血塗れの悪意 Ⅶ

「……なぜだ? どうしてわたしの裁決に従おうとしない?」

カクリと音がしそうなほどに大きく首をかしげエルフ……エスマーイルは、岩壁の向こうに問いを投げる。この場のすべてを掌握し、聴衆の怨嗟の声や懇願に酔いしれていた彼。しかしその前に一人のハーフエルフの少女が現れてから、その理性と狂気の均衡になにかが起こり始めた。

「……全てを捨て去り、わたしは目覚めた。恵まれた才は花開き、精霊たちはわたしの強靭な意思に惹かれた。気に食わない同僚も腰抜けの老害も、もはや遠く及ばない高み。わたしは手に入れたのだよ、絶対的な力を」

「全ての生きとし生きる者の中で至高の頭脳と能力を持つエルフ、その頂にわたしは立った。もはや誰もわたしに敵うことはなく、誰もわたしに逆らうことはできない。この世界でわたしは絶対的強者であり、また全てを判ずる裁定者となったわけだ」

言葉にして確認する。そう、わたしは絶対のはずだ。絶対、そう、絶対。


……ならばなぜ、あの混血はわたしの前に立っている? 

 

 蛮人の王に試した「わたし」が確認している。流し込んだ悪意はなんの問題もなく働きかけ、この混血は自らが最も忌み嫌うもの……自身の存在そのものを呪った。

 

「……そしてわたしは、貴様に死を与えるという決断を下した。それを貴様は一度だけならず二度までも違えた。一度目の暴発……、あれはまあいい。貴様の仕業ではないからな。……だが問題は二度目、その石壁だ」

先ほどはその滑稽さに思わず笑い転げてしまったが、実際にはそちらの方が問題なのだ。身の内から噴き出る憎悪の矛先を全て自分に向けるのだ、自我など保てるはずがない。

 しかし現実、この混血はこうして舞い戻ってきた。その心を表すかのように、何度崩し壊しても再度盛り上がり、石の壁はそびえ立つ。それが何より気に食わない、腹立たしくてたまらない。

「貴様のような出来損ないに、大いなる意志の力が扱える筈は無い。わたしが解除できぬ以上、それはあの老害が仕掛けたものだろう。……だがなぁ、ならばどうして自ら姿を現そうとしない!? 貴様はわたしの裁定に従い、この裏切り者の銃を受け斃れるべきであろうがっ! それともなんだ、あれだけ見得を切っておいて、いまさらその矮小な命が惜しくなったとでも言うのかッ!?」

 その生まれを詰り、その縁者を誹り、その意思を罵る。認める訳にはいかなかった。なんとしてでも否定しなければならなかった。

 ……だが、繰り返されるその狂い言さえも、そう長くは続かない。

「罪深い、ああなんと度し難い! 許されぬ、許されぬ許されぬ許され、ぬ……ッ!?」

 荒れ狂う殺意に息が乱され、過剰に跳ねる脈動が胸を殴打する。突然の異変に驚愕の呻きをあげるエスマーイルであったが、こうなることは必然であり、また必定でもあった。


 ……地球の都市伝説に、ドッペルゲンガーというものがある。姿も思考も記憶も同じ彼らに出会うと命を失うとされるのは、自己が確立できない恐怖に押し潰され、自らの存在を否定してしまうからと言われている。そこから来る不安や狼狽から逃れられる者はなく、それは自ら意識を切り分けたエスマーイルも同じはずだった。


 ……しかし、近日の彼は自分が思うがままに行動し、そのことごとくをその圧倒的な力で実現させていた。

 望むがままに歪み、捻じ曲がっていく現実。粘つく狂気も混ざりあった彼の自我は日を経ずして絶対的なものに変わり、それが彼が彼でしかないという唯一性を確立してしまったのである。

 ……そして、今。その「絶対」に生まれた綻びを誤魔化すべく、エスマーイルの足は自然と蛮人の王がいる玉座へ歩を進めていた。

 (……っ、愉しみは最後にと思っていたがこの際仕方あるまい。その命でこの疼きを鎮めるとしよう……) 

