ボク達とレイジーとメイドさん
一日一作、という縛りを作ると私は絶対三日坊主になる。ので好きなときに好きなだけ書評させて頂ければと思います。
五作目。キロールさま著「ボク達とレイジーとメイドさん」。
https://kakuyomu.jp/works/1177354054885188279
タイトルからじゅるりとしてしまいますが、ぐっと堪えて書評します。
【あらすじ】
空に浮く大陸スカイスチーム。そこには人々の利権と欲望とわずかばかりの美しさでもって成立している世界がある。ひょんなことからライネが出会った美少女サンドラは追手から逃れる身。サンドラを守りたいと思ったライネは「魔術師」レイジーと「機械人形」マリオンの助けを得て、未知への逃避行を始める。
【魅力】
ロマンが詰まった小説です。好きでしょ、こういうの。っていう要素を詰め込んだ舞台設定といいますか、機械が空を飛んでいるという情景を思い浮かべた時点で発想の勝利とも言えましょう。読者にワクワク感を抱かせる舞台、それを連想させる主人公の語り口。フランクというか親しみやすい口調のおかげで、どこか堅苦しくとらえがちな世界観を受け入れやすくしていると感じます。
空飛ぶ機械の旅で、敵勢力に追われていると、私はどうしてもある映画を思い出してしまうのですが、それはそれ。小説でありながら視覚的にとらえられると世界がグッと広がって、まるで一緒に未知の世界を旅しているような気分になれますね。
あと完全に余談ですがボクっ娘は性倒錯大好き人間にはツボです。
【改善点】
日記をもとにした一人称。それがこの小説における特徴と言うのならば、魅せ方は気になってしまうもの。一人称小説の長所は語り手の感情を理解しやすいこと。短所は俯瞰がしにくくなり、偏った見方に陥りやすいことだと考えています。
日記、というところがこの小説の特徴であると同時に、表現の難しい部分かと思います。日記は本来他人には読ませるつもりのないものです。だから、「~ってなんだっけ?」のような日記ではほぼ使わない問いかけに違和感を覚えてしまうのです。特殊な語り口と読者の抱く違和感を狭めていく作業が、文章のブラッシュアップの過程で必要になるかもしれません。
あとは説明文が冗長かな? と感じます。たとえば魔法が使えるかについて「Aというキャラは使える、Bは使えない、Cは使えないけど知ってる」みたいに逐一同じ文体で並んでいることが多かったです。そうするとマンネリ化して目が滑ってしまいます。同じ量の情報を伝えるとしても、Aについては地の文で語るけどBは台詞で補完するなど、書き方にパターンを増やすと同じ内容でも受け取り方は変わるのではないでしょうか。
【その他】
スチームパンク。言葉が好き。蒸気がわいてどこかぎくしゃく動く機械があったらそれはスチームパンクなんでしょうか、と聞いたら詳しい人に怒られそうです。そんなイメージを抱いています。個人の感想です。
オイル臭い機械の世界観と魔法を融合させるとしたら、どこに落としどころをつけるのだろう? 今回の小説はそういったジャンルの疑問にひとつの答えを見せようとしてくれているのかもしれません。
最後に。この度は企画に参加いただきありがとうございました。好き勝手言っておりますがあくまで一読者の一感想として、軽く受け止めてくださいませ。
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