Karma
三十八冊目。宮樹せんさま著「Karma」となります。
https://kakuyomu.jp/works/1177354054883096072
ではでは今回も誠意を込めて、書評、させて頂きます。
【あらすじ】
十五歳の裏切りの日、少年ブラフマーはその命を生け贄に捧げられる。二百年以上前からの定めでありしきたりがあるこの村で、異質な外見もあいまってブラフマーは死を運命付けられた。崇拝する女神を裏切った男の血を引くための人身御供。ブラフマーは諦めつつも理不尽な死を納得できずにいた。運命の日を呪っていた十二歳のとき、村に移住してきた少年シヴァ。その出会いは果たして、ブラフマーの運命を変えることになるのか。
【魅力】
読みやすさに感激しました。この小説、全部で五万字超える量なんですけれども、一気に読みました。しかもサクサク。もっというとあらすじもちゃんと理解できて。読みやすさって、私は強みだと思います。だって現に最後まで読めてしまうのですから。スタイリッシュな読みやすさというか、あらすじわかるだけじゃなくて、ブラフマーとシヴァの交流、葛藤も丁寧に描かれて、理解しやすいテンポで進められる展開も読みやすさに一役買っていると思います。
【改善点】
改善点、読みやすくわかりやすい展開に文句をつけるところは何もないです。作者さまが「ヘビーノベル」と定義するだけの重みもありますし。謎は必ずしもすべて解明すべきとも思いませんし。すみません、文章や構成に関して、私が口出しをすべきところはないように感じました。完成度が高い。ですので、邪道で申し訳ないですが、本編における設定で、私が気になったところを挙げさせて頂きます。世界観についてです。
この世界は惑星タザリアといって、世界は維持神ヴィシュヌ、創造神ブラフマー、破壊神シヴァなどの神の力によって産み出された。という話が中盤ででてきます。この世界が「惑星」であり、宇宙に関する話が出てくるとは今までの閉鎖的な空間からは意外でした。勝手ながら宇宙という未知の世界、あるいは悟りの境地を閉塞的な、前時代的なしきたりの残る村の人間が知っているとは思わなかったので。出てくるワードがインド関連というのもありますが、惑星名から鑑みるに現代のインドとは切り離して考えるべきでしょう。であればやはり、宇宙や惑星というワードは世界観にそぐわない気がします。
もしこの世界がインドにおける悟りの境地ですとか、天文学が発展していて宇宙への認知が辺鄙な村にも及んでいるのであれば、この村における識字率などと合わせて「どれほど文明の発達した世界なのか」が見えてくるといいなと感じました。
【その他】
初めて登場人物のワードを見たときに「スーパーインド大戦……」と思ってしまったのは内緒です。本編には関係ございません。インド神話はマハーバーラタとラーマーヤナを世界史の知識として学びました。ええ、テストのための財産ですとも。大長編が多いから神話ってなかなか原典漁れないんですけど、神話系は某カッてするメガテンの系譜を引くゲームの知識で成り立ってるので、いつかは読まなくては。
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