 喉が渇いたから水を摂るといったような気軽さでエスマーイルは血を求める。護衛らしき女騎士が立ち塞がるが、相手にする価値すら無いと弾き飛ばす。当初の計画と違うからか、すでにその身に潜む「わたし」が困惑を見せたので、叛意を抱かれる前にその意思を取り込み統合する。自分同士で争うなど愚の骨頂。そんな真似をするわけにはいかない……。

(……いや、同じ意識から分かれたのであればそんなことは起こらないはず。……ならば・・・・・・、まさか、「わたし」はわたしではないのか? それともわたしが「わたし」でないというのか?)

 切り分けた意思たちに生じた微かな相違に自我の歪みに気付いたエスマーイルであったが、しかしそれを彼は認めようとはしなかった。認めてしまえば最後、忌々しい混血の裁きを後回しにしたという諦めを、そしてその鬱憤を晴らすために破壊の対象を変えたという妥協をも認めなければならない。そうなれば彼の中の何かは、致命的な打撃を受けてしまうだろう。それだけは絶対に避けねばならない事態であった。

(……ふざけるなッ、わたしはわたしだ、それ以外の何者でもないに決まっているッ!)

 いくら拒み否定しようと、自己の存在を肯定できる証拠などあるわけもない。募る苛立ちは破壊衝動を加速させ、その邪気に当てられた蛮人の王が一層その身を折り、小さな肩を震わせる。

 それを見て無意識のうちに釣り上がった口の端に、エスマーイルは自分が自分であるという確証を見出した。

「・・・・・・ハ、ハハハッ!! ハハハアハハハハハァ!!」

(そう、そうだ! 簡単な話ではないか! わたしは壊す、故にわたしだ! この身から滲む他を害したいという思いこそがわたしなのだ!)

 自らの憤怒に潰されそうな中、ふと浮かんだだけの考え。しかしそれははるか昔から・・・・・・それこそ先祖の代から決まっていたことのように血に染み入り、乾いた心臓を満たしていく。あれだけ頑なに変動を拒み続けていた優先順位が、なおも沸き立ち煮詰められた黒に塗り替えられていく。

(これが天啓というものか、よくやったぞ大いなる意思よ! そうか、この王とあの混血は従姉妹であったなぁ! さあ考えろ、どう殺せばあの混血は一番絶望する!? 半身だけ焼き尽くしてみようか、それとも岩盤で原形を留めないほどに潰し砕いてしまおうか? バラバラに切り刻むのも悪くは無いなぁ! しかしまずはこの首刎ねるとしようか!)

 完全だ、完璧だ。今こそ満を持して言い切ろう! わたしがわたしである限り、もはやわたしに敵は無いッ!!

 弾いた指から飛び出た風が牙を剥き、その細首に飛び掛る。

(これでもあの混血の心が折れないというのならば、次は目の前であの裏切り者も殺すとしよう。その次は壇下の蛮人どもを燃やしてやろう!)

 瞬きが終わる頃には返り血で一層朱に染まっているであろう自らの姿を想像し、歓喜と愉悦にエスマーイルは震える。


・・・・・・しかし飛んできたのは血しぶきではなく、自分が放ったはずの風の刃だった。


「ッ!?」

すんでの所で反応し、弾いた指により軌道を逸らす。掠めた頬から流れる一筋の血を拭い舐め取り、エスマーイルは眼前に現れた白面の男に目を向ける。その手に握られた黒塗りの杖で、メイジということはすぐに分かった。


「困るな、この女を殺されては。わたしの目的が達せられなくなってしまう」


メイジが喋る。その佇まいからかなりの手練れであることがわかるが、それでも自分が相手にするには及ばない。しかし油断していたとはいえ自分に傷を付けた罪は万死に値するので、エスマーイルは“反射”を展開することにした。……ただ受けた攻撃を弾くだけの生ぬるいものでなく、その威力を増幅させ、跳ね返す強力なものをだ。……かのネフテス統領ですら、等倍での反射は不可能。しかし今の自分には出来る、出来てしまう。

