また、いつか。その日はすぐに
前回は持論がヒートアップしまして、大変お騒がせしました。けれど、色んな作家さんのご意見を見ることができて、私個人としては嬉しかったです。
それはそれとして私の書評って、そもそも知名度ない人間が書いてるので、紹介した小説の宣伝としては効果が薄いことだけが申し訳ないです。
さて話を戻しまして十一冊目。@ichiuuuさま著「また、いつか。その日はすぐに」です。
https://kakuyomu.jp/works/1177354054886070882
【あらすじ】
少年カイには幽霊が見える。強い思い、やり残したこと。そういったことを残した幽霊たちは、その思いが外見に反映しているのだ。窮地を救ってくれた「ずきん」と名乗る人間嫌いな猫。その出会いをきっかけに、傷心の少年は大切なものを取り戻していく。
【魅力】
いい話だなあああああ!!というのが読了後の感想でした。ハートウォーミング、傷心を乗り越える出会い、一期一会からの成長。シンプルな関係性とシナリオが一本道で、それであるが故にラストがすとんと落ちる。短編というのも後腐れがなくて良い文章量なのかなと感じます。なんでも比喩を使うのは好きではないのですが、素材をいかすような書き方をされていて、それが心地よかったです。
【改善点】
静かな変化というか、ずきんとカイとのおとなしく見えるやりとりを繰り返していくなかで、関係や心情が変化していくのがとてもいい雰囲気です。
そのぶん、カイを取り巻くハードな現状、その「傷」の描き方は気を遣う部分かなと感じます。繊細ですぐに壊れてしまいそうな世界観だからこそ、彼の傷を淡々と述べると印象が弱くなり、カイの傷心の原因を他人事のように捉えてしまいます。読み手はもちろん、カイもどこか冷めたように自分の傷を述べるように感じて、それは未だに前に踏み出せない彼とは少し矛盾するのかなと感じます。
静と動の対比、とでもいいましょうか。終始「静」に寄るのではなく、派手なバトルなどがなくても彼とずきんの出会いには山場があり、「動」があるはずです。そこは少し趣向を変えて、浮き沈みや起伏の変化というものが際立つと、よりカイの物語に人間味を感じるのではないでしょうか。
【その他】
ハートフルな「いい話」に口出しするのってなんとなく躊躇われてしまいます。いやもちろん、すべて人様の作品への口出しなんですけど、世界観を壊しそうで。やってることが野暮の塊だから今更気にしても無意味でしょうな。いい話以外なら好き放題言っていいというわけでもないし。好きにやります。
最後になりましたが、このたびは書評企画にご参加頂きましてありがとうございました。短編であるがゆえの面白さ、引き込み、大変勉強になりました。
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