転生したら最強のアリだった件

 三十五冊目です。西塔イリアさま著「転生したら最強のアリだった件」。

https://kakuyomu.jp/works/1177354054885300601

 今回も誠心誠意の書評、させて頂きます。


【あらすじ】

 有賀歩、十八歳。予備校通いをするごく普通の高校生。クリスマスにイチャつくリア充に唾を吐きながら、今日も真面目に勉学に励んでいた。その帰り道、浮かれた街をとぼとぼと行く歩は、通り魔の凶刃の前に倒れる。こうして有賀歩の短い人生は幕を閉じた……はずだったが。次に目を覚ました瞬間、彼はアリに転生していた。


【魅力】

 タイトルと発想の勝利ですこれ。しかし王道です。矛盾しているようですが矛盾じゃないです。異世界転生モノの王道は、間違ってもアリに転生することではないはずです。しかしアリが特殊能力を持ち、チートすぎる能力で無双するという意味では王道かもしれませんね。たくさんの雌アリを(性的な意味で)落としていくのもハーレム要素ですし、アリの姿ではありますがシナリオは異世界転生ハーレムを踏襲しているというか。不思議な感覚でした。


【改善点】

 アリによるハーレム、というのがこの小説における最大の特徴であると同時に、表現の難しいところでしょうか。後半はまた変わってきますけれど、序盤はたくさんの雌アリが寄ってくるわけで、その雌アリを名前と特殊能力で判断する状態です。

 アリスのように甘ったるい香り、のような名前以外の特徴、個性が明記されなければ、正直読者としては攻略している雌アリの違いがわかりません。たくさんの女の子を攻略するにあたり、それぞれの女の子の個性、性格、そういった魅力を明確にしなければ、その子は認知されにくいです。ましてやアリという、外見での違いが想像できないキャラクター達ですから、キャラ付けは細心の注意を払うべき要素かと思われます。

 また、主人公の心理は一人称のおかげでよく見えますが、情景や外観といった外側の情報がやや薄いかもしれません。中心となるアリたちの外見含め、情報がもう少し増えるとこの不可思議な世界を理解しやすいかなと思います。


【その他】

 アイデアが豊富な方を尊敬します。私はなかなかこう、一般人の枠をはみ出さない想像力なもので、考えもつかないアイデアには日々驚嘆するばかりです。そういった独創的な考え、柔軟な思考ができる方はより魅力的な創作活動と相性がいいのかもしれませんね。もちろん、アイデアだけで創作ができるわけではないですけれど。

 最後になりましたが、このたびは書評させて頂きましてありがとうございました。

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る