第68話 ちょっと見せてー……え?
「ちょっとちょっと! ちょっと待ってよ! 出来てないから! それ違うからね?」
とんでもなく焦って睦月が否定する。そりゃそうだ。そんなことになったら大変だもの。
「なら昨日の出来たって言うのはどういう事なのかしら?それを聞いてから、一番を取られたと思って、でも協力しなきゃいけないと思って色々考えていたのよ?」
って言うのは雪花。一番になれないってそれだったのかよ……。
てか、まだ早すぎだし。せめて卒業してからだなぁ……。
そこで睦月が説明をはじめた。
「あのね、ゆうちゃんは前のデートで会ったことあるよね! あたしにギター教えてくれてるまひるちゃんって友達いるんだけど、その子から言われてたFってコードが押さえれるようになって、その報告だったのよぉ!」
あぁギターの話ね。なんだっけ?確か押さえるのが大変なんだっけ?確かに水瀬がいってたような……。てかあいつらどうなったんだ?こないだグループチャット見たときは混沌に極めてたけど。
「まぎらわしいわね……」
雪花がため息をはいた。っていやいや! お前の早とちりだからな?
「そもそもそんな大事な事だったらみんなに言うからっ! もうっ!」
睦月はプリプリ怒りながら弁当を食べ始めた。ん? 弁当? ……あっ!
「なぁ、それなら弁当交換することなかったんじゃないか? 睦月はもうほとんど食っちゃってるけどさ」
「「あっ」」
「えっと、雪花ちゃん? まだ少し残ってるけど?」
「……もういいわよ。サクサクサク」
みんな弁当食べてる中で一人だけスナック菓子を食べてる雪花。シュールだな。
「とりあえず、これで昨日からおかしかった雪花の理由は判明して、解決もしたわけだな。お菓子だけに……」
「さ、そろそろお昼も終わりだし戻ろっか!
ほら、せっちゃんもお菓子の粉が胸元につい……て……る……え?」
そこで紗雪の動きが止まった。「あらホントだわ」って良いながら雪花が胸元の粉を払うと、ゆさっと揺れる。おぉ……!
「あーわかる!粉っぽいのとかパイとか食べるとついちゃうんだよねぇ」
そこで睦月が同意を示すと、紗雪とエレナの視線が雪花と睦月の胸元に行き、次に自分の胸元うつり二人はガッシリと握手をした。
あーうん。何も言うな。
さて、教室に戻るか──
「あ、ゆうちゃんと雪花ちゃんはちょっと待って。次の授業美術でしょ?先に行って画材準備しててもらえる?」
げ、めんどくさ。
「わかったわ」
え、引き受けるのかよ。まぁいっか。「わかった」と、俺もそれだけを告げてから教室に弁当を置いて雪花と二人で美術準備室に向かうことにする。
他の生徒達が自分の教室に戻って次の準備をしている中、俺達は準備の為に先に向かっている為辺りには人気がなくなっていた。
そんな中、美術準備室がある階へと続く階段の途中。
「ごめんなさいね。勘違いで振り回したりしちゃって」
「ん? あぁ別に気にしてないよ。それだけ真剣に考えてくれたんだろ?」
「それはそうなんだけれども……」
「んーじゃあ今、ちょっとパンツ見せてみて」
「ふぇっ?ここで?」
おぉ、さすがに驚いてるな。まぁ学校だもんな。冗談なのに。
「なんてな、冗談じょう「い、いいわよ」だん?ん?」
なんて?
「ちょ、ちょっとだけだからね……」
雪花はそう言いながら辺りを見回すと、俺より数段上にのぼり、顔を赤くしながらスカートを少したくしあげた。
見えた。
「み、見た?」
「お、おう……」
「っ!はい、おしまい」
そう言うとスカートを持っていた手を離すとスカートはフワリと下がり、もう見えなくなる。
そのまま呆然としていた俺の所までおりてくると、腕をつかんでこう言った。
「ちょっとドキドキしちゃったわ。ホントにもう……エッチね」
──最高かよ!
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