詩一

宇宙、辺境、猫、図書館、磁場嵐、僧侶のクローン。 魅力あふれる設定の中にシニカルなテーマが落とされ、倦怠感を纏った物語が動き出します。 この独特の空気感は、この作品でしか味わうこ…続きを読む

本作品は2000字と少しの作品ですが、その中に出てくる『階段』が短い物語の中に深みを作っているように感じました。 読み方は人それぞれあると思いますが、私は『階段』がなんの象徴なのか…続きを読む

何度だって死ねない。 死ねない主人公はずっと妄想の中で死んだ自分に「意気地なし」と罵られ続けて生きています。 こういうことがあると余計苦しいかもしれないんですけれど、そういう妄想の…続きを読む

情報の開示のタイミングやシャレードでわからせるところはやはりすごい。 4000字という字数が「そんなにあったの！？」と驚くくらいにするすると一気に読むことができて、逆に「それだけし…続きを読む

始まりはバイトにいそしむ姿から。 半額の総菜コーナーに行ったり、憂鬱そうに行き交う人々へ視線が向いたり。 とても現実的なシーンが展開されます。 そして、花屋で花を買う。 この一…続きを読む

私は、本作の作者であるnaka-motooさんの作品をよく読みます。 naka-motooさんの作品はとても数が多いので、母数を考えると全然読めてないわけですが。 正直な話をする…続きを読む

独特の語り口で紡がれる本作。 やわらかくて軽妙な文体にオリジナリティを感じました。 そしてその文体で進行していく物語はとても不思議。けれども、容易に受け入れられる。そこがまた不思議…続きを読む

『英雄の看取り士』というタイトルで、飛鳥休暇さんを知る人なら「ファンタジー社会派小説ね」と思うはずです。ええ、『ファンタジー社会派小説』でした。 ファンタジーにも社会があるわけで…続きを読む

タイトルを読みましたか？ タイトルにも伏線が張られていますよ。じっくり見てくださいね。 そして、本文も。あらゆるところに、伏線が張られています。 最初は意味がわからないと思います…続きを読む

タイトルにある通り死神が登場するわけですが、既成概念に囚われない心温まるドラマになっていました。 約束をして、それを果たす。 それがどれだけ素晴らしいことかを教えてくれる物語でし…続きを読む

学生特有の内面へ向かう感覚に、甘酸っぱい恋愛要素もありつつ、お仕事もののエッセンスも取り入れ、それを見事にまとめあげた大満足恋愛小説でした。 主人公のネガティヴが一周してポジティ…続きを読む

私が作者に伺ったところ、「あくまでも作中のシイチさんはそういったキャラクターでありまして、実際の詩一さんとはなんの関係もありません。ほら、実際カタカナでしょう？　詩一さんは漢字じゃ…続きを読む

かわいさ、カッコよさ、わかりやすさ、尊さ（百合）……エンタメに求められるすべてを完璧にクリアした作品でした。 この短さで、エンタメに求められる表層的な面白さと、物語に求められる深…続きを読む

一話で驚かされて、二話で裏切られて、三話でさらに裏切られる。 三段構えの構成になっており、心を揉みしだかれてしまいました。 タグにBLとある通り、こちらは男性同士の同棲を描いた作…続きを読む

安易に「感動する恋愛もの」だとか、「尊い百合もの」だとか、そんな言葉で括ってしまいたくはない。 この作品は、この世界で生き辛さを感じる人たちを全肯定してくれる。すべてのマイノリティ…続きを読む

花火と季節と生命を、鮮やかな配色できれいに並べた作品。 幼いころは毎日が冒険だった。大人になってからはただ繰り返すだけの日々。 なにが隔てているのだろう。同じ自分なのに、あのとき…続きを読む

文章が、この言葉しかないと言う当て嵌まり方をしており、上手いだとかそういう表現ではいけないように思えました。初めからこうやって生まれて来たと言うべきでしょうか。初めから終わりまでが…続きを読む

