第41話 兎、猫 、狐、牛……狼?
「二人ともおかえり。結構な荷物だな?何買ってきたんだ?」
いや、ほんとに凄い荷物だな…。
「それはまだ秘密よ。ご飯の後ね」
「あっ、せっちゃん達おかえり!って凄い荷物!?なにこれ!?」
ほらな?みんなそう思うだろ?
「それはシークレットよ。ご飯の後ね」
言い方変わった!?
「そこで英語使うとかえってバカっぽいよ?さ、ご飯にしよ!」
「英語つかったのに…」
さ、さすが唯一の補習経験者だな。さて、俺もリビング行くか。
「うわっ、すげぇな!これ全部二人で作ったのか?あれ?伊達巻は?」
すると紗雪が俺の側まできて耳元でささやいてきた。
「悠くんの好きな伊達巻は冷蔵庫にあるよ♪今出すから待っててね♪一番気合入れて作ったんだから!」
「お、おう。手作り伊達巻なんて初めてだな。楽しみだ」
「あー、紗雪ちゃんが餌付けしてるー!」
「ちょっと先生!言わないでよ!」
「次こそは私の手料理を…」
「「それはやめて」」
「むぅ…」
そんな感じで騒ぎながら皿とか準備しながら全員が席につく。みんな楽しそうだ。いいな、こんな感じ。
だけど俺がこんな美女達に囲まれてるこの状況を学校の奴等に知られたら消されるな。確実に。
そんな光景を眺めていると睦月が口を開いた。
「じゃ、食べましょうか。ゆうちゃん、掛け声よろしく」
「んぇ?なんで俺?」
「だっていまはゆうちゃんが家主でしょ?あたし達からしたらこれからもだけど♪」
ゴフッ!なにをいきなり!
「え?先生それどーゆーこと?」
「んふ~まだ秘密よ。ほらゆうちゃん早く言って♪」
「わかったよ。じゃ、いただきます!」
「「「「いただきます」」」」
そうして今年最後の食事が始まった。それにしても、どれもこれもうまいな!箸がとまらない!
「ふふ、悠くんおいしい?」
「あぁ、すげぇうめぇよ!毎日でもいけるなこれ!」
「ま、毎日!?えへ、えへへへ♪」
「ねぇゆうちゃん、こっちはあたし作ったんだけどどう?」
「あぁ、こっちも上手いよ!こないだ食ったのも上手かったけどな!」
「ん?こないだ?おにぃどゆこと?」
「ねぇアタシも気になるんだけど。さっきの先生の言葉もあったし」
「あ」
「「ねぇ、まさかとは思うけど?」」
紗雪と奈々が座った目をして詰めよってくる。何故か手にはカニの爪。え?挟まれんの?
「あちゃ~。せっかくあたしと雪花ちゃんで濁してたのにまさかのゆうちゃん自爆とは…」
「ホントにね。でも大丈夫。そーゆーところも好きよ」
雪花の愛がブレない。
「何?先生どゆことなの?」
「ハッキリ言いましょう。あたしもゆうちゃんのハーレムメンバーよ!むしろあたしが最初よ!色々とね♪」
「「はぁ~~~~!?」」
ちょっと!カニの爪近づけないで!痛い痛い!
「てことはおにぃの初めてって…睦月ちゃん?昔おにぃと結婚するとか言ってたの本気だったんだ?」
「うん、そーだよー♪」
おい!軽いなぁ!
「そんな…まさか先生まで入ってくるなんて…。距離の近さからして怪しかったけど、ホントにそうだったなんて…」
「先生。ちなみに姉さんは反対派よ。悠聖君をハーレムから引き抜くつもりらしいわ。奈々ちゃんはこちら側よ」
「ありゃ、紗雪ちゃんはそっちだったか~。奈々ちゃんはあたしがいてもいい?」
「え?うん。睦月ちゃんだったら奈々は別に気にしないよ」
「良かった♪」
「ふふ、ふふふふふふ」
あ、紗雪が壊れた。
「姉さん?」
「別にいいよ!もうこの際1人増えよーが2人増えよーが関係ないから!待ってて悠くん!アタシがそのアリ地獄みたいなのから助けてあげるから!よりにもよってそっちみんなおっぱいおっきいし!もうっ!」
「さすが姉さん。プッ…アリ地獄とはクフッ…凄い例えね…プスッ!受けてたつわ!で、出来るものならやってみなさい!プスー」
おい雪花。笑いが堪えきれてないぞ。あとなんつーか…
「ねぇおにぃ、睦月ちゃん。雪花さんがなんか魔法少女に立ち塞がる女幹部みたいなんだけど…」
そう!それ!そんな感じ!
「奇遇ね奈々ちゃん。あたしもそう思ってたわ。あたしが起こるかもしれないって思ってた対立となんか違う。すごいユルい感じがするの。ぶっちゃけると、あたしが巻き込んだようなモノなのに蚊帳の外感がすごいの。」
大丈夫。俺はずっとそんな感じ。
「とりあえずせっちゃんのカニはもうアタシのもの!あむっ!」
「なんてことを!カニと悠聖君は譲れないのに!」
おい!つーかなにこれ?詰め寄られた時は殺伐とした感じになるんじゃないかと覚悟してたけど、いつもと変わんない感じなのは何故?
