俺の愛しいアンドロイド

 では七作目。暗黒星雲さま著「俺の愛しいアンドロイド」でございます。

 https://kakuyomu.jp/works/1177354054885378110

 戦う美しいアンドロイドとか個人的に好きなんですが、それは別にして書評、いたします。


【あらすじ】

 親元からの自立のため、オンボロアパートで一人暮らしをする大学生・綾瀬正蔵。何気ない彼の日常は家事代行アンドロイド・佳乃椿の登場で崩壊する。次々に起こる非日常な現象と「異星人」の襲来。そして佳乃椿に搭載された「秘密」が、正蔵と世界を大きく変えていく。


【魅力】

 佳乃椿と綾瀬正蔵の世界を、二人で押し広げていくような小説です。女性経験に乏しい男子大学生の前に突如現れたプロポーション抜群の美しいアンドロイド。そりゃあ浮かれるってものでしょう。これからラブコメ的な日常を繰り広げるのかな、と思いきや、二人の時間を育みながらも周囲がそれを容認しないというか。想像もしないハードな展開にびっくりしてしまいます。二人の関係性が楽しみな小説です。


【改善点】

 一人称小説の長所・短所については以前書きました。主人公への感情移入がしやすいことがメリットですが、その主人公とのシンクロが難点でもあります。「主人公が好きになれず読めなかった」というご意見もありますし、語り方は重要です。

 今作ですが、語り手と読み手の解離が起きる恐れがあります。目の前に突然美少女アンドロイドが現れ、四六時中監視すると言われ、そして異星人など普通とは程遠いイレギュラーが次々発生するなか、主人公の適応能力が高過ぎるのです。彼としては何かしらの思考過程があり納得しているのでしょうが、そのプロセスが書かれていない。せっかくの一人称小説なのに正蔵の心が読みきれないのです。冷静に状況を説明することも大切ですが、それと同時に「何故?」という当然の疑問を、彼の言葉で落とし込んでいく作業を挟むと、読み手も主人公に近づけるかなと思いました。


【その他】

 アンドロイドとロボットの違いは何か? 私のように科学技術に明るくない人間はなんとなくの認識でいますけれども、アンドロイドの方が人間らしい外見であるパターンが多いなと感じます。小説でも人間のような外見、そして心をもたせる場合はアンドロイドなんでしょうか。あるいはロボットの語源? が隷属とか労働力でしたか。そういった「下」に見る意味を持たせたくないからアンドロイド、なんですかね。調べます。

 最後に、このたびは書評企画に参加頂きまして、ありがとうございました。

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