ホワイトウィッチトライアル
最初が肝心とは言いますが、これを書いている間も参加作品が増えていることに戦々恐々としています。ここでは詳細は省きますがとんでもないなカクヨムなんて恐ろしいところなの。
さて今回読ませて頂いたのは荒ヶ崎初爪さま著「ホワイトウィッチトライアル」です。https://kakuyomu.jp/works/1177354054884549158
カクヨムはファンタジーが多いですが、魔女が鍵となるローファンタジーです。では僭越ながら書評、させて頂きます。
【あらすじ】
『白い魔女』の童話は少女真守にとって重要な意味を持つ。幼い時間をともに過ごした少年みよ君とのかけがえのない日々、彼からもらった大切な宝物だ。「あなたは白い魔女にならないで」――とある秘密を抱え忽然と消えたみよ君。時を経て再会したことで、真守は霊媒、そして禁断の魔術の世界へと足を踏み入れていく。
【魅力】
重厚!という感想を多く見ました。確かに細部まで練られているであろう世界観、専門用語の数々。一話まるまる魔術用語の解説になっている部分もあるので、作者様がこの世界観の構築にかなりの力を注いでいることがわかります。感情的なシーンよりはそういった世界観構築、魔術知識を用いた戦闘シーンと相性が良い文なのかもしれません。
ローファンタジーでありながらも非日常に触れている部分が多いので、常識は通用するけどもどこか別次元の話、のように感じました。その異質な日常が心地よいのかもしれませんね。
【改善点】
短編だろうと長編だろうと、ページをめくらせる魅力が冒頭になければ、たとえ最後にどんでん返しがあってもそこまでつきあってくれるとは限りません。冒頭シーンに指導が入った経験はたくさんあると思います。最初は大事。
今回、肝となるのは真守とみよ君の関係性です。互いに大きな影響を与えた存在。重要なターニングポイントである二人の出会い、そして関係性がややぶれて映るというか、距離感がつかめないのが正しいかもしれません。
白い魔女に関する童話をみよ君に教えてもらったから、彼女にとってその童話はかけがえのないものになった。けれど肝心のみよ君がどれくらい大切で、どんな思い出があって、どんな言葉が印象に残っているのか。感情に繋がる部分が見えてきません。ただ「楽しい日々を過ごした」というのではなく、一緒にお花畑でキャッキャウフフしたとか、そういった血肉の宿るエピソードを適宜入れていくとより感情豊かな小説になるのかなと感じました。全体を通して、感情のエッセンスがもっと欲しいと感じたシーンが多かったです。
【その他】
魔女。それは魅惑の言葉。悲劇の象徴であり人間の傲慢の代名詞であり、と言った具合にネガティブな響きが好きです。もっとも魔女をネガティブな言葉と捉えるのも固定観念かもしれませんし、真守はかわいそうと言われるのを好まない少女でしょうが。
私はどちらかというと感情や心理面をネガティブな方向に掘り下げていく文を書く傾向があるので、世界観の深淵には感動しました。ワードひとつとってもここまで掘り下げるものなのかと。厚みのある文にもさまざまなタイプがあるんだなと再認識しました。
最後になりましたが、このたびは書評させて頂きましてありがとうございました。烏滸がましいですが、何かの役に立つならば幸甚です。
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