第40話 睦月が来た!

 今日は大晦日。母さん達はすでに仕事に行った後、彼女はやって来た。


「おっじゃましまぁーす!」


 そう、以前母さんが言ってた通りに睦月がやってきたのだ。


「久しぶりのゆうちゃん成分~♪補給開始~♪」


 言いながらもえいっ!と腕にしがみついてくる。そして挟まる。柔らかっ!


「ちょっ!今はやめろって!まだ紗雪と奈々は知らないんだからな!」


「む、まだ言ってないんだ?雪花さんならもう誘ってるかと思ったのに」


「なんかそれっぽい事は言ってたみたいだけど、睦月の名前は出してないな」


「ふ~ん、じゃ今日明日あたりかな?てかゆうちゃん止めなかったんだ?」ニヤニヤ


「俺が止めて止まるならもうやってるさ」


「うんうん、諦めが肝心だよっ♪」


 諦めたら終了みたいな言葉があるけど、俺の場合諦めないと俺が終了しそうな気がする。特に最近の雪花はなんとゆーか、俺の人生が自分の人生みたいになってきている。ニコニコしながら俺のやる事全てに全肯定なのだ。怖可愛いけど。


 その時リビングからみんな出てきた。急いで睦月と距離を取る。口を尖らせてちょっとむうっと睨まれたけど、今はまずい。上目遣い可愛い。後上から見える谷間がすごい。


「あら、先生いらっしゃい」


「ホントにむっちゃん先生だ!こんにちは~!」


「睦月ちゃん久しぶり~!」


 睦月はさすがに年を重ねているせいか、すぐに表情を変えて三人に向き合った。さすがだ。


「雪花さんね。紗雪さんも学校の外では初めてね。これから親戚としてもとしてもヨロシクね?なっちゃんも久しぶり~!お盆以来かな?綺麗になったね~!」


「ん?久しぶり?せっちゃんは先生に会ってたの?」


「えぇまぁ、ちょっとね。この間とフォローしてもらったのよ」


「そなんだ!あっ、先生荷物持つね!とりあえずリビング持って行けばいい?」


「睦月ちゃん寒いでしょ?早くリビング行こ?」


「ありがー。けど学校の外では先生じゃなくて名前でいーよ?これから長い付き合いになるんだし好きによんで?先生が呼びやすいならそれでいーけど。あたしもこれから雪花ちゃん、紗雪ちゃんって呼ぶし♪ってなっちゃん!ちょっと待って!」


 紗雪と奈々に連れられて睦月はリビングに向かい、玄関ホールには俺と雪花が残された。


「いきなり騒がしいな」


「そうね。それにしても…」


「なんだ?」


「彼女がいる間アナタの理性は持つのかしら?私達の煩悩は108じゃ払いきれないわよ?フフッ」


 言いながら口元に人差し指を当て微笑み、俺に視線を送り、背中を向けてリビングに向かって行く雪花。ゾクッとした。ゾワッとした。それと同時にドキッともした。思わず立ちすくんでしまう。

 まいったな。俺ってばちょっとMっ気があるのかもしれん。


 俺も少し遅れてリビングに行くと、そこにはコートを脱いでボディラインがハッキリとわかるニットワンピ姿になった睦月と、ソファーにうつぶせになってブツブツ言ってる紗雪。そしてそれを見て申し訳無さそうな顔をしている奈々に、マイペースに大晦日の特別番組を見ている雪花がいた。


「奈々…何があったんだ?」


「なんか、睦月ちゃんがコート脱いだらこうなっちゃった」


 睦月がコート脱いだら?何か変わるのか?……あ!


「あー、もしかしてサイズ的な?」


 ピクッ…!プルプルプル


 おや?紗雪の様子が……?

 ガバッと起き上がって俺を睨む。


「んもぉ~~~!なんでなんでそれだけでわかるの!?悠君はやっぱりおっぱい星人なの?」


 いやぁ、そんな事言われても…。前に雪花と奈々のブラ見ながら凹んでたから予想出来ただけででしてね?


「先生も先生だょ!滅多に見かけなかったし、ユルい服か白衣ばっかり着てたけどまさかそんな凶器を隠してただなんて!サイズは!?サイズはいくつなの!?」


「えーっと、G…かな?あはー」


「なんてこと…アタシの見え張ったサイズより4

 つも…せっちゃんよりも1カップおっきいなんて!持ってるパット全部入れても届かない…」


 かける言葉もない。別にそんなに気にしなくてもいいと思うんだけどなー。多少はあるんだし。俺は気にしないし…って何様だよ。

 それにしても睦月はGなのか。それより1つ小さいから雪花はF。そして奈々はEだな。そして紗雪は今はギリギリCと。格差がすげぇな。がんばれ!


