それぞれの終戦

同時刻、アディール郊外上空。

 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・。

 「・・・・・・え?」

恐る恐る目を開き、トリステインの女王は辺りを見回す。

 ヴュセンタール号の艦上では士官たちが自分と同様、地表の一カ所を見つめたまま沈黙している。誰も彼もが何が起こったのか分からず、ただ唖然として突っ立っていた。

 アンリエッタは何が起こったのか思い出す。爆音が聞こえたかと思うと、少し遅れて地割れの中から光が溢れ出した。光は海を干上がらせながら、ゆっくりと眼下の大地を飲み込んでいった。自分はそれを危険と判断し全艦後退を指示したが時はすでに遅く、迫り来る光に巻き込まれてしまった・・・・・・。

 そしていま、干上がった海はまた元通りに満ちている。目の前には青い空が広がっており、先程までのこの戦いの怨嗟を表したようなどす黒い雲も霧散し、輝く太陽が辺りを鮮やかに照らしている。

 「・・・・・・陛下、ご報告差し上げてもよろしいでしょうか?」

 「え?」

 背後からの声に振り向けば、アンリエッタのまわりを士官が取り囲んでいた。

 「待て、わたしの方が緊急の用だ!」「それよりも陛下、こちらの方を急いでくださいませぬか!?」「ではわたしも・・・・・・」

 士官たちは我先にと戦況を報告してくる。だがどれも落ち着いて考えれば現地で対処できる程度のものだ。先程の光のせいで、どうやら軍全体が混乱しているらしい。

 「皆落ち着いて! 己で一度考え、それでも重要との判断したのならばわたしの元に来て下さい!!」

 

 ・・・・・・ひしめく士官たちの相手を一通り終わらせたあと、アンリエッタは部屋に戻ると、先程浮かんだ疑問を机の上でこねくり回す。

 どういうことだろう? “儀式”は終わったのだろうか?

 そこまで考え、トリステインの女王は違和感に気付く。

 自分は大陸隆起が起こるとロマリアの“誰か”に諭され、この戦に乗り出した。兵をまとめ上げいざサハラへというとき、“誰か”の勝手な行動に振り回され、後始末を押し付けられた。そしていま、自分たちは“儀式”の邪魔を阻むためエルフを足止めしている。

 そこまではいい。だが、どうしても思い出せない。

 ・・・・・・・・・・・・“誰か”とは、一体誰のことなのだろう?

 「陛下、陛下、報告があります」

 呼びかける声が聞こえ、この艦隊を統べる少女はため息をつく。

“報告”・・・・・・もうその言葉は先程イヤというほど耳に入れた。これからも聞かなければならないが、いまはごめんだ。

 思考を止められたアンリエッタはドアを開け、自分を呼ぶ士官に少し待つように命じようとする。いま考えるのをやめれば、取り返しのつかない大事な何かを忘れていくだろうという予感がしたからだった。

 だが、そこにいたのは士官ではない。ヴュセンタール号を任された腕利きの老兵だった。

「お忙しい所失礼します。ですが大変重要な情報が入り、参りました」

 司令は最敬礼を行い、すっと部屋の中に入ってくる。

ここ数日通りの固い口調。だが寡黙な男の表情にはわずかな焦りが見えた。何年もの間トリステインの空を飛び回っていた彼が、動揺を隠すことができずにいる。

 よほど重大なことだろう、とアンリエッタは司令を促してその言葉に耳を傾ける。

 「ネフテス統領テュリュークが、我々に対する休戦を求めてきました」

「・・・・・・なんですって?」

 心の準備をしていたにもかかわらず、思わず聞き返してしまう。

 ありえない。なぜこのタイミングで休戦を持ち出してくる? エルフたちは“大災厄”を恐れて自分たちに“聖地”を受け渡すことを拒み、この聖戦を受けて立っている・・・・・・。

 そこでアンリエッタはハッと気付いた。まさか先程の閃光が“大災厄”だとでもいうのだろうか?

