第8話 雪花side1 父娘
「たっだいま~♪」
「ただいま」
姉さんと一緒に帰って来たけれど、まだお父さんは帰ってきていない。
時計をみるとまだ5時を過ぎたばっかり。まだかかりそうだから今のうちに夕飯の支度をしようと思いエプロンを手に取……「ちょーっと待って!」れなかった。
「なに?姉さん」
「あ、えーと、せっちゃんは今のうちに宿題終らせたら?アタシはもう学校で終わらせてきたし、ご飯はアタシ作るから大丈夫だよ!うん、そのほうがいいよっ!」
「そう?久しぶりに作ろかと思ってたのだけど」
「いいからいいから!」
「そんなに言うのならお願いしようかしら」
「うん、任せて!………ぁぶなかった~」
楽出来るのはいいけど姉さんの作るご飯は私には少し味が薄いのよね。
もっとこう……赤みと辛味がないと………
宿題も終わって姉さんの方も夕飯を作り終わってリビングでテレビ見てたら玄関から物音が聞こえてきた。
「お父さん帰ってきたみたいね」
「だね~♪じゃ、ご飯並べちゃうから座って座って」
お父さんも着替えて席についた
「ただいま。少し遅くなってしまったな。夕飯の準備ありがとう」
「いいよいいよ~♪じゃ食べよう!お父さんの話も気になるし」
「そうだな、それは食べながら話そう」
たわいのない話をしながら時間が、進んでいく。先に食べ終わったお父さんが話を切り出した。きっと彼の家でも今からお父さんが今から話す話を聞いていると思う。
「あー、父さんが付き合っている人がいるのは二人とも知ってるだろう?そろそろ再婚を考えてるんだが、二人はどうだろうか?」
姉さんの顔色が変わる
私達の家には母親がいない。私達が小さい頃に亡くなったから。それからはお父さんが私達の面倒を見てくれた。
私には本があって、姉さんもいたからそんなに淋しいと思った事はないのだけど、姉さんにはお父さんしかいなかったため、少々ファザコン気味になっている。小6の頃に他に夢中になるものを見つけたみたいだけど、それまではお父さんにベッタリだった。
だからホントはイヤな気持ちもあるはず。けど、幸せになってもらいたいし、イヤな子にはなりたくないからきっと姉さんはこう言うはず
「うん!全然いいよ~♪」
……やっぱり
「私は少し考えさせて」
「あぁ、わかった。なら今度両家で食事会をしようと思ってるから、雪花はその時に答えを出してくれると助かるな」
「わかったわ」
そう言って食器を片付けてお風呂に入るために廊下に出ると姉さんがついてきた。
「せっちゃんなんですぐOKしないの?お父さんが幸せになるチャンスなのに……」
「ちょっと考えがあるのよ」
「そっか、でもちゃんと決めてあげてね!」
「それはわかってるわ」
それだけ言ってお風呂の戸を開けた。
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