異世界ファンタジーでありながら、SFのエッセンスと現代ドラマの感覚をミックスした作品。 主人公の旅立ちの一歩が冒頭となるこの作品は、そこから目的に向かって進んでいきます。山の頂を…続きを読む

勇者シュクスは圧政を強いる皇帝を倒すため魔剣を手に取り仲間を集めて成長していく！ という王道ストーリーの倒される側である帝国軍の軍師を勤め上げるのが、本作の主人公アイネ。 帝国は…続きを読む

この小説は『異世界転移をする側』と『異世界転移を受け入れる側』にそれぞれ主人公が存在するダブルキャスト作品です。 間違いなく異世界転移をするのですが、いわゆる、『ラノベ的な都合の…続きを読む

第一話で頭がおかしいオヤジが語る内容に 「俺らが考え過ぎると困るやつらがな、空気の中に変なものを混ぜて垂れ流してんだ」 「その空気吸っちまうとな、もう何も考えられなくなんだ。生まれ…続きを読む

文章が高密着で、読んですぐに没入感がもたらされます。 緻密な心理描写により主人公が感じていることが間近に感じられ、自分が体験しているような感覚に陥ります。 突然不思議なことが起こり…続きを読む

子供の心理描写が写実的で現実的なのに、とっても微笑ましい。 現実と空想の境目がパックリと開いて、新世界へ飛び立ったような感覚でした。 チョコブラウニーを味わうだけの小説なのに、フ…続きを読む

『ハッピーエンド』とタイトルに謳われているにもかかわらず、冒頭はとてつもない絶望から始まります。果たしてこれが本当にハッピーエンドになるのか。と思ってしまいました。 それから『星…続きを読む

季節という概念を視覚化できたのなら、それはどのようなものだろう。 作中には《季節》がまるで生物のような風体で登場します。 物質化していても、春はまさに春だし冬はまさに冬で。その季節…続きを読む

それがなんであれ。 コロナ禍で色々と考えることが増えた昨今。 生き死にの話はもう身近なもののように思えます。そんなとき、そう言う話を遠ざけるのではなく、いったん近寄って確かめてみ…続きを読む

『恋愛相談を待っている』とタイトルにある通り、主人公のステラさんは恋バナ大好きな公爵令嬢。 同時にある乙女ゲームの悪役令嬢でもあります。ですからこのままなにもしなければステラさんは…続きを読む

本来難解なギリシャ神話が、驚くほどわかりやすく書かれています。 ギリシャ神話に出てくるオリュンポスとティターンの神々の設定をしっかりと踏襲しながらも、それらが個性的なキャラクター…続きを読む

推しアイドルの卒業&結婚報道。 「裏切られた！」 と思った主人公は、友人の薦めで二次元アイドルにハマり始める。 二次元アイドルのことをどんどん好きになっていく主人公。もう古い傷…続きを読む

これは純文学ディスではありません。 中には共感が詰まっていました。 web小説を書き始めて、いや、それよりも以前に考えたことがあることかも知れない思考の数々が、つらつらと綴られてお…続きを読む

レビュータイトルに顔文字使っちゃうくらいほっこりしました。 お母さんパンダのアンアンが語り部なのですが、その気持ち一つ一つが『ザ・お母さん』という感じで、安心感を与えられます。 …続きを読む

自由とはなにか。 いともたやすく目的を果たせることか。 或いはただ漂うことを許されることか。 自分にとっての不足が、誰かにとっての充実であったり。 誰かにとっての不満が、自分にと…続きを読む

強さも知っている。 だから負けないでほしいと願う。 私もこの主人公同様、腐って投げだして10年ほど書いてないときがありました。 まるっと自分に重なりました。 きっと、この作品を…続きを読む

出来ることは限られている。しかしなにをやっても結局は消滅してしまう。 終わりを受け入れるしかない状況で、自分ならどうするか。 この物語は、たった5分間のお話。 されども、本当の愛…続きを読む

