第46話 いつでもどこでも……
三人が教室を出ていった後の、一人残された俺の居心地の悪さといったらもう!
ホントにヒドイ。
特に誰も話かけにくるわけでもないのに、小声でヒソヒソとなんか話している。ヒソヒソのコーラス状態。
てか、聞こえてんだよこのやろう!
「ねぇ橋本君」
ホントに誰も話しかけてこない。まぁ、話しかけられても困るけど。時間までは寝てよう。
「橋本君ってば」
つーかあの三人は次の授業までに戻ってくんのかな?
「無視?けどなんかゾクゾクす……」
「どうしたの?藤田さん。呼んだよね?」
ゾクゾクなんてさせてたまるか
「おのさぁ、【キーンコーンカーンコーン】あれ?」
チャイムナイスタイミング!
にしても三人戻ってこなかったな。
一体何してんだ?せめて先生が来る前に間に合うか?
ガラッ
あっ、戻ってきた。ギリギリだな。
にしても……なんで一番怒ってた紗雪があんなにニコニコしてんだ?エレナもニコニコだし。
雪花は──いつもと変わらんな。
そして昼休み。以前紗雪に説明する際に使用した書道部の部室に俺は来ていた。そしてオレを囲むように雪花、紗雪、エレナの順で座っている。
「しっかし、始業式の日くらい午前で帰してくれてもいいのに、なんで普通に授業するのかね?この高校は」
と、俺がぼやくと雪花が説明してくれた。
「一応、名目上は進学校だからでしょうね」
「まぁ、確かにそうか。……雪花よく受かったな?」
「二夜漬けしたもの」
「なるほどね。ん?二夜漬け?一夜漬けじゃなくて?」
「一夜じゃ足りなかったのよ」
あぁ、なるほど。納得。
「それでさっきは三人で何話してたんだ?紗雪がすげぇニコニコしてたけど」
この質問にはエレナが答えてくれた。切れ長の目を俺に向けながら。
「お二人から悠聖さんの回りの事情を聞いてたんです。ハーレムのお話を」
え゛?言ったの?まぁ、それであきらめてくれたならいっか。こんなの普通はあり得ないしな。って何様だよ。でももう無理。体が持ちません。
「それでワタシは紗雪さんに味方することにしました。ワタシは五人目になるんですかね?」
ほう、なるほどね。確かに紗雪サイドは一人だったから実妹の奈々を抜けば二対二でちょうどいいな。うん。は?味方?五人目?どゆこと?諦めたんじゃないの?
「えーっと、味方って?」
「ワタシも出来れば一人占めしたいタイプなので、紗雪さんと同じ意見ってことですよ。ね?紗雪さん」
「うん、そうだよ!初めての味方!エレナのエはAカップのエなんだって!アタシの大きさでも羨ましいんだって!いやぁ参っちゃうね♪」
んなアホな。それ丸め込まれてるぞ
「なぁ、これ怒ってもいいんじゃないのか?」
「別にいいんです。胸なんて飾りです」
あ、これ突っ込んだらダメなやつだ。
「つーか本気?俺らって、はたからみたら普通じゃないぞ?」
「最終的にワタシのものになれば問題ないですよ。ほら、祖国では一夫多妻は普通にいましたし」
「祖国って?」
「南アフリカです」
「嘘つけ!」
「まぁ、細かいことはいいじゃないですか。あっ、連絡先交換しましょう。スマホ貸していただけますか?」
「絶対細かくない。そんなわけない。なんだ?だれか世界改変でもしたのか?」
「悠聖君諦めなさい。彼女は絶対に折れないわ。私達も一応言ったけど無理だったもの。後、その改変の話おもしろそうだから後で話しましょう」
雪花がそこまで言うのか……
「はぁ、わかったよ。ほらスマホ」
「ありがとうございます。今登録しちゃいますね」
──長いな。
「まだ?」
「もう少しです。ちょっと悠聖さんのが型が古くて送信に時間かかってるみたいです」
ほっとけ!
「あ、終わりました。ありがとうございます」
「ん」
受け取ったスマホをそのままポケットに入れる。
「あ、エレナちゃん!昼休みまだ時間かかってるみたいですあるし、アタシが校内を少し案内してあげるよ!いく?」
「そうですね。用事も済んだのでお願いします」
そして二人は部室を出ていった。
「なぁ雪花」
「何かしら?」
「俺、どうなるの?」
「さあ?ただ、思い込みが強いタイプみたいだから少し気をつけたほうがいいかもしれないわね」
俺もそう思ったよ。はぁ……
その後はなんとか無事に過ごして、今は自室。落ち着くなぁ。
コンコン
ん?
「入るわよ」
「雪花か。どうした?」
「暇だから甘えにきたわ」
「そんなにふんぞり返って、甘えにきた態度じゃねぇな」
「甘えにきたニャン」
「……はい」
ん?なんかスマホの画面一瞬ついた?気のせいか
◇
『そんなにふんぞり返って、甘えにきた態度じゃねぇな』
『甘えにきたニャン』
『……はい』
なるほど、雪花さんは家だとこんな感じなんですね?可愛いじゃないですか。
それにしても、まさか初恋の相手がハーレムを築いてるとは思いませんでしたね。まぁ、ワタシには関係ありませんが。
最後にはきっと……。
くふっ♪悠聖さん。ワタシはいつでも聞いてますから、あなたの全てを教えてくださいね?
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