第6回『相棒シリーズ X DAY』

 私は別に相棒ファンでもなく、TVシリーズもそんなに見ていないが——

 それでも、楽しかったし大いに感動した!

 この映画で主人公となるのは、警視庁捜査一課の伊丹刑事と、サイバー犯罪対策課の岩月捜査官。

 彼らがある殺人事件を追っていくうちに、上層部からストップがかかる。

「これ以上、深追いするな」 と。

 実は、殺人事件の犯人が逮捕されるまでならいいが、下手に犯人の背景まで探られて、余計な手掛かりにたどり着かれては困る人々がいたのだ。

 ここでは明確には言わないでおくが、ある国家機構の重要部門である。

 警察庁に圧力がかかり、主人公の二人は捜査中止を命じられる。

 でも、二人はその圧力に屈せず、自力で事件の真相に迫っていくのであった。


 

 さて。

 ここで、ちょっと映画の内容のことは、置いといておきまして。

 現実の、私たち自身のことについて考えてみよう。

 社会の中で、人は誰しも『役割』というものの縛りを受けている。

 映画の話で言うなら、仕事という縛りだ。

 二人の主人公は、刑事という『役割』の縛りを受けていた。

 刑事の仕事は犯罪者を捕まえることだ、というのがまず頭に浮かぶ。

 しかし、刑事である以前に、警察という組織の構成員である。

 上からの、上司からの命令は絶対である。

 生々しいが、『たとえ命令が理不尽なものであったとしても』である。

 従わねば、クビである。

 ゆえに、例え間違っていても、自分が生きていくために従う場合が多いだろう。

 正しさを貫くために反抗して得られるものと、逆に失うものをはかりにかけた結果、失うものの方が大き過ぎる、という方に傾くだろう。それ自体は、決して責められることではない。

 ただ、ここで間違いなく言えること。



●組織の人間という役割に囚われている



 そういう状態にある、ということ。

 だから、目の前の現実に対して魂が叫ぶ声よりも、役割上うまくやること、もっと言えば自己保身に走る。



 しかし、『相棒』の二人は違った。

 紆余曲折はあれど、上からの圧力に屈しなかった。

 いや、屈しなかったというのは正確ではない。

 反抗することが主眼ではなく、ただ「真実を明らかにしたかった」のだ。

 刑事としての義務感、というのとも違う。「心からそうしたいから」というのが本当のところだろう。

 人によっては、こう言うかもしれない。

 これは 刑事としての縛りを離れたわけではなく、逆に刑事としての縛りがあったからこそ、『刑事としての血』が騒ぎ、圧力をはねのけ真相を追えたのではないか?

 これに関しては、私は違う考えを持っている。



●刑事の血、が彼らに真相を求めさせたのではない。

 ただ、人として自分の魂の声に素直になっただけである。



 それを証拠に、別に刑事でなくても「例え脅されたって、真実を知りたい」と思うような人物はいる。

 職業や、その人を規定する条件の数々は関係ない。

 つまり、「血」とは野球選手に向く優れた運動特性とか、音楽的才能が豊かで人よりも何倍も上手に歌ったり楽器を弾いたりできる、というレベルのことを言うのであり、ウソをつかないとか損を承知で真実を知りたいというのは、もっと人としての根本レベルでの話なのである。



 人は皆、本来神である。それが筆者のスピリチュアルな主張である。

 宇宙の中心であり、宇宙のすべてを内に秘めた最高の存在である。

 ただ、それを忘れてからまた思い出す、というゲームをこの世界でしている。

 もし、役割に囚われるという「ゲーム上の仕掛け」にハマったら、魂本来の声がかき消されて、聞こえない。

 魂からの声はかそけき声で、役割の声のほうがボリュームがでかい。

 その状態で、魂の声を聴き取るのは難しい。

 例え聴くことができても、魂の声通りのことを実行するのは、怖すぎてできないことが多いはずだ。



 だから、役割を外した「素の自分」「ありのままの自分」になる必要がある。

 自分を縛るすべてのものを外して、そこにあるものを見、そして聞く。

 そして、それに従う。

 従うには、世間一般で言うところの『勇気』というものが要る。



 私は、今の時代を心配していない。それどころか、ワクワクしている。

 なぜなら——



●これからの時代、その勇気を持てる人物が格段に増えていく。

 記憶を消したが、自分が神であることを思い出す人が増え——

 その勇気を持つことが、これまでのように難しくなくなっていく。



 皆さん。人生において、何か重大な選択の岐路に立たされた時には、次のメッセージを思い出してください。

 


『現実的損得の計算機をはじくのをやめて。

 一切の役割や問題のことを忘れてみて。

 その何もない心の空間に、何が生じてくるのか。

 何が聞こえてくるのか。

 目を凝らし、耳を澄ませてください。

 きっとそれが、最善の答えですよ』



 この映画が暗にほのめかしているように、この現実世界では我々の知らないところでどういう大変な事態になっているか分かったものではない、という気分にさせられる方もいるだろう。

 現実にあり得る話だ、とゾッとする方もいらっしゃるだろう。

 でも、大丈夫。

 これからの時代、どうなってしまうんでしょうね……と聞かれた時の伊丹刑事の最後のセリフが、ものすごく深いメッセージを私たちに伝えてくれる。



『おれは刑事だ。だから、目の前の犯人をとっ捕まえていくだけさ』



 そう。あなたはあなた。

 考えても仕方のない次元の問題は、気に病む必要がない。

 あなたは、あなたとして植えられた地で、与えられた役割の中で最善を尽くしてさえいればいい。他の事は、あなたにとって最高のパートナーである『宇宙』が、責任を持ってくれます。

 だから心配しないで、あなたらしく輝いてください。

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