「・・・・・んん? 棒切れを振り回さなければ戦うことすら出来ない下等種族が何か言ったか、なっ!?」

 エスマーイルはメイジの顔に手を伸ばし、その仮面を割り砕く。しかしそれだけでは終わらない。仮面の破片をまともにくらいひるんだメイジの足に、これまた生やした蔦を絡め転ばせて笑う。

「くははははっ、蛮人よ、貴様己の立場をよくわきまえているではないか! うむ、その姿、なかなかに似合っているぞ、まるで下水道を這い回るネズミのようだ! まさに卑しい貴様らにぴったりではないか!」

 心を満たすこの嘲りは、メイジを焚きつける挑発も兼ねている。蛮人とさして変わらぬくせに貴族だの誇りだのとのたまうこいつらは、その低い能力に比べプライドが高い。これだけ嗤えばすぐに激昂し襲いかかってくるだろう。エスマーイルは、そう思っていた。

「・・・・・・それで話だが、この女を見逃してもらいたい。どうしてもというならば、あそこにいるハーフエルフを好きにしろ・・・・・・と言いたい所だが、しかしあれも連れの妹分でな、悪いが殺させるわけにはいかんのだ。そこらにいる観衆ならばどうなっても構わん、思う存分殺すがいい」

 しかし、立ち上がったメイジは何事もなかったかのように話を続ける。表情一つ変えないその様子に、エスマーイルは拍子抜けしてしまった。

(なんだこいつは? 怒りを感じぬのか?)

ネフテス水軍総司令として数多の兵士を見てきたからこそ分かる。このメイジの身体には、一切の無駄が無い。厳格な規律と秩序の元修練を積んだ党員たちでさえ、これほどまでに自らを鍛え上げた者はいなかったというのに。

 ・・・・・・しかし、どういうわけかその声は沈み、体躯に反し何の覇気も感じられないではないか。

(だからこそ分からぬ。それだけ積み重ねた真があるのであれば、必ずそこには誇りが生まれてしかるべきだというのに・・・・・・)

 訝しみに眉をひそめるも、ふと足元に色あせたロケットを見つける。先ほどまでは無かったことを考えると、どうやら目の前のメイジが転んだ際に落としたらしい。弾いた指で視力を高め中身を見やると、そこには蛮人の女の写真があった。

(・・・・・・こんな物を持っていて、恥ずかしいとも思わんのか? ・・・・・・所詮は力の差を見て取り臆した腰抜けか、それとも見せかけの張りぼてだったか。どちらにしろますます興が削がれたわ……)

「くだらん、実にくだらん・・・・・・」

エスマーイルは嘆息すると共にロケットを指差し、メイジの目の前でそれを砂塵へと還す。 


・・・・・・変化は、劇的だった。メイジの瞳の色が一瞬にして変わり、杖に魔力の刃を纏わせ始める。しかし自らの思惑通りに動いたメイジに、エスマーイルは意識を向けられない。メイジへの興味が完全に尽きてしまっていた彼は、その後ろに控える蛮人の王の首を飛ばすことだけを考えていた。

「邪魔だ、そこをどけ。貴様の図体のせいで狙いが定まらぬではないか」 

 応じることなく切りかかってくるメイジ。……しかし、予定調和は崩れない。寸前で跳ね返された自らの杖に、メイジは身体を両断される。

「……まったく、メイジといえども所詮は蛮人か。下らぬことに時間を使わせおって」

「「ああ、確かに無駄だったよ長耳。貴様のような阿呆と言葉を交わすのはな」」 

 背中越しに応える声。痛みを感じた時には、エスマーイルは崩れ落ちていた。断ち切られた左腕と左足が、鮮血をまき散らしながら目の前にごろりと転がる。

「まったく、数々の名士や猛者を討ち取ったこの誉れ高き杖に、こんな下らぬ愚物の血を吸わせることになるとは」

「こうなるのが嫌でわざわざ下手に出てやったというのに真に受けてつけあがるとは,傲慢なわりに無能だな。それともその目に嵌まっているのはガラス玉か?」

「エルフの優れた技術ならば考えられないことではないな。・・・・・・ああ、言い忘れていたがその格好、なかなか似合っているぞ? 貴様のようなうるさい狂人は、さしずめよく吼える野良犬・・・・・・と言ったところか?」