「ま、まぁ紗雪ちゃんまだ16歳だしこれから…ね?」


「いいよーだ!どーせみんなその内垂れてくるんだから!」


「「「なっ!?」」」


 三人が一斉に反応する。


「それだけは、それだけは言っちゃ駄目よ姉さん」


「今のあたしの歳には禁句だわ。ただでさえ最近運動不足なのに…」


「奈々は?ねぇ、奈々は大丈夫だよね?ね?」


 みんながみんな、傷口に塩の塗りあいだった。女って怖い。まぁ、男には関係ないな。

 ってそんな事はなかった。


「「「「ねぇ、」」」」


「悠聖君は」


「悠君は」


「おにぃは」


「ゆうちゃんは」


「「「「どっちが好き?」」」」


 俺は真剣に考えた…


「胸もだけどお尻もなかなか…」


 …あれ?反応なし?


「紗雪ちゃんが料理作るんでしょ?あたしも手伝うね?」


「うん、先生なら安心かも」


「雪花さんゲームしよ?」


「いいわよ。何にしましょうか?」


 あっっれぇ?


「あっ、悠君はお風呂掃除お願いしていい?タイマーで沸かすようにしときたいから」


「おにぃ!二階の廊下の電気も切れてるから交換お願いしていい?」


「あ、はい」


 雑用がんばりまーす



 ━━━━━━━━


 その後はみんなでお昼を挟みながら軽く家の中の掃除をした。

 そんな中、俺が二階の廊下の電気を変えてると足音が聞こえてきて、目線をやると睦月が上がってきていた。

 俺の近くまで来ると小声で、


「ゆ~うちゃん♪来ちゃった♪」


 言いながら俺の胸元を掴み、引き寄せてくる。


 ちゅっ


「えへ、久しぶりのキス…だね。雪花ちゃんとはあれからどう?」


「まぁ、普通に家族として仲良くしてるよ。恋人としては、時々は…な」


 ほとんど雪花から俺が襲われる感じなのは言わない。言えない。


「そっかぁ。いいなぁ~いつも一緒にいられて。合鍵あるんだし、いつでもあたしの部屋にも来ていいんだからね?」


「あぁ、わかってるよ」


 そう言って今度は俺からキスをすると、睦月の目がびっくりするように見開き、すぐにトロンとした顔になる。


「えへ、えへへへへ♪ゆうちゃんからキスしてくれるのって初めてだね。うれしい♪」


 そうだっけ?確かにいつも受け身のような気がしないでもないような?けど、喜んでもくれるなら悪くないかな。


「おにぃ~~!交換おわったぁ~~~?お風呂沸いたから入っちゃって!」


「あぁ!今終わったから降りていくよ!」


「って事だから下に行くぞ?」


「うん、その前にもう一度キス…して?」


 くそぅ!可愛いなぁ!もう!



 一度自室に行き、着替えを持って下に降りると紗雪は料理の下ごしらえを始めるところで、雪花と奈々は外出の準備をしていた。


「あ、先生!そろそろ料理作り始めるから手伝って~」


「うん、おっけー!」


 エプロンを出してキッチンに向かう睦月。じゃ、俺は他の二人に声をかける。


「あれ?二人はどこか行くのか?」


「えぇ、ちょっとね」


「奈々も一緒に行ってくるね」


 気をつけてなーと見送る。いつも誰かしら突入してきたから風呂も一人で入るの久しぶりだな。他の奴が聞いたら贅沢な話だと思うかも知れないけど、これはこれで大変なんだからな。主に理性さんが働き過ぎで。そろそろ理性さん過労で倒れるんじゃないか?


 あ゛~~~!風呂気持ちいぃ~~~!!


 たっぷりと一時間程浸かり、上がるか!と浴槽から上がって脱衣場に向かい、浴室と脱衣場を隔てている扉を開けた。


 は?


 予想外の事に隠す事も忘れる。


「ひゃあっ!」


「きゃんっ♪」


 目の前にはテンプレの如く、顔を隠した指の隙間からこちらを見て、はわわはわわしている紗雪。お前、前に風呂に乗り込んできたよな?

 その隣にはひたすらガン見してくる睦月。


「おい、お前らなにしてんだ?」


「違うの!先生がせっかくだから覗きに行こうって言うから!」


「睦月?」


「覗きたかったの!見たかったの!だから来た!悔いはない!」


 欲望に素直すぎだろ!そしてお前はどこの救世主の兄貴だ!


「ゆ、悠君?そろそろ着替えないと…その…見えちゃってるから…」


 そうだった!俺風呂から上がったままだった!


「その前にお前ら出ていけー!」


「「はいっ!」」


 着替えてリビングに行くとあらかた料理は出来上がってるみたいだった。

 睦月はテレビをみて、紗雪は、「あんなのがあんなのが…」とブツブツ呟いている。



「ただいま」

「ただいまー!」


 ちょうど雪花と奈々も帰って来たみたいだな。



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