第12話 宣言!

 カランッ

 二人が入ってきた。


「橋本君おまたせ~♪」

「おはよう。今日は呼び出したりしてどうしたの?」


 紗雪の方はスキニージーンズにタートルネックのニット、ライダースジャケットと、幼い顔立ちとカッコいい感じのギャップがいい感じである。雪花の方はロングスカートと、紗雪とは色ちがいのタートルネックのニット、その上にロングカーディガンを羽織っていて、大人っぽくて綺麗だ。


「ねぇ、聞こえてる?なんだか顔赤いわよ?」


 見惚れてたら雪花が目の前までやってきた。


「ケホッ、あ、あぁ悪い、呼んだのは確認しときたい事があってね。とりあえずなんか頼むか」


「じゃ、アタシはこのオレンジジュースとケーキのセット!」


「私も同じで飲み物はコーヒーでお願い」


「俺はコーヒーだけで」


 雪花が怪訝そうな顔で見てくる。


「どうしたの?何か変よ?」


「朝からちょっと食欲なくてな」


「………ぃぃなぁ」


「ん?どうしたの?中村さん」


「なんか彼氏彼女ぽくていいなぁって。あと呼び方!いつまでも中村さんじゃぁ……淋しいなぁって」


 そう言いながら見上げてきた。グフッ

 美少女の上目遣いありがとうございます!

 こうかはばつぐんです!頭がクラクラしてきました!ケホッ


「よ、呼び方は検討させていただきます。で、今日呼んだのはその彼氏彼女に関してなんだ」


 瞬間、雪花の表情が強張る。


「ちょっ、それは………


「俺と雪花はホントは付き合ってないんだ」


 雪花は下を向いたまま、紗雪は食べようとしてたケーキを持ち上げたところで固まっている


「え?それはどーゆーこと??」


「なんかな、今回の再婚を辞めさせる為に恋人のフリをしてたってわけ。結局お粗末な結果になったけどな。で、親たちの前で宣言しちゃったもんだからすぐ別れるわけにもいかないでしょ?だから兄妹の間だけでも真実話して合わせて貰おうかと思って」


 ちなみに奈々に言ったら、「やっぱり。おにいにあんなに綺麗な彼女ができるわけない。」と断言された。 げせぬ



「ふ~ん。きっとせっちゃんの事だからアタシの為にしてくれたんだよね。でも……せっちゃんが助けられた時の気持ちは嘘じゃないと思うんだけど、そこんとこどぉーかなあ、ー?せっちゃん?」


 ビクッとなる雪花。いまだ下を向いたままで何も言わない


「…何も言わないんだ。ならアタシにもチャンスがあるよね?」


「!?」


「橋本くん」


「ん?何?」


「アタシ……橋本君…じゃなくて悠君のホントの彼女に立候補しますっ!」


 ………は?


「はぃ?」


「だってずっと会いたかった初恋の王子様なんだもん。学校では悠君ずっと前髪下ろしてたからわかんなかったけど、髪上げたらあの頃のまんまなんだもん。せっちゃんの彼氏だから諦めようとしたけど違うなら諦める必要もないよねっ!」



「………ダメ…………ダメッ……!」


 んをっ!急にどうした雪花さんや


「私も……私だって……」


「……せっちゃん??」


「私だって……もう恋人のフリとかじゃなくて好きなんだもん。好きになっちゃったんだもん。だから姉さんはダメなんだもんっ」


 もんって……キャラ変わってますよー!これはこれで可愛いけどもっ!


「そっかぁ、じゃどっちが先に悠君落とすか勝負だねっ!」


「ま、負けないから……」


「あー、あのー俺の意思は?」


「「ないっ」」


 ないですか、そーですか。

 すると紗雪が時計を見て立ち上がった。


「じゃ、アタシ午後から友達と遊ぶ約束してたからそろそろ行くね。覚悟しててねちゃん♪」チュッ


 !?


 頬に伝わる唇の感触……まじか、なんてことしやがる!ドキドキして止まらねーじゃねーか!


「あーーーっ!姉さん……ズルい」


 ズルいってなんだよ。しっかしどうなってんだ?恋人のフリしてただけなのに双子の両方からも好意的な事を言われ、しかもその双子とは再来週には同居がはじまる…。頭痛がする

 だめだ、キャパオーバーだわ

 ホントにクラクラしてきた。


「ちょっと?悠聖君?大丈夫?顔赤いわよ?」


 雪花が何か言ってるけど返事するのもダルくなってきた。黙っていると額に手を伸ばしてきた。あー冷たい手が気持ちいい……


「すごい熱じゃない!病院いくわよ!」


 そのまま連れられて近くの病院に連れてこられた。結果はインフルエンザ。薬やら会計やらは全部雪花がやってくれた。ありがたや~。受付の人に優しい彼女さんねーって言われてアタフタしてたのが可愛かった。

 その後、フラフラの俺を一人で帰らせる訳にもいかないと言い。うちまで着いてきて、俺の部屋に行き、俺はベッドにダイブ。雪花は来る途中で買った冷えピタを取り出して貼ってくれた。

 いつも寝るときのお供のビーズクッションをワシャワシャしてると


「可愛いとこもあるのね」


 と言いながら微笑んでくれる雪花の顔を最後に俺は意識を手放した……

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る