あんなコケおどしにエルフたちは戦き、怯えていたというのか・・・・・・?

 「・・・・・・陛下、ご決断を」

 更なる疑問が頭の中を舞うなか、落ち着きを取り戻した司令の声がやけに冷たく響いた。


 アンリエッタが士官の報告に明け暮れていた頃、アディールの中心に位置するカスバでは逃げ遅れた者がいないか確認するための点呼が取られていた。

 「・・・・・・避難できた者は、ここにいるので全部か?」

 「はい。他に逃げ遅れた者がいないか、いま魔道具で瓦礫の探知を行っております」

 「・・・・・・そうか」

 蛮人対策委員長の若いエルフは辺りを見回しながらため息をつく。整えられた石畳は至る所が隆起したり陥没しており、もう使い物にならない。遠目に見る住宅や商店街からは次々と火の手があがり、燃え移りながら崩落していく。運河にかかる橋に至っては支柱しか残っていない。

先の地震で、美しいエルフの都は見るも無惨な姿に変わり果てていた。

 「ほう、こりゃあまた随分としっちゃかめっちゃかじゃのう」

 いつの間にか背後に忍び寄っていた老エルフに、ビターシャルは振り返り最敬礼をする。

 「閣下、ご無事で何よりです」

 「うむ、きみに頼んで正解じゃったな。まさかこれほど被害が少ないとは思いもよらなかった・・・・・・」

 「閣下」

 「む?」

 話の途中で、一人のエルフがテュリュークに近寄り耳打ちをする。見たことがある顔だと思ったら、司令室でエスマーイルに報告しに来た“悪魔解明機関”の研究者だった。

「・・・・・・そうか、情報に感謝する。もう下がってよい」

 現ネフテス統領は微笑みながら、ビターシャルの方を向く。蛮人対策委員長は心の中で覚悟を決めた。こういうとき、この老エルフは無茶な要望を平然と出してくることを知っているからだった。

 「ビターシャルくん、悪いがもう一つ頼まれてもいいかな?」

 「ありがたいお言葉ですが、わたしは先程閣下を見捨てた恥知らず。わたしより有能な者をお使い下さった方がよろしいかと・・・・・・」

 「民を救っていたら閣下の救助に間に合いませんでした、そう素直に言えばよいのにまどろっこしいのう。それにきみにしかできない仕事だから、わしはきみに頼んでいるのじゃよ」

 そして、老エルフは柔和な瞳を獲物を狙う鷲のように鋭く尖らせ、


 「蛮人対策委員長に命ずる。直ちに聖地回復連合軍に停戦を求めるための使者として前線に赴きたまえ。交渉の方法も、求められるその対価も問わぬ。考えられる手段をすべて使い、一刻も早くこの戦争を終わらせよ」

 

 ・・・・・・瞬間、辺りの空気が固まった。沈黙が次第に喧噪へと変化していき、話を聞きつけた議員たちが次々と集まってくる。だが最初にネフテス統領の前に飛び出てきたのはやはり、“鉄血団結党”の党首だった。

「閣下、一体これはどういうつもりですか!?」

 「おお、丁度良かった。エスマーイル殿には軍の撤退の指揮を頼みたい。貴殿ほどの手練れは、この辺りではちといないのでな」

 言いながら視線を流し、テュリュークは蛮人対策委員長に「行け」と伝える。その真意を汲み取ったビターシャルはゆっくりと、だが誰にも悟られることなく周囲の喧噪に消えていった。

 「そんな話をしているつもりはありませぬ! 停戦!? あの蛮人ども相手に我らエルフが頭を垂れるというのですか!!??」

 「ではきみはどうするつもりだったのかね?」何事もなかったかのように、老エルフは話を続ける。

 「敵は混乱しております、いま全軍をあげれば容易く蛮人共を駆逐出来るはずです!」

 「しかし先程“大災厄は終わった”との情報がわしの耳に入ってな、我らにはこれ以上彼らと争う理由はない。ならば停戦を提示し、もうこのようなことがないよう互いに友好関係を結ぶのが得というものではないか?」

