©️ダブリ

 八作目となりました。なのるほどのものではありませんさま著「©️ダブリ」。

 https://kakuyomu.jp/works/1177354054885112986

 タイトルも、作者さまの名前も、正直大変興味を惹くのですが。それは別問題として書評、いきます。


【あらすじ】

 大蕗祀の通う学校には危険人物がいる。可愛らしい顔立ちをした男・神威萌は化物のような左腕を持っていると。恐怖に支配され誰も近付かない萌に、祀はとあるきっかけで接触することになる。恐怖を食らうモノを宿した左腕――それに苦しむ少年と、それを恐れない少女の異質なボーイ・ミーツ・ガール。


【魅力】

 最初はこのお話、異能バトルとかそっち方面の話かなって思ったんです。でも読んでいくと、特殊な腕を持つ男の子と浮世離れした感情を持つ女の子が出会い、距離を縮めていくボーイ・ミーツ・ガールだったんです。それは恋愛かもしれないし、友情かもしれない。ただ、人間関係にフォーカスを当てたシナリオであり、外側が「異質」で覆われているだけなのかなと感じます。そんな異質のなかで育まれていく二人の関係が魅力です。


【改善点】

 三人称であっても、地の文には中心となる「視点」の人間がいます。襲うのか、襲われるのか。被害者か、加害者か。誰をメインとするかで言葉の使い方が変わってくるので、それが物語上影響を与えることもしばしば。

 今作ですと主にマツリとメグの二人をメインとして描写がなされていくのですが、地の文における視点変化のタイミングが鍵かなと考えます。マツリは一般人よりも恐怖を感じないため「怖い」シーンでの異質さが目立ちますし、孤高のメグは内面は意外と人間らしい感情を持っていたり。二人の感情面での特徴を活かし、視点変化を絞ってあげると良いかなと感じます。

 気になったのはそれ以外の視点が、具体的にはいづみの視点が入ることです。多視点が過ぎると煩雑になってしまいますので、いづみの心理や思考を地の文で語らせるのならば、何故彼女のモノローグが必要なのか、その重要さを明確にした方がいいと思います。


【その他】

 少年少女の青い春。現実には起こり得ないような甘酸っぱい関係。どこか荒んだ世界観だからこそ映えるのが恋心というもの。強引に女の子を押し倒したりとか、「お前面白い女だな」って言われたりとか、小説なのに漫画やゲームを見ているような心地になりました。残念ながら乙女ゲームは通っていないのですが。

 終わりに、この度は書評させて頂きましてありがとうございました。外見と内面が予想と異なる、ギャップがワクワクするお話でした。

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