女神様、ダンジョンはお好きですか?

 私事ですが、この企画を始めたのが6月上旬。果たしてこのペースは順調といえるのかわかりませんが、続けていられること、読者様がいらっしゃること、感謝申し上げます。私見による書評ではございますが、楽しんで頂けるものであれば幸いです。

 さて、@Yupafaさま著「女神様、ダンジョンはお好きですか?」が書評企画の二十四冊目でございます。

 https://kakuyomu.jp/works/1177354054885863436


【あらすじ】

 青年マグメルはしょぼいダンジョンを細々と「経営」していた。雑然としたダンジョンからの脱却か、一攫千金を夢見てか……マグメルは召喚を試み、強力な権能を持つ「女神」アプロディーテを喚ぶことに成功する。豪奢だが謀略家のアプロディーテに満足行く力を分け与えるため、マグメルはダンジョン経営に奔走する。


【魅力】

 ダンジョンを構築して、そこに獲物をおびき寄せて、狩る。ダンジョン構築に主眼を置いた小説、というのが新鮮でした。ダンジョンを自在に作るというのはなんだかゲームをしているような感覚ですね。用語やアイテム、トラップをどこに配置するかなどはまさにそうです。主人公が旅に出るのではなくダンジョンで「待ち構える」物語というのは、主人公の動きに制約があるぶん、どんな変化があるのか展開が楽しみになりますね。


【改善点】

 ゲームのノベライズ、というものはシナリオを中心に描かれるものが多く、プレイするわけではないので当然ゲームシステムに関しては詳細が省かれることがままあります。必要のない知識だからです。RPGのような小説を書く際、留意すべき点であるともいえます。

 ゲームであれば許容できるものも、文字に起こすと勝手が異なる場合があります。拝読していて感じたのは、作者さまのなかに用意された世界観という舞台装置があって、それを知っていて当然のように話が進んでいくという、予備知識の少なさでしょうか。読者は舞台がどんな世界で、女神をどれほど信仰しているか知りません。ですが冒頭で大した説明もなくダンジョンがあり、女神を召喚するというのが、「ダンジョン」「女神」を読者が当然知っているという前提に頼っているようにも感じました。

 もちろん、ダンジョンや女神を知らない人は少ないですが、この小説においてはどんな存在なのか?それを、説明文にならないように説明するのが物書きの腕の見せ所かなと感じます。途中で世界観の説明の章がありましたが、ただ知識を読者に与えるのではなく、シナリオの流れに乗って知識が与えられていくと、知識がパンクすることなく受け入れられるのではと思います。


【その他】

 お恥ずかしながら、ダンジョンをメインに扱うライトノベルをあまり読んでいなくてですね。もちろん、webで拝見したことはありますが、書籍で買ったものは十文字青先生の「薔薇のマリア」くらいのものです。ギルドやダンジョンはRPGではメジャーですが、それを文字でいかに楽しませるかというのはまた別の難しさがありますね。

 最後になりましたが、このたびは企画にご参加頂きまして、ありがとうございました。

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