうとすると、雪花に隣をポンポンされたので言われるままに隣に座ると、そっと俺の手を握ってきた。

見てる見てる!めっちゃ二人が見てるから!


「で、みんな集めてどうしたんだ?」


「あなたのハーレムに勧誘してたところよ。詳しい事はまだ話してないわ」


ぶふっ!なんでそーなった?しかも奈々もいるんだぞ?てか、俺の意思はどこいった?


「ちなみにあなたの意思は関係ないわよ。私勝手に作ろうとしてるだけよ。」


最近俺の心読んでる来るけど、そんなわかりやすいか?

にしても、私ってことはまだ睦月の事は話してないんだな。それなら良かった…って良くないだろ!ほら紗雪もなんか困った顔してんじゃん!奈々だって…ん?奈々は何故そんな期待してるような目で見てくる?ちょっと待て。俺達は血が繋がった兄妹だよ?わかってる?


「で、どうかしら?姉さんはもちろんのこと、奈々ちゃんもあなたの事を慕ってるのはわかってるのよね?もちろん男として」


それはまぁ、なんとなくはわかってはいたけど。でもなぁ…。


「ふぅ、そんなに急ぐ事でもないしまだ中学生だもの、ゆっくりいきましょ?姉さんは?」


「せっちゃんどうしちゃったの?何があったの?」


「私ね、何があっても彼と離れるのが嫌なの。私だけのものにならなくても側にいれればいいの。彼が他の人を選んでその人だけのものになるのが耐えられないの。そうならないためなら、何だってするわ」


「そっか…。うん、決めたよせっちゃん。アタシはそんなの認めない!アタシはアタシだけを見てほしいもん!」


「じゃあどうするの?」


「せっちゃんがいてもゆう君の事諦めるのはやめる!負けないから!絶対にアタシだけを見てくれるように頑張るんだから!」


「よろしい、ならば「言わせないぞ」…だ」


「むぅ」


紗雪が真面目に話してるのに、何を言おうとしてんだお前は。気持ちはわかるけど!すんごいわかるけど!


「二人で何話してるの?」


「いえ、なんでもないわ。それにしても初めてね?姉さんとこんなハッキリと争うのって。いつも守って貰ってきたもの」


「そうかもね。だけど今回は譲れないの。ねぇ悠君」


立ち上がり真剣な顔をして俺を見つめ呼び掛けてきた。その真剣さに気圧されそうになる。


「な、なんだ?」


「アタシ、今でも悠君の事が好き。これからずっと。だからアタシがきっとアタシだけを見てくれるようにしてみせるから!」


「お、おう。お手柔らかに?」


「うん。じゃあこれ決意表明ね?」


「あ、なにが?むぐっ…んっ」


「んちゅ…あむっ、れろっちゅっ」


舌が、舌が入ってくる!って雪花なんでそんなニコニコして見てんだ?


「ぶはぁっ!紗雪っ、おまえっ、舌!」


「エヘヘヘ♪ごちそーさまでした♪油断してたらどんどんいっちゃうよぉ~!」


どんどんて…


「お、おにぃ?奈々も…したぃ…」


「えぇ!?いや、でも奈々は…」


「悠聖君、この流れで奈々ちゃんにだけしないのはちょっとひどいんじゃないかしら?」


「確かにそーかもー!奈々ちゃんだってアタシ達と同じ気持ちなんだし」


「紗雪お前さっきハーレムは認めないとか言ってなかったか!?」


「それはそれ、これはこれ。仲間外れはダメだよ?今回だけは見ないフリしてあげる♪」


み、味方がいないっ!これ、しなかったら悪者じゃんか。もしかして雪花が止めずにさっきニコニコしながら見てたのはこの為か!?


「ねぇ、おにぃだめ?」


四つん這いになってこっちに向かって上目遣いだと!?どこで覚えた!?

ぐうっ、我が妹ながら可愛い…


「はぁ、わかったよ…。奈々、おいで」


パアッと笑顔になりベッドに座っている俺の膝の上に向かい合うように乗っかって首に手を回してきた。


「へへっ、おにぃ大好き♪」


そして俺は妹ともキスをした。

なんか俺が読んだ事があるハーレムものとは違う気がする。本の主人公はほとんど無自覚ハーレム作ってたけど、こっちは自覚してる上に周りだけで出来上がって行ってるような?なんだこれ?

そして、これで今日四人の魅力的な女の子とキスしたことになる。

そのうちバチが当たりそうだな…。



「さぁ、そろそろ下に降りてご飯食べましょう」


その雪花の声でみんな立ち上がった。




━━その頃リビングでは


「なぁ、弥生ちゃん?」


「どうしたの?」


「二階からギシギシ聞こえてきたらどうしよう?」


「知らないフリをしてあげるしかないわね。それよりも気になる事があるの」


「それしかないよねぇ。認めちゃったから文句も言えないし。ラノベやアニメみたいな事ってホントにあるもんだね。で、気になること?なんだい?」


「多分、見た感じ紗雪ちゃんも悠聖の事好きだと思うのよ~」


「え?」


「どうなるのかしらねぇ~♪」


「えぇ~~~!?」





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