Re:Actor・オブ・グラディエーター
九作目までこれました。河童Δさま著「Re:Actor・オブ・グラディエーター」。
https://kakuyomu.jp/works/1177354054884419331
タイトルだけではアクションかな?SFかな?なんて気になりながら慎んで書評、いたします。
【あらすじ】
目が覚めたら女の子になっていた。衝撃の目覚めとともに異世界で「勇者」として迎えられた主人公イリーナ(仮名)。彼(または彼女)を召喚したアルフォンスの身勝手な願いを叶えるため、イリーナは半強制的にコロシアムでの死闘に身を投じる。多くの剣闘士が挑み、命と願いを賭して戦う序列式のコロシアムの中で、イリーナは頂点を目指していく。
【魅力】
発想の勝利! と言いましょうかこれは。序列式のコロシアム、勝てば官軍負ければ賊軍な自明のデスマッチ、残虐な王様という明確な悪。構図がわかりやすいぶん入りやすいですし、「漆黒の○○」みたいなみんな大好きふたつなや異名も盛りだくさん。若年層に特に好まれそうな小説だと思います。システムは作ったもん勝ちですから、それにラブコメエッセンスや主人公の切れのあるツッコミを盛り付けして、華やかなお話になっているのではないでしょうか。主人公のツッコミが特に比重の大きなお話ですので、次々と発生するイレギュラーに主人公が的確にツッコミをいれる、そういったハイテンションな展開も特徴です。
【改善点】
システムを構築するということは、それに対する説明を過不足なくしなくてはならないこと。創作において舞台設定や世界観の浸透は命題であり、ノルマでもあります。
「ランキング形式のコロシアム」というシステムを軸に描かれる物語。それに付帯する大小様々なルールをどう説明していくか、いかに一人称のノリを止めずに理解させるか。システムを逐一説明すると「説明文」になりがちです。 しかもこの小説は主人公の砕けた口調で進んでいきますので、説明をいれた部分はどうしても事務的で、時間の流れが停滞しているように感じます。「一位はAさん、二位はBさん、三位はCさん」と端的に事実を述べるのはある種もっともわかりやすい説明です。ですが逆に言えば事実を書き並べるだけで、そこに娯楽性はないと受け止められかねません。前の章までひたすらツッコミ入れてた人間が、状況把握のためとはいえ、ひたすらシステムの説明をするのは温度差があるかなと感じます。
情報量を小出しにしたり、同じ順位の説明でも地の文ではなく、会話文でQ&Aして読者にも主人公にも他のキャラクターが解説してあげると、キャラクターの性格も掴めますし事象の説明もマンネリ化しないのでは? と思います。
【その他】
異世界転生。近年のライトノベルやカクヨムでも人気であり、大手のジャンルです。現代の知識を気軽に持ち込める、という意味で人気を博しているのでしょうか? 本でしか知らない剣と魔法の世界に、ある日突然放り込まれたら? そんなイフを自分だったらどう描くか、多くの作者さんがそれを創作しているのかもしれません。
最後に、書評企画にご参加頂きましてありがとうございました。若さ溢れるお話だと感じました。
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