ダブルロール~羽咋の真祖~

 夏が攻勢を増すにつれ、なんだかお仕事もばたばたしてきたような。さすがに毎日更新!毎日執筆!とかできる人間ではないので皆様まじで尊敬。体調も崩しやすい時期なので気を付けます。頑張って私。立ちくらみしないで。

 では三十六冊目。佐々木 祐(タスク)さま著「ダブルロール~羽咋の真祖~」です。

https://kakuyomu.jp/works/1177354054884653764


【あらすじ】

 本郷恭介は夢を見た。真っ白い研究施設から謎の少女とともに逃げ出す夢だ。銃や異能、まるで現実とは思えないサスペンスフルな妄想から目が覚める。あまりに細部まで凝った夢に不可解な感情を抱きながら登校したその帰り道、恭介は何者かが襲われている現場を目撃する。助けに入った恭介だが、そこにいたのはまるで夢に見たような、あの子の面影を感じさせる少女だった。


【魅力】

 男子のかっこよさ、あるいは男子の理想とするかっこよさを詰めた文章、そして見せ場だと感じました。銃を使いこなしたり、無鉄砲に敵に突っ込んでみたり。尖ったナイフのような、かなりすれている主人公ですけれど、だからこそ危ない橋も渡れるし、後先省みない戦い方がスカッと見えるのだと思います。


【改善点】

 語彙が豊富で、難しい言葉がカッコよく使われているのですが、一文が長いため読解には時間がかかってしまうかもしれません。以下、本文にスラッシュを入れて引用させて頂きます。

『心理学に起因する/白を基調とした研究施設の長い廊下を/ゆっくりと/背後の/長く伸びきった黒髪と/陰鬱な蒼い瞳を見せる/少女と共に/無言で歩む。』

 私はこんな感じで区切って読んでいたのですが、読点がないのです。国語の話みたいで恐縮ですが、日本語って形容詞を盛れるぶん、どの言葉にかかるのかわかりにくい構成になりやすいんですよね。また、句読点がないということは「この文は一息で読んでくれよな!」という意味になりかねません。音読することはないとしても、句読点に配慮するだけでこの文の読みやすさは変わると思います。

 内容というか表記で気になったのはモブ女Aでしょうか。一人称ゆえに主人公が「モブ女」と認識してしまえばそれまでなのですが、彼女が何章にも渡って出ているともうモブ女とは思えなくなります。こういった表記が主人公の性格を表すプラスに動くこともあれば、物語から現実に引き戻されるマイナスにも働きます。語り手の個性を見せつつ物語の世界観を損なわないように表現を模索して頂ければと思います。


【その他】

 アクション!バトル!カッコイイ!戦闘描写が苦手云々の話はした気もしますが、ミリタリーの知識がてんでないので、バックに知識量の多さを感じる小説は感嘆します。小説において、たくさん情報収集して知識を溜め込むことはしますが、それをひけらかすと安く見えてしまうことがあります。 そのコントロールができてこそ良い小説ができるのかもしれません。

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る