??? ーⅠー
“・・・・・・すごいな。まさかこれほど、強力なものだったとはね・・・・・・”
少女と韻竜が去った後、詠唱によって開きかけた“門”を寸前で閉じ、驚く。彼女の周りに集まってきた虚無をほんの少し使っただけだったのだが、まさかこれほど膨大な量が蓄積されているとは思わなかった。
“・・・・・・『零』の詠唱に使うのは彼女自身のものだけど、それでもこの魔力はいくらかの足しになる。こうしてむやみに顕現して、魔法を使うのもよくないな・・・・・・”
・・・・・・“生きている彼を喚び寄せる”だけなら、自分がやればこれほどの魔力も手間もかからない。・・・・・・しかし、自分が彼を喚ぶことは不可能だ。
(魂は肉体を求め、肉体は魂を求める。・・・・・・魂だけのぼくが行えば、最悪彼の死を決定しかねない・・・・・・)
・・・・・・それほどまでにこの魔法は強力で、それを個人のために使うのだ。加減が難しいのはもちろん、どんな些細な事でも最悪の事態を生みかねない。
(世界を変えるほどの大きな力を、ぼくもきみも誰かのために使う・・・・・・ぼくらは幸せな結末を迎えることはできなかったけど、きみたちに同じ道を、歩ませはしないつもりだ・・・・・・)
いよいよ今夜、すべてが終わる。できるかぎりの補助をしようと心を定め“彼”は、静かにその時を待った。
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