 振り返るとそこには、数秒前に自滅したはずのメイジが立っていた。砕けた仮面まで元に戻り、しかも二人に増えている。思わず先ほど真っ二つになったメイジの姿を確認するも、そこには立ちのぼる白煙しか残されてはいなかった。


 なんだこれは、メイジの魔法か? 反射はどうした?? あの杖の攻撃には反応したというのに、なぜ???


 いや、そんなことはどうでもいい。それより、それよりも。


 ・・・・・・傷を受けた? ひざをついた? わたしが、メイジに? 傷、傷? 愚劣で下等な、蛮人ごときに?


 ありえない。ありえない。ありえない。

「無理だ、不可能だ、できるわけがない。なぜだ、なぜだ、なぜ違う?」

 視線を足元に転がる己の手足に留めながら、ぶつぶつと呟きを漏らすエスマーイル。しかし対するメイジたちはどこ吹く風といった様子で、当然のごとく自分たちが切断したそれらを踏みにじる。

「利き腕であれば悪いことをしたな、だが腕を切り落とすときは左と決めているんでね」

「足はついでだ、尻尾を巻いて逃げられては困るからな。・・・・・・さあ、次はどこを切り刻んで欲しい? 要望があれば叶えてやるぞ?」

 交互に飛んでくる罵倒の数々に、しかしエスマーイルは反応できない。蛮人に傷つけられたという事実に、彼の自我は激しく揺さぶられていた。なまじ自ら定義づけ、納得してしまったがゆえに取り返しは付かない。自己が自己であるという確証に歪みが生まれ、亀裂が走る。

 馬鹿にされている? 侮られている? わたしが、・・・・・・わたしが?? 馬鹿に、され???? は?

 ありえない。ありえない。ありえない。 

 「・・・・・・何でおかしい? どこで間違えた、どこで踏み外した?? 間違える? 踏み外す??? わたしが??? そんなことがあっていいのか?? この世界はわたしを中心に廻っているというのに?」

 呟きながらエスマーイルは二度指を弾き、残る左足を踏み鳴らす。失った左腕、右足が再生し、壇から突き上げるように生えた岩の棘に貫かれるメイジ二人。・・・・・・しかし、その彼らもやはり煙と消え、入れ替わるように四人に増えたメイジに四方を取り囲まれる。魔力の通った杖は“反射”をものともせず肉を裂き骨を断ち、宙に舞う四肢と共にエスマーイルは仰向けに転がる。

「ほう、再生もできるのか。しかし見たところそのふざけた力、手足がなければ制御できぬのだろう?」

「ならば手足を奪えばいいだけのこと。さあどうするエルフ殿、貴殿は破壊をご所望なのだろう? それとも弾き返せないわたしの攻撃が怖いのか?」

「“反射”と言えば聞こえは良いが、実際には自分の周囲の空気を集めて固めているだけ。ならば風を操るわたしに干渉できぬ道理は無い、説明するまでもない話だ」

「・・・・・・しかしまさか、ロマリアで読んだ文献がこんなところで役に立つとはな。・・・・・・“土くれ”のおかげ、か・・・・・・」

 メイジが何かを言っている、しかし何も聞こえない。あれほどまでに心地よかった狂乱も消え、芋虫のようにのたうつ自分が発する服の擦れすら血に濡れ音を失っていくなか、最後に残った心音だけが、その拍動をゆっくりと刻んでいく。

(・・・・・・死ぬのか? わたしは、ここで? メイジに、蛮人に、殺され、て???)

 狭まっていく視界と共に、自我の亀裂は広がっていく。

「失血で死なれてもつまらんからな、もうそろそろ殺してやろう」

「どうだ、卑下する蛮人にその身体を辱められ、嘲りを浴びせられた気分は?」

「憤怒や屈辱を覚えてくれたのならば幸いだ。それが強く大きければなお良い」

「・・・・・・もっとも、それは俺が貴様に抱いたものの比ではないがな」

 ありえない。ありえない。ありえないありえないありえない。

 襲い掛かる理解不能の嵐。エスマーイルの中でいま、何かが壊れた。

(咎人には裁きを、罪には罰を与えねばならない!! だがわたしにはこの不届き者どもを罰することが出来ない!? なぜだ!? なぜだッ!? ふざけるなぁッ!!? ああ、ああッ!! 大いなる意思よ教えてくれ、わたしは一体、どうすればいい、の、か…………) 

 メイジの掲げた四つの杖が交差し、死を与えるべく振り下ろされる。しかしその杖が身体を貫くよりも早く、エスマーイルは壇の中へと沈み込んだ。

『・・・・・・は、ははハ、ハ。……なんだ、簡単なことではないか』

 くぐもった笑い声を伴いながら、壇にいくつもの渦が生まれる。辺りに転がる兵士の屍や、散らばる四肢を飲み込んでいく。メイジの目の前で盛り上がった壇はうねり、まるで蛇のようにとぐろを巻いて歪な岩の繭を形成した。

『最初から全部皆殺しにすればよかったのだ! 真に重んずるべきは長い歳月のなかで根付き育った誇り、そしてそれを培ってきた慣わしだ! 殺し合いなどまどろっこしい、いくらでも沸いてくる民など捨て置けばいいッ! ……創造の前に破壊在りとは良く言ったものだ、破壊無くては、創造など有り得はしないッ!!!』 

 響く声の中に入り混じる、何かを削り、潰す音。岩塊の中身を“遠見”で覗き、メイジは眉をしかめた。再生していくエルフの身体、その糧となっているのは-――、

「「「「・・・・・・自らの命を繋ぐために、骸すらもその血肉に変えるか。聡明なエルフも、こうなっては本当に畜生と変わらぬな」」」」

『黙れ黙れ黙れぇッ! わたしこそが絶対、わたしこそがすべてだッ!! わたしに逆らう者など死に絶えればいいッ!! この都市をすべて焼き払う程度、今のわたしには造作も無いことだッ!!!』

 観衆を取り囲む紅蓮が一層火を噴き地を砕く。生じた地割れはみるまに伸びていき、炎の円の中心・・・・・・エスマーイルの元に集っていく。裂け目から洩れ出る赤は煌々と光り、終焉の訪れを覗き込んだ者に嫌が応にも理解させる。

『そうッ! 壊せば良いのだ、壊れれば良いのだ! わたしの思うがままに行かぬことなどすべてッ、何一つ残らずッ!!!』

 常人であれば卒倒し、どんなに強固な意思を持つ者でもその身を固まらせるであろう圧倒的な殺意を受け、メイジはため息をつき“偏在”を解除し分身を自らへと束ねた。逃れられぬ死に絶望し、抵抗する気力を失ってしまったからではない。自らの力の全てを、その杖に乗せるためだった。

「・・・・・・下らんな、実に下らん」

『……ハ、ヒヒヒヒ、ヒハッ、ヒャッハハハハァアハハハハハァッ!!!』

「言葉すら失ったか。まあいい、貴様のような馬鹿と話すのも飽きていた所だ」

そう言うとメイジは杖の先端を岩塊に押しつけ、呪文を唱える。

 刹那、解き放たれた風の奔流は堅牢な岩石をいとも簡単に粉砕し、客席をも呑み込み全てを押し流した。

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