魔女とかつて捨てられた子
二十八作目まで来ました。宇部 松清さま著「魔女とかつて捨てられた子」になります。
https://kakuyomu.jp/works/1177354054885219866
【あらすじ】
ロッタはとても運が良かった。魔女が住むという恐ろしい森に捨てられたにも関わらず、魔女に食べられることも、薪になることも、薬の材料になることもなかったのだから。「魔女は一人で生きるもの」という流儀がありながら、
【魅力】
視点が変わることで見方が変わるもの、ありますよね。今作はまさにその境界線を踏み越えるとまったく違う表情を見せるお話だなと感じました。
ロッタから見ればマムはちょっと感情の振れ幅が大きいけれど、美しくてときに可愛らしい顔を見せて、愛しい女性です。しかし外側の人間から見ればわずかなきっかけで魔法を使われかねないし、虫が多い不気味な森に住んでいるし、恐怖の対象でしかない。その矛盾めいた二面性がこの小説の世界観に引き込む魅力だと感じました。
【改善点】
困った。困りました。一周目に純粋に楽しんで読んでしまいました。書評するときはなるたけ中立に、を心掛けていたのですが、文章も魅力的ですし題材も好きだしで読み込んでしまい。しかし褒めるだけというのは書評として私のルールに反する。ので読んでいて気になったところを。
ロッタが魔女の血を飲むシーンなのですが、マムが派手に転んでしまい、頭から血を流していて、慌てたロッタは止血しなければと「指先の小さな切り傷を舐めた」とありました。頭から出血している魔女が目の前にいるのに、指先の小さい傷をまず舐めるかな、と疑問に思いました。実際、魔女だからそう易々と死なないとしても、ロッタは目の前の惨劇に驚いたわけだし、だからこそ止血しなきゃと思ったわけで。まずは頭の出血を止めるために包帯巻いたりしそうなものですが、何故指から治療しようと思ったのか?気が動転しているだろうロッタの様子をもう少し知りたいなと思いました。
【その他】
「魔女集会で会いましょう」というハッシュタグがSNSにて話題になった時期がありました。私もしばしば創作物を漁っていたのですが、魔女は美しくも恐ろしいからこそ魅力的なんだよなあ、と唸っていた日々を思い出します。時を経て、こんな形で素敵な魔女小説に巡り会えるとは思わず。この出会いに感謝ですね。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます