THE GODS ――新人騎士は守護神を目指す――

 五十一冊目。きんぐさま著「THE GODS ――新人騎士は守護神を目指す――」でございます。

https://kakuyomu.jp/works/1177354054882419409

 今回も誠意でもって、書評、参りましょう。


【あらすじ】

 騎士の門を叩いたケインは、ただひたすらに剣を振るい、己の実力ひとつだけで上を目指していく。ケインにはひとつの目標ができた。団長の執着により医務室に縛られている優秀なヒーラーのオリヴィエを解放し、自らとともに戦ってもらうことだ。精進を続けるうちに知る、ゴッズという覚醒した者特有の超人的な能力。その才覚に憧れを抱きながら、ケインは今日も剣を振るう。


【魅力】

 堅実な小説だと思います。ゴッズと呼ばれる特殊能力こそあれど、基本的には一対一の仕合。滾るようなバトルが泥臭くもあり、だからこそ映えるのだと感じます。序盤の純粋な力での押し合いもいいですし、ゴッズを得てからの超人的な力の使いどころを探りながらのバトルも、また戦略が広がって興味深いです。戦闘の表現も広がりがあることを再度認識しました。


【改善点】

 特殊能力があっても根底にあるのは魂を賭けた戦いである。どこか不器用な戦いの在り方にむしろ好感が持てる今作ですが、気になるのは設定に関する説明が非常に事務的であることでしょうか。プロローグの意味深なモノローグから打って代わり、事実上の一話はいきなり世界観の講義から始まります。

 世界観、そしてバトルの鍵を握るゴッズ。これらを語らずして今作の魅力や世界にのめり込むのは難しい。確かに必要な知識ですが、圧倒的なセリフ量で一気に捲し立てると、逆に頭に入ってこないかなと感じます。新しいものを覚えるためには、時間と反復が必要です。それこそ講義にたとえるのなら、一回の講義ですべて理解するのは相当優秀な人間であり、大多数は一度には覚えられません。少しずつ、そして実践も踏まえて反復することでこの世界、ゴッズについて知ることができるといいかなと感じました。


【その他】

 特殊能力と魔法って、違うんですよね。呪文唱えたりして、いわば「自分が持ってないもの」を外から発現させるのが魔法。「自分の体内から」発現させるのが特殊能力かな、って個人的に分類してみたんです。個人的になので違うかもしれません。

 たとえば、雷を出すチカラがあるとしましょう。自分が雷をまとっている、あるいは自分の体内からバチバチと雷が溢れてくる。これは特殊能力。呪文を唱えたり念じたりして、雷という現象をどこからか持ってくる。これが魔法かな、と。もし正式な定義ご存じの方がいればご教授願います。

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