「ねぇ悠くん、伊達巻持ってきたよ!はいあ~ん」
「えっ?」
「あ~ん!」
「あ、はい。あーん」
「甘さも悠くんに合わせてみたけど、どう?おいしい?」
「あぁ、上手いよ!手作りの伊達って上手いんだな!」
「良かった!じゃあ…アタシも食べちゃう?」
「ゴフッ!」
「きゃあ!びっくりしたぁ!」
びっくりしたのはこっちだから!
「ほら、口に付いてるよ。取ってあげる!ちゅっ!」
んむっ!?口で!?
「はい、とれたよっ♪」
「おまっ、みんな見てんのに…」
ほら奈々なんか顔真っ赤じゃんか!雪花と睦月だって…あれ?普通に飯食ってる?あれ?俺がおかしいの?あれ?
「気にしないもーん!敵が多いからこのくらいはしないと!」
敵って!
俺の普通が壊れながら夕食が終わると今度は女子達のお風呂タイムらしい。
で、俺は何故か雪花達が買ってきた袋の一つを受けとると自室にやってきた。雪花いわく、これに着替えて呼ぶまで待ってろとの事。着替えろ?これ服なのか?
袋からでてきたのは着ぐるみパジャマだった。しかも狼。
なんか意味を深読みしてしまうんだけど…
着替えてスマホをいじりながら約一時間。下から声が聞こえる。
「おにぃ~!おりてきて~!」
とのこと。で降りていくと、そこには可愛い着ぐるみの四人組がいた。
雪花がウサギ。紗雪がキツネで奈々がネコ。そして睦月がウシだった。ウシって
「「「「ジャーン!」」」」
「悠聖君どうかしら?似合うかしら…ぴょん?」
ぐふっ!可愛いすぎる!そして胸元がすごい!
「ねぇ奈々は~?似合うかニャ?」
がはっ!似合いすぎる!奈々もスタイルいいから胸部がなんつーかその…な?
「アタシはアタシは?ほら!コンコンだよっ!」
おぉ~!なんかキツネがすごいハマってるな!ちゃんとボタン全部つけれてるせいか再現度一番!胸元が…うん。
「ねぇ、あたしのウシって…。他になかったのぉ?可愛いけど…。選んだ理由があからさますぎてちょっと悪意を感じるんだけどぉ!何このオチ担当な感じ!」
「気のせいよ」
まぁ…ね。ウシ可愛いよ?胸元のボタンしめれてないけど。
「とゆーわけで今年はこれで年越ししまーすニャ♪」
奈々よ。お前のツンの部分はどこ行った?
「で、なんで俺が狼?」
「「「「だって…」」」」
「私を」
「あたしを」
「アタシを」
「奈々を」
「「「「食べちゃうでしょ?」」」」
………ノーコメントで。
そして今はキツネとウシがそばを茹でている。ネコはソファーでうとうとしていて、ウサギは俺の隣にベッタリでテレビを見ている。年越しまであと5分位か。
「お蕎麦できたよー!」
キツネがそう言いながらお盆で年越しそばを持ってきた。後ろからは箸とか一味を持ったウシも付いてきている。その声にウサギが振り向き、ネコが飛び起きた。
なんつーか、すげぇシュールな光景だな。
年越しまであと
3
2
1
「「「「「明けましておめでとう」」」」」
はい、年明けました!と同時にそばをすする。寝る前だから少量だけどな。
「あーうまかった。みんな今年もよろしくな!」
四人同時に頷く。
「悠くんもみんなも食べた茶碗は水に浸けておいといてね。初詣行かなきゃなんないからもうみんな寝るでしょ?普段この時間まで起きてることないせいか、もう眠いから朝洗うからね~」
「だな、じゃあそろそろ寝るか」
「そうね。着付けに時間かかるし今日はもう寝ましょうか」
「奈々もう眠い…」
「寝不足はお肌の敵だわ」
もうみんな寝たいみたいだな。
「じゃ、おやすみ」
「「「「おやすみ~」」」」
そうしてみんな自分の部屋に。睦月は準備していた客間に戻っていった。
俺もベッドに横になり、少しスマホをゲームをしているうちに眠気が来た。まぶたが重くなってきたな。
「ふぁぁ、そろそろ寝るか」
スマホに充電器を差して枕元に置いて目を閉じる。
……………カチャ
モソモソ、ゴソゴソ
ん?なんだ?
「悠聖君」
「ゆうちゃん」
ん?ん!?雪花に睦月!?なんで?
「ねぇそこの狼さん?」
「私を」
「アタシを」
「「食・べ・て?」」
ほらな、やっぱり俺は狼じゃないじゃん
━━━━━━あとがき的なもの
本編お待たせしました。楽しんで読んでいただけたでしょうか?
他にも連載している、TSラブコメ【だから好きになっちゃダメっていったじゃん!】等もよろしくおねがいします。
先日、初めてのレビューを頂き感動しておりました。胸熱です!
作品が気に入って頂けましたら、レビュー、☆で称える、応援など貰えると嬉しいです。
ではまた。
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