 「腑抜けましたか閣下! 我が水軍も空軍も、蛮人共に多大な損害を与えられました! この報復をせずして奴らを見逃す道理はありませぬ!!」

 「ふむ・・・・・・」

 興奮する“鉄血団結党”のトップに、“サハラ”を統べるエルフは一つ問う。

 「エスマーイル殿、きみはあの光を恐ろしいと思ったかね?」

 「恐ろしい? ・・・・・・ハハ、またまた面白い冗談を仰いますな閣下は。たかが蛮人どもの為すことに、誇り高き我らエルフが怯えるとでもいうのですか?」

 「そうじゃ。少なくともわしはそう思った。いや、思わされたのじゃな。怖くて怖くてたまらなかったよ」

 「それは閣下が用心深すぎるというだけなのでは?」

 最高権力者を暗に臆病と言い回す無礼に、周囲の視線が突き刺さる。だがネフテス統領はそれを手で制し、さらに問う。

 「ではきみは、この戦いを何の為に続ける?」

「無論、国のために決まっておりましょう。誇り無くして、伝統無くして何が国。誇りの元に秀でた才のある者が集い、古に倣って国を動かしていくのです。そのためには下等な蛮人共と和睦を結ぶなど許されざる愚行。わたしはこう考えますが違いますかな?」

 「もっともな答えじゃが、それはちと違う気がするのう」

 「・・・・・・ほう? では閣下の答えをお聞かせ願いたい」

 「確かに種族としての誇りも古から綿々と伝えし伝統も大事じゃ。だが民なくして何が国だろうか、わしは民あってこその国だと思っておる。

 ・・・・・・きみの言う通り、いま蛮人たちを叩くのは楽じゃろう。しかしその後のことはどうする? あれだけの規模の地揺れじゃ、まず間違いなくこの“サハラ”一帯の町は全滅しておる。しかも兵は手薄というのなら、わしなら間違いなく引き上げる際に報復をしていくがな」

 老エルフの声は次第に固くなっていく。人懐っこい笑みも抜け落ち、鋭い眼差しがエスマーイルを射抜く。そこにいるのは、誰よりも純粋に民のことを思いやるネフテスの統領だった。

 「我々が奴らに与えた痛みの分だけ、奴らが感じた怨恨の分だけ虐殺は起きる。罪もない民が血を流し、涙を流して死んでいくであろうよ。・・・・・・きみはそれでも、この戦いを続けることに意義を見出すのかね?」

 心の奥底まで覗き込まれるようなその視線に問われ鉄血団結党の党首はたじろぐものの、次の瞬間には平常心を取り戻して問い返す。

「蛮人共からすれば無理な話です。少なからぬ兵の死傷と手痛い出費の末、得た成果は現住する地の安寧だけ。ここまでの大遠征も、大方“悪魔”の祖の言葉に従い我らから“悪魔の門”を奪還するための戦いと嘯き兵を駆り出したのでしょう。ならば建前のため、目的が達せられても劣勢の我らと戦いを続けるのは明白というもの。一体、奴らのどこに戦いをやめる理由があるというのですかな?」

「まあこちらから持ちかけた話じゃ。停戦の条件には奴らの建前である“悪魔の門”の譲渡、さらに技術や交流の発展の提示をし、今後ある程度の親睦を築かなければならんの」

「なるほどなるほど。ですが民の同意は得たので? 民の中にも蛮人のことを卑下し忌み嫌う者は未だ多くいますぞ?」

「構わぬよ、わしが全部責任を取れば良いだけの話であろう。それに、その者どももいずれは蛮人・・・・・・いや、人との共存に慣れゆくはずじゃ。きみたちのように確固たる拒絶をしておるわけでもないからのう」 

 頭に浮かぶ反論を矢継ぎ早に口にしていくが、テュリュークは淀みなく答えていく。

 手強い。エスマーイルは実感する。だが負けるわけにはいかない。ここで自分が折れれば、エルフがいままで培ってきたものすべてあの小汚い蛮族にいいように使われてしまう。歴史ある伝統は道ばたの石ころのように蹴り転ばされ、研鑽を重ね洗練された技術は蛮人共のべたべたとした手に汚されてしまう。

そして何より、これは我ら鉄血党の存在意義を否定するような話ではないか!

