ラヴァ・ラ

 蒸し暑さが際立つ時期になってきました。毎年熱中症と夏バテに苦しんでいる私も、しんどい時期ですが生き残れるように頑張ります。

 では二十二冊目。ソウイチさま著「ラヴァ・ラ」です。

 https://kakuyomu.jp/works/1177354054883596350


【あらすじ】

 何の前触れもないとある日に、少年ジェンドは故郷を失った。突然の出来事に呆然とするなか、ジェンドは唐突に「声」を聴く。故郷エナトスを取り戻したいのなら、己の力を使いこなせ――腕に宿る謎の痣とともに、老人の姿をした「神」はそう囁いた。使い魔ルテルとともにジェンドは新世界へと向かう。失った故郷を救うために。


【魅力】

 どう切り出せばいいのか、と悩みました。一言でなら文章のレベルが高い。重厚と言えばいいのか、技巧的と言えばいいのか。でもその言葉では文章の魅力を的確に言い表せていないような気がしてもどかしいです。過酷な運命を背負った少年を暗示するような、一話一話の重さ。それを体現している文章であると思います。厚みのあるファンタジーがお好きな方には是非ご一読頂きたいです。


【改善点】

 中盤のバトルシーンなどはひとつの山場なのか、非常に白熱し展開としても盛り上がりを見せているのがよくわかりました。緩急をつける文章、とは口で言うのは容易ですが、実際に表現するのは難しいものです。

 読むほどに文章にのめり込むぶん、序盤は主人公の感情が芽生えていないせいか、引き込む力というのはやや弱く感じました。平和なエナトスの日常と襲撃による場面の反転、暗転を、より明確にした方がいいかもしれません。インパクト、という言葉は相応しいかわかりませんが、襲撃によるジェンドたちの困惑、動揺、焦燥などが今の文章ですと伝わりにくいかもしれないです。ジェンドがそこまで感情的でないぶん表現は難儀かと思いますが、文章ごとの長短などで緩急が出ると、受ける印象が変わるように思います。


【その他】

 今作とは関係ないのですが、重厚な文で思い出すのは、以前いたサイトで「毒舌レビュアー」として活動されていた方です。その方はダークファンタジー書きでして、その方の小説も絶賛の嵐だったんです。確かに非常に深く練られた世界観や巧みな語彙は惚れ惚れしてのですが、文字数一万にも満たない序盤も序盤で更新が止まっていて。何が言いたいかというと完結させるってすごい労力だし尊敬しますってことです。

 冗長になりましたすみません。このたびは企画にご参加頂きましてありがとうございました。重厚な文章、魅了されました。

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