ぼくは。素の嘘つきが嫌い
三十七冊目になりますね。「ぼくは。素の嘘つきが嫌い」、浅白深也さま著でございます。
https://kakuyomu.jp/works/1177354054885927689
【あらすじ】
安城真昼は巻き込まれ体質である。厳密には、友人・日野アカリのお人好しに巻き込まれやすい立ち位置である。推理が少し得意で考えているだけ。しかし困っている人を放っておけないアカリが真昼に「案件」を持ってくる。空井野卯月との出会いもそうだった。図書室で消えた本の行方を推理した縁で、真昼は一通の手紙をめぐる謎に挑むことになる。
【魅力】
ミステリーは最後まで読んでこそ。最後の最後にすべての点が繋がって、新しい像を描き出す感動。そこにすべてが詰まっていると言っても過言ではありません。こちらの小説もそういった感動を味わうことのできるお話となっています。謎解きと平行して青春や甘酸っぱいシーンも見られる、学生ならではの学園ミステリーです。
【改善点】
長編と言っても、最初から最後までひとつのエピソードを掘り下げるものばかりではありません。小さなエピソードを繋ぎあわせてひとつの大きなエンディングを迎える。長編小説もそういった構成が基本なのかなと。
今作で気になったのは、そのエピソードごとの繋がりです。ひとつひとつのエピソードがエンディングへの布石になっている。それは作者さまも工夫をなされた部分なのかなと思いますが、逆に個々のエピソードのオチと、次のエピソードへの繋がりがちぐはぐな印象を受けました。木を見て森を見ずとは言いますが、今作は森は立派だけど木を見たら手入れが行き届いていないというか、ううん比喩は得意ではないのですがそんな感じです。
最初のくろくま工房の話は、疑問の提起だけで終わって次のエピソードに移っています。その展開を否定する意図はありませんが、謎だけがあり、真昼が推理することがないまま次へ。そうなると、卯月に会うまでの、つまり読者としての「探偵・安城真昼への第一印象」が残らないのです。各エピソードの終わりかたと、そのエピソードで何を印象づけたいか?そちらが明確に伝わると、各話もより楽しめるのかなと思います。
【その他】
今回、改善点でお話ししたのはどちらかと言えば字数制限のある作文や要約でお話しすることですね。無意味を読み手は嫌います。読み終わったあとに「結局、これって何を伝えたかったの?」となってしまっては、せっかくの力作も印象が薄くなってしまうのです。「一文に持たせる意味はひとつ」「ひとつの段落で、核となるキーセンテンスを選べるようにする」など。作文や文章読解のポイントになりますが、小説にも通じるところはあるのではないでしょうか。
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