 こんなもの許すわけにはいかない。認めるわけにはいかない!!

 心の内から溢れ出る憤怒をもはや隠そうともせず、次なる反論を述べるべくエスマーイルは口を開く。しかしその言葉は、ネフテス統領が突き出した左の手のひらに遮られた。

 「・・・・・・エスマーイル殿、無駄な足掻きはもうやめた方がよいぞ?」

 「閣下、ですが・・・・・・」

 暗に否と受け流し、エスマーイルは話を続けようとする。だが強烈な胸騒ぎを感じる。理由はすぐに分かった。老エルフの瞳に、自分に対する深い憐憫の色が浮かんでいるからだ。

 さらにテュリュークは一つ、わざとらしいため息をつく。エスマーイルはその挙動で、瞬時に目の前の老エルフが何を言おうとしているのかを悟った。

  まずい、まずいまずい!! いまそれを言われたらッ・・・・・・!!!

 「認めたまえ、我々は負けたのじゃ」

 「かッ・・・・・・」

 か、とテュリュークは呼びかけようとするが時既に遅く、その言葉は放たれた。

 

 「まだ分からぬというわけではあるまい。・・・・・・あの戦場を動かしていたのは他でもない、きみなのだから。この状況は、きみが作り出したのだよ」


 ・・・・・・クス。クスクス、クス。

 辺りの喧噪に、小さな笑い声が少しずつ混ざり始める。次第にその声は大きくなっていき、周囲の態度も露骨になっていく。鉄血団結党の同志すらも先程の発言に異を感じたのか、後じさるように離れていった。

 ・・・・・・“詰み”だ。こう言われればもう、自分に反論の余地はない。

 一度の大きな失敗は、百の功績を瞬く間に水泡へと変える。大方辺りの連中は、自分では何の成果も出せなかった負け犬が吼えているとでも思っているのだろう。「・・・・・・というわけでエスマーイル総司令、貴殿に速やかなサハラ全軍の撤退を命ずる」 

厳かなネフテス統領の声が聞こえたが、頭はそれを認識しない。

 エスマーイルは血走った目で辺りの議員たちを見回す。自分に向け指を差してはばかる様子もなく笑う者、滑稽な見せ物だったと言わんばかりに皮肉を込めた拍手を送る者がいた。大半の者は無表情に視線だけを向けていたが、その目は彼らの心の中を鏡のように映し出す。

 高慢、口だけ、偽善者。利己主義、自惚れ、負け犬。・・・・・・どの言葉も否定はしない。ああそうだ、まったくその通りだ。

 様々な侮蔑を余すことなく読み取り、鉄血団結党の党首は口の端を噛み締める。

 ・・・・・・・・・・・・そして一つの決意と共に、サハラを統べる老エルフの命に背いた。

「これはこれは、身に余るありがたきお言葉。ですが閣下、此度の戦でわたしは自分の身の程を知りました。その命是非お受けしたいのですが、我が身にその責はあまりにも重いので辞退させて頂きたい」