風花さんは黒姫さんを笑わせたい。 言ってしまえばそれだけなのですが、どうして彼女を笑わせたいのか、ひいてはなぜ彼女は笑わないのかと言うところにフォーカスが当たっていき、二人のやり取…続きを読む

『彼女』は、死んでしまった『知可子さん』について語り尽くします。 『少年』の隣で。声が枯れるまで。 それはもう、穏やかな慟哭のようにも思えて。 彼女は、淡々と二人の人生をなぞって…続きを読む

まあまあ、なにも言わずにまずはこの作品の目次を見てくださいよ。 有野君は今日も告る① 有野君は今日も告る② 有野君は今日も告る③ 有野君は今日も告る④ 有野君は今日も告る⑤ 有野…続きを読む

ちょっとなに言ってるかわからないかも知れませんが、この作品はオバケアザラシにストーキングされるお話です。 タグにも『アザラシ』『オバケ』『ストーカー』とありますから、嘘を吐いている…続きを読む

完璧なストーリー構成でした。 物語の立ち上がりはかなーり甘々な恋愛パートから始まります。 そして「どうしてこうなったか」と言う流れがそのあとに続きます。 そこに到るまでの物語はとて…続きを読む

前世の記憶があるのが当たり前の世界で、あなたならなにをする？ 前世でやれなかったことを、現世で果たす？ 前世は前世だから、囚われず現世を過ごす？ 前世の記憶を活かして、同じ様な道…続きを読む

泣いてる先輩と慰める後輩の甘々でラブラブな物語。 もうとにかく幸せな気分になれます。 二人の純粋さとラブラブさを現す言葉、最高でした！ 三話の最初のセリフ！　あれは名セリフですよ…続きを読む

自然に差し込まれた描写の一つ一つが、温度と立体感を創り、二人の物語に色を持たせます。 書くと描く。 タイトル通りのシチュエーションと共に物語が始まります。 作中の二人の関係を、と…続きを読む

この作品のタグは 『檻』『夢』『虐待』『歌』 です。 タグを組み合わせるとこのレビュータイトルになります。 誰もが一度は将来の夢を見ます。 でも、誰もが叶えられるわけではない…続きを読む

魔女は砂糖の味がした。というタイトル。 どういうこと？ そう思って読み始めると待っているのはテンポの良いコメディ。 この作品の設定ならではのセリフがとても秀逸で、笑えます。 た…続きを読む

でもたったそれだけのことに、気付けずにいる人がほとんどのように思いました。 自殺は「する」んじゃない。「させられる」んだ。 能動的ではなく、あくまでも受動的な行動なんだ。 そう言…続きを読む

トーヤは不死のスキル持ち。一見便利なスキルも、角度を変えて見ればデメリットだらけ。そのリアルが克明に描かれているので、トーヤに同情の念を抱きます。 悠久のときを生きるというと魔女…続きを読む

幽霊が出てきて危ない目に遭うなどとてもホラーチックな怖さがある一方で、友情や家族愛などをしっかり描いたホームドラマチックな温かさもあります。 序盤の何気ない行動や言葉の中に実は張…続きを読む

あまりに鮮明に景色が浮かぶものですから、月に葬ることが本当にこの世に起こりうることなのだと錯覚してしまいました。私も死の先に送られるならこれが良い、と。 妹の、きっと姉は自分の思…続きを読む

明確な答えがないままに、ただ事件だけが進行します。 登場人物はあの童話赤ずきんに出てくる人たちだけ。 つまり、犯人はこの中の誰か。 凄惨な殺害現場の描写がリアルで、元が童話であ…続きを読む

自分の顔面偏差値が低いことがわかった影森創一が、主人公の傍に居るモブキャラになろうと頑張るお話。 しかし、タイトルにあるように正ヒロインの笹岡杏里が、フラグを立ててくるのです。ぼ…続きを読む