第55話 紗雪の憤り
☆雪花視点☆
結局、悠聖君の腕を見た後は寝ることはできなかったわ……。
ホントに腹立たしいわね。あのジェラ
ホントどうしてくれようかしら。
友達いないから誰かと組んで……ってのは無理ね。ん~。
いつもより早く下に降りると、姉さんが弥生さんと朝食の準備していた。
「おはようございます」
「「え?」」
二人はそう言いながら時計と私を交互に見る。
「「え?」」
二回目よ。
え?って何よ。姉さんならともかく弥生さんまで。
「ちょっと早く起きすぎて、それから寝てないの」
「あ、そうなんだ!せっちゃんがこんな早くに起きてくるからびっくりしちゃった」
だと思ったわ。
「顔洗ってくるわ」
「いってらっしゃい」
ふぅ、さっぱり。顔だけはね。
戻ると、朝食が並んだテーブルに既に悠聖君が座っていた。
「……おはよう」
「……」
??
「悠聖君?」
「──ん?あぁ雪花か……おはよ」
やっぱり様子が変ね。左手も下ろしたままだし。もしかしてさっきより酷くなってる?
「悠聖君ちょっとゴメン」
「んぁ?」
額に手を置く。少し熱い。
次は左手を──っ!朝方より腫れてない!?
「せ、雪花……手離してくれ」
「あ、え、ごめんなさい」
無意識に腕を掴んでしまっていたみたい。
それにしても、これで学校行こうとしてたの?無理よ。駄目よ。そんな無茶な事はさせられない。
「弥生さん」
「ん?なぁに?雪花ちゃん」
「悠聖君、腕を怪我してます。腫れてて少し熱もあるみたい。病院に行った方がいいです」
「ちょ、雪花!?」
「確かに顔色悪いわね。腕は……あら、これはちょっと酷いわね。雪路さんに車出してもらうから病院いきましょう。今日は学校休みね」
「い、いや、大丈夫だってこのくらい!」
「えいっ」
「イダァァァ!こ、このやろう!」
「駄目じゃない。はい休み決定。学校に電話するから」
「く、くそぅ……」
さすが弥生さん。冷静だわ。それに躊躇なく腫れてる所つついたわね……。
そして悠聖君。みんなに内緒にしたいのも、強がりたいのもわかるけど、そんな「言ったなぁ?」みたいな顔して見ないで。心配なのよ……。
「ねぇせっちゃん。もしかしてあの怪我って?」
「そうよ姉さん。あのジェラ
「ジェ?ジェラ男?」
「ジェラシー男。略してジェラ男よ。彼にあんな事をした人の名前なんて呼びたくないわ」
「そっか。斎藤君か。斎藤君のせいなんだ。ふぅん」
「姉さん?」
「なぁに?ほら、早くご飯食べちゃって。アタシ達は学校行かなきゃなんないんだから」
「えぇ」
コレは姉さん相当怒ってるわね。一見いつも通りに見えるけど。
多分、他の人は気づかないだろうけど私にはわかるわ。
ジェラ男どうする?こうなった姉さんは……姉さんは……どうなるのかしら?
ここまで怒ってるのは初めて見るわね。
「じゃあ私達は行くわ。ちゃんと診てもらってね」
「悠君、絶対に無茶しちゃダメだからね!」
「……わかったよ」
彼の見送りを受けて私達は玄関を出て歩いていく。
「ねぇせっちゃん」
「なに?」
「悠君痛そうだったね」
「そうね」
「大丈夫かな?」
「きっと大丈夫よ」
「せっちゃん怒ってるでしょ?」
「当たり前じゃない。ジェラ男はただじゃおかないわ」
「アハハ!その呼び方気に言ってるでしょ?」
「なんか語呂がよくて……。そういう姉さんだって怒ってるでしょう?」
「そうだね。怒ってるね。こんなに怒ったことないかも」
「私も初めてみるかも」
「そうかもね。ホント……許せないよね」
その後、駅の近くでエレナさんと一緒になったので事情を説明しながら学校に向かっていく。説明が終わるとエレナさんはずっとスマホをいじっていたけど何をしてたのかしら?
ちなみに奈々ちゃんには弥生さんが言っておくみたい。
睦月先生にはメッセを送っておいた。返事は『わかったぁ。ありがとう!』だけだった。これで全員。
ごめんなさい悠聖君。私には黙ってるの無理だったわ。
教室に入るとジェラ男がこっちを見てニヤニヤしていた。きっと悠聖君が、自分が言った通りにしたと思っているのでしょうね。
ばーかばーか。催涙スプレー買えば良かったわ。
あ、自分の席に着いた姉さんの所に向かったわね。
「よう紗雪、今日は橋本はどうしたんだ?」
「……悠君は今日は病院よ。何故か腕が凄い腫れてて熱がでたの」
「!?……そ、そうか。はっ、ダッセ」
ダサいですって!?ジェラ男のせいなのに!
「なぁ、さゆ【バチン】ヒブッ!」
……へ!?
──────
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