 「いや、きみにはやってもらわぬと困る。きみは総司令の肩書きをわしから得たのであろう? ならばその職務を全うする責任があるのだよ」

 「ではその肩書き、今すぐにお返し致しましょう。・・・・・・これが礼を失する行為だとは存じています。どのような処罰であろうとも甘んじてお受けする次第です」

「・・・・・・正気か? 貴殿に拒否権はない。もしわしの命に背くというのならばあらゆる権限、いままで培ってきた地位を捨てることになるのだぞ?」

 「構いませぬ。では、わたしはこれで・・・・・・」

 エスマーイルはそう言うと、自分を中心に円を描くように群がっている議員たちを押しのけ、その中に紛れて消えていく。

 「エスマーイル殿、待たれよ!」

 老エルフの制止の声が辺りにこだまするが、エスマーイルの歩は止まることはない。

 統領、議員、同志、そして政敵の顔が、頭の中に次々と浮かんでは消えていく。辺りの市民の視線すらどれも憐れみや嘲りが混ざっているように感じ始め、エスマーイルは足を速める。

 そして人気のない路地裏に入り込むと、先程まで抑えていた怒りを一気に爆発させた。

 「腑抜けが、腑抜けが、腑抜けどもが! なぜ自分たちが間違っていることに気付かない! なぜわたしの方が正しいことに気付かない!? たかが規模の大きい地震と閃光程度で蛮人ごときにに媚びを売るだと!? ふざけるなッ!!!」 

 国が自分の思想と真逆の方向に舵をきるというのならば、どんな地位も権力も自分には無用の長物。・・・・・・そんなもの、いくらでも捨ててやる。

 大きく息を吸い込んで思考を切り替え、エスマーイルは自分の持つ手駒を確認する。・・・・・・水軍は蛮人の攻撃で使い物にならない。鉄血団結党に至ってはいわずもがなだ。 

“些細なことです。他の誰が見放し離れようと、我々は貴方についていきます”

 一つ間違えたら敗北していたかもしれない、司令室での大失態。しかしそんなことがあってもと離れないと言った腹心たちは、自分の真意を知った瞬間にあっさりと手のひらを返した。

 所詮奴らも、わたしの崇高な理想を理解できない愚物共だったか・・・・・・。

もはや怒りを通り越してもはや哀れみを覚える。何にせよ、こんな横暴許すわけにはいかない。和解などさせるものか。何が何でも阻止してやる。

 例え、いかなる手段を使おうともな・・・・・・

 そこまで考え、エスマーイルは顎から何かがしたたっているのに気がついた。

「・・・・・・? ・・・・・・ハッ、ハハハッ」

 気づき、笑う。いつの間にか噛み締めた唇の端から鮮血が流れて出ていた。

 痛みも感じないほどにいまわたしは動揺しているのか?

 いや、違う。いま自分はどこまでも正気だ。現に思考はどこまでも冴え渡り、いままでだったら考えつかなかったようなありとあらゆる手段や方法が次々と浮かんでくる。

 ・・・・・・なんだ、最初からこうすれば良かっただけの話ではないか。

 内側から変えるなどというまどろっこしいことをいままでやって来たが、根本から腐ったものは一度すべて壊し、作り直してしまった方がよっぽど早いというものだ。

 欲を見せず、いつもすました顔でいる気にくわない政敵。自分では何も主張せず、ただ無責任に誰かの意見に同調する無能な議員ども。民という建前のもと、誇りや伝統をあっさりと捨てようとする臆病な老害。それを受け入れるであろう民衆も愚かすぎて救えない。

 確かに自分はいま、立場も力も失った。だからこそもう止められない。自分を止めることなど、もう誰にも出来やしない。

 これで心おきなく壊せる。潰せる。何もかも。

 ・・・・・・ああ、そうか。自分はいま、この状況が楽しいのだ。

だから司令室での時も笑った。心のどこかで、こうなることを望んでいたのだ。そうだろう? 

「・・・・・・ハハハハハッ、ハッハハハハハハッ」

 流れ出る血を拭うこともせず、エスマーイルは気でも触れたかのように笑い続ける。

 吊り上がった口の端からしたたる鮮血は、地震で砕けた石畳やガラスなどの瓦礫を所々真っ赤に染め上げていった。

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